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対人距離を確保して濃厚接触を回避する感染症予防対策ソリューション

対人距離を確保して濃厚接触を回避する感染症予防対策ソリューション

2020年12月23日更新

アラームを鳴らして濃厚接触を回避

新型コロナウイルスの脅威は依然として収まらず、感染者の数は連日増加している。複数人が集まる環境の中で一人でも感染者がいれば集団感染のリスクは高い。大勢の人が出入りするオフィスビルやオフィス内での感染には特に注意が必要で、従業員を新型コロナウイルスから守るため企業での徹底した感染症対策が求められる。そうした企業ニーズを満たすため、マクニカネットワークスは新型コロナウイルス感染症対策ソリューション「濃厚接触アラート/追跡ソリューション」を開発した。

3密の回避が重要

 厚生労働省が公表する「新型コロナウイルスに関するQ&A」によると、新型コロナウイルスは、感染者の飛沫や接触で伝染すると示されている。多数の人が集まり、会話がメインとなる打ち合わせや会議の多いオフィスでは感染リスクが高いと言えるだろう。従業員の一人が新型コロナウイルスに感染し、同じフロア内の複数人にうつしてしまえば集団感染にもつながる。企業内で集団感染が発生すれば、フロアの閉鎖や業務の中断など事業継続が危ぶまれる恐れもある。感染を防ぐためには、換気の悪い「密閉」空間、多くの人が「密集」する場所、間近で会話をする「密接」場面の三つの密を回避することが重要だ。しかし実際に密を避けながら業務を行うのは難しい。「連絡事項や作業報告など業務上、従業員同士の会話は必要です。相手と近づかざるを得ない状況になることも多々あります。オフィス内で、密集や密接を避けるためフィジカルディスタンス(物理的距離)の確保などの注意喚起を行っても、それに基づいた行動を全従業員が実行するのは厳しいでしょう」とマクニカネットワークス LPWA事業推進室 室長補佐 田嶋文乙氏は業務上の問題点を挙げる。

 新型コロナウイルスへの対策は予防だけではない。オフィス内で感染者が出た場合、感染者と接触した人や感染した場所を特定しなければならない。感染者と至近距離で15分以上の接触があれば、接触した相手は濃厚接触者として感染の可能性が高まるからだ。濃厚接触者が他者にうつしてしまうといった連鎖が生じる場合も想定される。それを防ぐため、過去数週間で感染者が他者と接触したかを追跡する必要があるが、人の記憶に頼る部分が大きくその調査は難しい。

 そこでマクニカネットワークスが開発したのが「濃厚接触アラート/追跡ソリューション」だ。オフィスでのフィジカルディスタンスの確保や密の回避と、感染者が発生した場合に濃厚接触者を迅速に特定し、感染を拡大させない措置をとることで影響範囲の最小化を図るという二つの対策が講じられる。

対人距離をデータで可視化

 濃厚接触アラート/追跡ソリューションは、専用のLoRaWAN/BLE端末を利用し、濃厚接触に対してアラートを用いた注意喚起や意識付けと、蓄積データを活用して濃厚接触者の追跡を行うサービスだ。通信方式に低消費電力かつ長距離に対応するLoRaWANを使用することで、頻繁な充電作業が不要で設備維持にかかるコスト負担も削減できる。

 本ソリューションは、専用のLoRaWAN/BLE端末である「Micro Tracker」または「Smart Badge」を従業員が身に付ける。端末を持った従業員同士が一定期間以上、至近距離でとどまった場合に端末がブザーを鳴らして注意を促す。互いの端末はBLEで接続される。ブザーが鳴ることで、適切なフィジカルディスタンスを保てる。端末の違いは、電池容量やブザーの音量などの大きさだ。Micro Trackerは重量21g、Smart Badgeは重量80gとMicro Trackerの方が小型設計となっている。

 LoRaWAN/BLE端末からブザーが鳴った回数や時間などのデータを取得し、ゲートウェイサーバー「LoRa Express Gateway」に送信する。蓄積したデータはWebブラウザー上の管理画面から確認できる。「濃厚接触時のデータを可視化することで感染者の追跡も容易に行えます。人の記憶に頼らず正確なデータを取得できるため感染者の拡大を防ぐためにも大いに役立てられるでしょう。本ソリューションで扱うのは個人情報と関連しないLoRaWAN/BLE端末のIDと接触データだけです。個人が特定される情報はないため、セキュリティ面でも安心です」(田嶋氏)

Webブラウザーの管理画面。アラートの集計や履歴などダッシュボード形式で表示されているため、一目で把握しやすい。

端末を持つことで意識が変わる

 濃厚接触アラート/追跡ソリューションは実証実験キットという形で2020年の10月から提供を開始した。現在はオフィスと飲食店の2箇所で実証実験が行われている。

 ソリューションを利用している企業からは、専用端末を持つことで近接や接触の割合が把握できるようになったという声が寄せられたと田嶋氏は話す。導入した当初と比べて、従業員の意識付けができ、アラートの頻度が随分と低くなったと効果も実感できているという。会議室や給湯室など密になりやすい場所に設置して人数制限管理に活用することもできる。

 濃厚接触アラート/追跡ソリューションは、現時点では実証実験キットを提供しているが、来年には正式リリースする予定だという。今後のソリューションの展開について「接触アラートと追跡機能のサービス化を第一優先に取り組んでいきます。新型コロナウイルスの感染症対策ソリューションとして従業員を守るだけではなく、企業の事業継続にも貢献できるでしょう」と田嶋氏は語った。

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