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ペーパーレスの着手の仕方を日立コンサルティングの青山ゆき氏がアドバイス

ペーパーレスの着手の仕方を日立コンサルティングの青山ゆき氏がアドバイス

2020年12月07日更新

今こそ、紙業務の仕分けを
― デジタルと非デジタルの共存方法 ―

新型コロナウイルスの影響で、企業のデジタル化に拍車がかかっている。デジタル化はこれからの企業競争力の源泉となるため、出遅れている顧客に対しては、改めてデジタル化の基本となる紙業務の仕分けから強く促したいところだ。紙業務の仕分けのステップからペーパーレスの到達点とも言える電子契約の動向、そしてこれまで紙業務を支えてきたプリンターのこれからのビジネスチャンスもリポートする。

紙業務の仕分けはデジタル化の最初の一歩

Chapter.1

企業のデジタル化の過程において、紙業務の仕分け、いわゆるペーパーレスはどのような位置付けを占めるのか。「ペーパーレスはデジタルトランスフォーメーションの一丁目」と話す日立コンサルティングの青山ゆき氏に、ペーパーレスの意義から段階的な実現方法までを語っていただいた。

情報のデジタル化で価値が生まれる

日立コンサルティング
デジタル・イノベーションコンサルティング事業部
デジタルイノベーションコンサルティング本部 ディレクター
青山ゆき氏

青山氏 日立コンサルティングで10年以上前からペーパーレスに向けた文書管理コンサルティングに従事してきました。ペーパーレスに関しては、数年前までは会議などで使用する紙資料の削減などを目的とされることが多かったですね。企業が入居している建物の移転時に、紙の保管場所の見直しとともに着手するなど、紙を減らすことそのものがゴールでした。

 しかし、デジタル化やデジタルトランスフォーメーションという概念とともに、情報がデジタル化されることによって生み出される価値が重視されるようになってきたのです。データの活用であり、自動化や新たなサービスの創出ですね。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する前からその流れができていましたが、コロナ禍にある現在は、テレワークなどニューノーマルの働き方への対応も含めて加速しています。

 コロナ以前に後回しにされていた契約書や請求書関連のデジタル化への着手も確実に進んでいます。特に電子契約は自社だけではなく契約相手や取引先も同じ仕組みを利用する必要があるため、むやみに導入しても効果が限定的になるなど、高いハードルがありました。しかし、現在は契約相手や取引先を巻き込んだデジタル化の取り組みがしやすい状況になっています。

 そもそもペーパーレスには二つの側面があります。一つは情報のデジタル化、そしてもう一つはプロセスのデジタル化です。情報のデジタル化とは紙に記載された内容をデータとして扱えるようにすることであり、プロセスのデジタル化とは、データを利用して業務をどこでも行えるようにすることです。それらがペーパーレスの両輪としてあるのですが、いずれの側面もこれからのニューノーマルの時代には必須の要素と言えます。

 例えば、デジタル化が急速に進行している現状において、紙の資料や業務にこだわってしまうと、仕事がしにくい状況になってしまいます。それは自社内だけではなく取引先なども含めてです。そうなるとさまざまな業務に支障が出るようになるでしょう。また、常態的にテレワークを採用する企業が増加する中で、必ず出社しなければならないような企業には、優秀な人材が集まらなくなってしまうリスクも高まります。

 すでに、ペーパーレスを起点としたデジタル化が当然の時代に突入しているのです。

レベルに合わせてソリューションを提案

 ペーパーレス化を始める際には、まず会社全体で紙業務を洗い出して、どのような業務でどんな紙文書が利用されているのかを明確にする必要があります。紙文書や紙業務の見える化ですね。これによって全体が把握できるようになり、何から着手すべきかの判断も可能になります。また、ペーパーレス化を阻害しそうな要因なども見えてきますね。

 紙文書は分類が必要ですが、その際にポイントになるのは、「原本性を担保すべき文書」と「利便性を優先すべき文書」の二つです。原本性を担保すべき文書は法律などに関わるもので、改ざんや紛失を防止する仕組みを作ってデジタル化をしていく必要があります。利便性を優先すべき文書については、デジタル化して社内全体のナレッジとして広く活用できるようにしていくと効果的です。こうした意図を持って系統立てて文書を分類します。

 当社ではペーパーレスのレベルを定義しています(下図参照)。これらのレベルに応じて、必要なシステムやサービスを組み合わせながらペーパーレス化の推進を支援しています。例えば、レベル1の段階ではファイルサーバーやオンラインストレージ、ポータルサイトなどを使って電子文書をベースとして業務を遂行できるような仕組み作りを推進します。レベル2では、ワークフローシステムや電子帳票システムを使って、申請・承認・報告業務、チェック、照会業務などをデジタル化します。いずれも文書管理システムが基盤になります。

「円滑にペーパーレスを推進してくためにはペーパーレスで仕事がどれだけ効率化できるかのイメージを共有しましょう。」

アナログな体質からの脱却を促す

 紙文書の電子化、ペーパーレス化において大きな課題となるのが、現場の抵抗です。10年以上ペーパーレスのコンサルをしてきましたが、そうしたケースは多かったですね。円滑にペーパーレスを推進してくためには、まずはペーパーレス後の業務イメージの共有が効果的です。ペーパーレスの環境ではどのように仕事を進めていけばいいのかイメージが湧かないためにペーパーレスを拒絶する場合も少なくないからです。そのため、ペーパーレスによってどれだけ仕事が効率化できるのかを共有しながら進めていくと理解を得やすいですね。同時にペーパーレスに対応した働き方の提案も不可欠でしょう。現在は紙文書を電子化する際もAI OCRやRPAなどの活用で自動化できる部分が多くなっています。そうしたソリューション提案のチャンスも増えていくはずです。

 ニューノーマルの働き方が強く求められるようになった今は、アナログな体質から企業が脱却できる大きなチャンスです。ペーパーレスから、さらにデジタルトランスフォーメーションへとつながる提案ができるのではないでしょうか。

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