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JIPDEC 常務理事 山内 徹氏が解説する電子契約関連サービスの動向

JIPDEC 常務理事 山内 徹氏が解説する電子契約関連サービスの動向

2020年12月08日更新

導入の加速が見込まれる電子契約や電子署名

Chapter.2

1998年からプライバシーマーク制度を運営してきた日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は、電子契約をはじめとした企業のデジタル化の支援も行っている。ペーパーレス化の最終段階とも言える電子契約などの動向を、JIPDEC 常務理事の山内 徹氏が解説する。

押印に関わる業務の電子化が進行

日本情報経済社会推進協会
常務理事
山内 徹氏

山内氏 新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークやWeb会議などを前提とした業務プロセスの見直しが進められています。私は総務省や経済産業省の担当者と会議を行うことも多いのですが、それらもWeb会議で実施されるようになっています。オフィスにおいては、透明なついたての設置や席の配置換えも含め、ノートPCを活用したフリーアドレスの導入に踏み切る企業も増えているようです。来年9月を目指したデジタル庁の発足も発表されており、国全体で業務プロセスの電子化の流れやオフィスの見直しが加速しています。

 実際の業務の中でどの部分から電子化するかについては、各企業が自社の業務を分析して決めるべきです。直ちに効率化すべき業務プロセスを電子化するのか、新たな価値を生むための業務プロセスを電子化するのかを選ぶのは経営者の責任と言えるでしょう。

 例えば、JIPDECはプライバシーマーク制度を運営していますが、コロナ禍の影響を鑑み、プライバシーマークの現地審査のリモートでの実施を10月から開始しています。

 こうした中で、現時点における傾向としては、業務プロセスの中で押印に関わる業務の見直しが特に進行しています。紙文書への押印を避けるための電子契約サービスへの関心が高まっているのです。電子契約や電子署名などを利用することで、そのやりとりに費やされていたコストや労力を削減できます。もちろん、会社に行かなくても契約や承認関連の業務が行えるようになるため、テレワークの実現にも寄与します。

「紙文書への押印を避けるための電子契約サービスへの関心が高まっています。」

電子契約関連サービスは信頼性が重要

 契約文書関連の電子化には、電子契約、電子署名、電子証明書などのサービスが利用できます。電子契約は、民間の場合には企業と企業(BtoB)、企業と個人(BtoC)のケースがあります。契約書をPDFで作成し、双方が電子署名したものを、電子契約サービス事業者が管理するクラウドで保管します。BtoBでは代表者から権限委譲されている経理部長などの電子署名が使われ、BtoCの場合は個人が電子署名をします。信頼できる事業者のサービスを選ぶことが重要です。

 電子署名は電子契約でクラウド上に保管された契約書のデータの真正性を担保するものです。契約当事者が本当に当該契約の内容に合意しているのか、契約後にそれが改ざんされていないかを示します。その電子署名を行う人の身元を保証するものが電子証明書です。印鑑登録証明書に該当します。電子証明書は、信頼性が担保された認証局から発行されるものを選ぶべきですね。

 そもそも、電子契約サービスを選定する際には、どのような契約を電子化するのかを決めた上で、その契約内容や契約金額などを基にリスクを分析すべきです。その上で、電子署名の仕組みや本人性をきちんと保証できる電子証明書の種類を検討すると良いでしょう。さらに、契約の当事者双方が対等でない場合や軽微な契約においては、電子証明書を利用しない電子サインという簡易的なサービスも利用できます。

 現在は、「eシール」※という仕組みも利用できるようになってきました。eシールは電子文書の発信元の組織を示す目的で行われる暗号化などの措置で、企業の角印の電子版に相当します。eシールが付与された電子文書(当面はPDF)であれば、当該電子文書を作成した法人が現実に存在していて、その文書が作成された後に改ざんされていないことを検証できるようになります。JIPDECでは、日本版のeシールの普及にも尽力していきます。

※EU域内で施行されているeIDAS規則で定義されているトラストサービスの一類型。法人が行う電子署名として機能する。eIDAS規則で定められている要件に適合すると評価されたトラストサービス事業者が発行する法人向けの電子証明書が付与されたeシールは、適格eシールと呼ばれる。国内でもeシール向け電子証明書発行サービスの提供が開始されている。

真の目的はデータの活用

 コロナ禍で加速している業務プロセスの電子化は、企業戦略ありきです。紙文書を減らすことにも効果はありますが、それ自体が目的ではないはずです。真の目的は、業務で扱う情報のデジタル化によるデータの有効活用です。データを分析して経営戦略に生かすとともに、付加価値のある製品やサービスの創出につなげることが重要です。つまり、デジタルトランスフォーメーションですね。

 今後、企業は働き方改革を通じて、人々の創造性を高め、ポジティブな労働を実現していくことが求められていくでしょう。企業の利益だけでなく従業員の幸福度の追求も必要になります。そうした視点でも、業務プロセスの電子化は、重要な取り組みになるのです。

「企業の角印の電子版に相当するeシールという仕組みも利用できるようになりました。」

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