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アフターGIGAで変わる学校への新提案

アフターGIGAで変わる学校への新提案

2022年07月19日更新

2022 EDIX REPORT
アフターGIGAで変わる学校への新提案

13回教育総合展東京(以下、EDIX)が、2022年5月11〜13日、東京ビッグサイトの西展示棟で開催された。毎年開催される業界関係者向けの展示会である13回目のEDIXは、新型コロナウイルスの感染拡大に落ち着きが見られたことで、多くの教育関係者でにぎわう商談展となった。その様子について、六つのキーワードにフォーカスしてリポートしていこう。


 まず会場で目を引いたのが、普通教室や多目的教室、PC教室(keyword:Classroom、PCroom)などへの機器提案だ。例えば普通教室であれば、これまで提案されてきた電子黒板はもちろん、黒板に内蔵されるタイプの電子黒板などが新たに参考出展されていた。

 また児童生徒に1人1台の持ち運びができる端末が配備されたことで、多目的教室にも大型モニターやスクリーンの設置を提案するブースが見られた。少子化の影響で空き教室が増えている学校も多くあり、そうしたスペースにICT機器を新規に導入することで、子供たちの学びをさらに深めることにつながるだろう。PC教室に対しては、BYODを前提とした環境作りや、環境を刷新してSTEAM教育※を行うための教室環境としてSTEAM Labを構築する提案なども行われていた。こうした環境に対してはハイエンドのデスクトップPCやVRヘッドセットなどの導入も増えそうだ。

 児童生徒用の学習者用端末(keyword:Device)にも変わらず大きな需要があった。現在は端末上で使うソリューションと組み合わせた学習の仕方や、高等学校向けGIGAスクール構想で導入する端末の提案が主だ。また現地では講演やオンラインセミナーなどが実施され、導入した端末やソリューションによる学びについて、教員の立場から講演している例が多く見られた。

 昨年のEDIXでも見られた映像配信用(keyword:Delivery)のデバイスは、コロナ禍が長引いたことでプロフェッショナル向けのカメラなど、高性能なデバイスへの需要が高まっているようだった。また多様化(keyword:Diversity)が進む学校現場において、誰一人取り残さない学びを実現するため、翻訳ツールや特別支援教育向けのソフトが登場するなど、多様な子供たちへの支援をICTで実現する動きがあった。

 注目が高まっているSTEAM教育向け(keyword:STEAM)のICT教材も数多く登場している。センサーデバイスを組み合わせてプログラミングするICT教材や、ロボットを動かすICT教材はもちろん、プログラムからもの作りにつなげる学びを提案するデバイスなども出展されていた。

 活気あふれるEDIXの様子から、これからの教育現場への製品提案のヒントを見ていこう。

Classroom

GIGAスクール構想で端末が配備され、授業の様子は大きく変わった。次に大きな変化が生まれようとしているのは教室の環境だ。例えば、これまでの教室ではプロジェクターでデジタルコンテンツを黒板に投映していた。それがこれからの黒板には、大きな電子黒板が内蔵されるようになるかもしれない。また、特別教室や多目的室ではより高解像度な大型モニターや、巨大スクリーンを設置すれば、普通教室では体験できない学びが可能になる。PC教室の役割にも変化が起きており、1人1台端末だけでは難しい、より端末に負荷の掛かるSTEAMの学びや、BYOD環境との共存を実現できるような新しい学びの場を提案する展示が多く見られた。

黒板メーカーのサカワは、今回新たに「画面に直接チョークで書けるテレビ型電子黒板」と「黒板」を組み合わせた製品を参考出展。
ソニーマーケティングでは85Vインチの4K大型提示装置、オーエスは巻き取り式のスクリーンを3面組み合わせた遠隔授業システムを提案。どちらも特別教室などへの設置を想定しており、子供たちの学びをより深めるデバイスとして提案している。

PC room

ガイアエデュケーションでは、学びが育つ教室空間としてアクティブラーニングが行いやすくなるようなICT教育空間デザインを手掛ける。机や椅子の入れ替えだけでなく、学習空間を考慮した教室空間をデザインすることで、グループ学習や創造的な学びとなどが行いやすい教室を提案する。
1人1台環境の中でも、特にBYODスタイルで運用している学校のPC教室に対して、新たに必要となる四つのソリューションを提案するシー・オー・コンヴ。PC教室の物理PCをVDI基盤として利用する学生向けVDIシステム「CO-Gateway」など、既存環境をバージョンアップさせるような提案を行っていた。
レノボ・ジャパンではSTEAM Labへの提案デバイスとして、VRゴーグル「Mirage VR S3」(※販売終了製品)を利用したメタバース空間での授業実践を参考出展。また、eスポーツ向けデスクトップPCなどを紹介し、専門学校でのeスポーツ教育や、普通学校での部活動実施に向けた設営・運営コンサルからデバイス選定までをトータル提案する。

Device

GIGAスクール構想によって1人1台の端末が、全ての小中学校で整備された。Google for Educationのブースではそれらの端末と組み合わせる教育ソリューションの紹介や、自治体などでの活用事例を講演し、会場は多くの教育関係者でにぎわっていた。各メーカーのChromebookの前にも人が絶えず、その需要の高さを伺わせた。

