ウォークスルー顔認証でレジレス買い物

コロナ禍で非接触のニーズが高まる中で、コンビニやスーパーといった小売店での非接触決済の利用率が増加している。そうした中で、レジを通さずに買い物ができる次世代のレジレス型店舗「NEC SMART STORE」を、NECが本社ビル内に2020年2月からオープンしている。同社の志賀真弓氏に、レジレス店舗での買い物シーンを見せてもらった。

NEC SMART STORE 編

NEC本社ビル内にあるNEC SMART STOREは、購入したい商品を手に取ったあと、商品をレジに通すことなくそのまま退店するだけで決済できる次世代の社内コンビニだ。顔認証もしくは社員証によって入店し、店舗内のカメラやセンサーを組み合わせて人や商品を自動認識しており、それらのデータをもとに店舗を出るだけで自動的に持ち出した商品の決済を完了させる仕組みだ。顔認証はNECの顔認証AIエンジン「NeoFace」を活用しており、ウォークスルーで認証して入店できるほか、マスクを装着していてもスムーズに認証可能だ。

実際に小売業にチャレンジ

NEC 佐藤義之 氏

 NECでは小売業向けに「Smart Retail CX」のコンセプトのもと、消費者行動の変化、そして急速に進む労働力不足といった課題に対応し、快適で心地よい顧客体験を生み出し続ける店舗運営の実現を支援している。

「Smart Retail CXでは、ビジョンとして『業務量50%減』『(店舗の)魅力2倍』『不正/現金ゼロ』を掲げ、プロダクト開発を進めています。当社のAIやIoT技術を活用した省人型店舗として『セブン-イレブン三田国際ビル20F店』を2018年12月にオープンするなど、実際に小売業に取り組みながらお客さまの真の課題を見つけ出し、それらを解決するソリューション提案を進めています」と、NEC 第一リテールソリューション事業部 事業開発部長 佐藤義之氏は語る。

 省人型店舗であるセブン-イレブン三田国際ビル20F店では、顔認証による決済を導入している。来店者自身が商品のバーコードを読み取る必要があるが、手ぶらで入店して商品を購入できる利便性の高い買い物体験が可能な店舗だ。こうした小売店の省人化を実現するソリューションを提案する背景には、慢性的な働き手の不足がある。

小売店側と来店者側の双方にメリット

NEC 瀧澤香菜 氏

「また、来店者も現金による支払いなどでレジが混雑することをストレスを感じています。例えば朝の忙しい時間帯にコンビニで買い物をしようとした際、レジレスで決済できたらストレスなく買い物できるでしょう。特に去年からのコロナ禍の影響により、接触や3密を避けて買い物をしたいというニーズが高まっており、レジレス型の店舗に注目が集まっています」とNEC 第一リテールソリューション事業部 事業開発部 マネージャー 瀧澤香菜氏。小売店側、来店者側の双方にメリットのある次世代店舗ソリューションが、レジレス型の店舗と言える。

 実際にNEC SMART STOREで買い物をしているNEC 第一リテールソリューション事業部 スマートリテール推進部 主任 志賀真弓氏は「マスクのまま顔認証によって立ち止まることなくスムーズな入店が可能です。ほしい商品を手に取って店舗を出るだけで自動で決済が完了するので、レジ待ちの時間短縮はもちろん、非接触・非対面で安心して買い物ができます」とその利便性を語ってくれた。

 NECはこれからも、消費者が快適に買い物ができる便利な社会を、小売店とともに作り上げていく。

NEC本社の地下1階の社内コンビニとして営業しているレジレス店舗。
入り口ではNECプラットフォームズのロボット型インターフェース「PaPeRo i」がお出迎え。
入り口に設置されたカメラで来店者の顔を認証。認証のためにはあらかじめ店舗外の端末で顔を登録しておく必要がある。
マスクをしていてもスムーズに認証でき、名前が登録されてある場合は、来店者の名前もタブレットに表示してくれる。ウォークスルーで止まらずに入店できるので、忙しい朝も便利だ。
店舗内には約35台のカメラが取り付けられ、来店者の購買行動データを蓄積していく。また、天井にはモーションセンサーも取り付けられており、手を伸ばした動作などを記録している。棚には重量センサーが備えられ、在庫管理にも役立てられている。
忙しい朝も素早く買い物できる!
退店は自動ドアのセンサーが認識。入店した人物がどの商品を手に取り、退店したかデータをもとに、自動的に決済してくれる。
店舗横には購入した品物と金額を確認できる端末も用意。もちろん確認せずに退店してもOKだ。レジレスの買い物に慣れると確認しなくなってくるそう。