また、高等学校への端末配備も進められている。特に日本マイクロソフトのブースでは、公立高等学校向けにSurfaceの需要が高いことをアピールしていた。より学ぶ内容が高度化する高校生の学びにはSurfaceシリーズが最適であることなどを訴求し、教育関係者らが実際にデバイスに触れ、その使いやすさを体感していた。

シャープとDynabookが共同開発した「Dynabo ok Chromebook C1」はEDIX会場内ではここでしか手に取れない。
Google for Educationのブースでは各メーカーから販売されているChromebookが並ぶ。セミナーも好評で、立ち見客も多く見られた。
電算システムではGoogle for Educationのソリューションを中心に展示を実施。またグーグルのスマートグラス「Glass Enterprise Edition 2」も展示し、Google Meetと組み合わせたオンライン授業の姿を紹介していた。
Microsoft Educationのソリューションやノウハウの紹介に加え、Surfaceシリーズなどのハードウェアを展示した日本マイクロソフト。調査会社の数字を元にした同社の推計によると、すでに端末整備済の公立高校生の約2.5人に1人はSurfaceを利用するなど、シェアの高さをアピールしていた。2万円台から導入できるクラムシェル型のSurface「Surface Laptop SE」も展示し、公立高等学校へ向けて訴求していた。

Delivery

コロナ禍の3密を避けるため、全校集会をオンラインで実施した学校現場も少なくない。そうした配信環境をよりよいものにするデバイスが、各メーカーから出展されていた。プロフェッショナル向けの4Kカメラなども教育現場での導入事例があり、学校現場での映像配信は高画質・高品質化が進んでいるようだ。これらのシステムは全校集会の配信だけでなく、オンライン授業や日常的な校内放送にも使えるため、幅広いシーンで利用できる点も魅力と言えるだろう。

全校集会のオンライン化を実現するデバイスとして、ソニーマーケティングは大型提示装置、ハンディカムなどと組み合わせた「見える校内放送」の環境を提案。
「見える校内放送」でも使われているアイ・オー・データ機器のライブストリーミングBOX「GV-LSBOX」は、児童生徒でも使える簡単操作が魅力の製品だ。
オーストラリアに本社を置く総合映像機器メーカーBlackmagic Designは、高品質な4K放送カメラ「Blackmagic Studio Camera 4K Plus」とオールインワン設計のスイッチャー「ATEM Mini」の組み合わせによるオンライン授業などの映像配信を提案。
講義用の音響や映像教育機器を提供しているEBESTは、スピーカーとアンプが内蔵したマイク「MICKERPRO」を出展していた。

Diversity

文部科学省が掲げる「誰一人取り残すことのない令和の日本型学校教育」を実現するためには、学校に通う多様な子供たちに対して、適切なサポートを行う必要がある。例えば外国出身の子供たちへの対応や、発達障害などを抱える子供たちへの対応だ。EDIXでは、これらの子供たちに対するきめ細やかな対応を実現するICTツールも数多く出展されていた。

新たにリリースした学校現場の特別支援教育を支えるICTサービス「LITALICO教育ソフト」を出展したLITALICO。児童生徒の特性の把握や、それに合わせた指導法の設定、教材の作成などをサポートできる。
学習障害の一つとされるディスレクシア(発達性読み書き障害)を知り、多様な学び方の可能性を広げるアプリケーション「読めてる?」を出展したOpenDNA。ディスレクシアの簡易チェックや、ディスレクシアによる見え方を体験するコンテンツなどを収録している。

STEAM

文理の枠を超えた教科横断型の学びとして注目を集めているSTEAM教育。EDIX会場では第3回STEAM教育EXPOも開催され、多くの企業がSTEAM教材を出展していた。その中でも目を引いたのが、レーザーカッター、小型スクリーン製版機といった、PC上で作ったものを出力するデバイスの多さだ。一時期プログラミング教育が盛り上がった際に、ビジュアルプログラミング言語が多くの学びの場で取り入れられた。今回のEDIXではそこからステップアップして、PC上のプログラムでロボットを動かしたり、プログラミングした図版をランチョンマットに印刷したりといった、もの作りの体験に至るまでの学びを提案する企業が多く見られた。

STEAM教育のTechnology、Engineering、Artsに関わる出力装置としてレーザーカッターを提案したバリュープロダクト。スーパーサイエンスハイスクールの予算で、公立高等学校への導入が増えているという。教育現場向けのカメラ付きレーザーカッター「Laserbox」は、カメラで撮影したイラストなどをそのままレーザーカットできる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)などからの受託で、宇宙に関連したさまざまな事業に取り組んできた日本旅行が提供する探求体験プログラム「ミライ塾」。月面に滞在する宇宙飛行士という設定で、遠隔操作できるローバーを使いながらチームでミッションに挑戦する体感型ワークショップなど、宇宙をテーマにしたSTEAM教育を行う。
アーキサイトでは現在開発中の次世代ロボットプログラミング教材を先行展示。メインユニットと拡張ユニットの組み合わせで学びを広げていく。
理想科学工業は、久喜市のSTEAM教育に採用された小型スクリーン製版機「MiScreen a4」を出展。プログラミングで作成した万華鏡図柄をMiScreen a4で製版・印刷しランチョンマットに仕上げる授業を行ったという。
デジタルファブリケーション協会は、広島工業大学高等学校に整備した「デジタル工房CLL(クリエイティブ・ラーニングラボ)」に導入した設備として、樹脂積層3Dプリンターやレーザーカッター、UVプリンターをSTEAM教育に提案していた。

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