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富士通の内部情報ソリューション「IPKNOWLEDGE」による茨城県の決裁・文書管理の運用施策

富士通の内部情報ソリューション「IPKNOWLEDGE」による茨城県の決裁・文書管理の運用施策

2020年12月21日更新

負担の多い決裁業務や文書管理を改善
~茨城県の電子決裁ツール運用の取り組み~

茨城県は、紙文書による文書管理を見直し、富士通の内部情報ソリューション「IPKNOWLEDGE文書管理システム」を2009年から導入している。導入当初は決裁文書のデータ化に手間がかかることから活用が進んでいなかったが、電子化に向けた施策を立てたことで2018年9月には全庁的に活用されるようになった。IPKNOWLEDGE文書管理システムの利用を推進した施策や決裁業務の電子化と併せて進めているテレワークの取り組みについて茨城県に取材した。

量が多い決裁文書のデータ化に負担

「挑戦する県庁」を目指し、実行力のある組織づくりや働き方改革に取り組む茨城県。従来から決裁業務で扱う紙文書について、参照時に手間がかかるなどの問題から文書管理の在り方が問われていた。こうした決裁、文書管理の効率化を目的として行財政改革の取り組みの中で2009年に導入されたのが、富士通の内部情報ソリューション「IPKNOWLEDGE文書管理システム」(以下、IPKNOWLEDGE)だ。

 しかし、決裁業務の電子化にあたって手間が増えるなどの問題が生じ、数年経っても普及の段階には至らなかったという。導入当時の課題を、茨城県総務部参事の菊池睦弥氏は次のように語る。「全ての決裁文書を目視で確認していた体制から決裁文書をスキャナーでデータ化し、IPKNOWLEDGEに保管する体制へ転換するには一部負担が生じていました。例えば、決裁業務では10~20cm程度の束になっている書類も扱います。そういった書類を処理するには1枚1枚スキャナーでデータ化する手間を要し、逆に業務効率を低下させるデメリットがありました」

 そうした中、2017年9月に大井川和彦氏が茨城県知事に就任。ICT関連の施策に意欲的だった大井川知事は、2018年4月に行政文書に関して例外なく電子化するよう指示を出した。これを受け、茨城県では決裁業務の電子化における運用ルール策定などを実施した。以下は決裁業務の電子化に向けて、茨城県内で実施した取り組みだ。


■決裁業務の電子化に向けた取り組み

・電子決裁推進の趣旨の全庁への徹底……通知の発出や会議の場で電子決裁推進の趣旨の徹底を依頼。決裁の持ち回りが多い部局に対しては、直接協力を要請するよう指示。

・目的の明確化……紙文書の電子化による業務負担の増加を避けるため、「意思決定プロセスの電子化」や「文書の適正管理」を目的として決裁の判断に必要な書類のみを電子化して回付。

・各部局の課題に対応……アンケートから、紙によるチェックや審査が欠かせない文書があること、スキャンによる全文書の電子化は業務の負担になることの二つの課題点を洗い出した。この課題に対して、例えば審査が必要な書類は紙のまま処理したうえで、決裁の判断に要する情報のみを電子化し回付することとし、資料のスキャンは必要最低限とすることで過度な負担を軽減した。

・各部局の運用に即した文書管理……電子決裁の運用の詳細は各部局の業務特性により大きく異なることから、各部局に運用ルールの策定を依頼。各部局は必要に応じて電子決裁をしやすい運用ルールを策定して取り組みを推進。


 本施策により、庁内職員が決裁業務でIPKNOWLEDGEを利用しやすい体制を整えた。例えば、決裁文書は、直接の決裁判断が必要な最低限の書類のみ添付のうえ電子決裁を行う。職員から確認の要望があった場合には、確認を希望した職員が申請者に当該書類を持ってくるよう依頼したり自分で確認したりするなどルールを策定し、決裁業務の電子化によるデメリットを解消したのだという。

決裁業務の電子的な効率化

 IPKNOWLEDGEでは、データ化した決裁文書の決裁区分の設定が可能だ。例えば、申請者から決裁権限を持つ担当者までの職員名を決裁ルート上に自動表示できるので、承認決裁者の設定の効率化が図られている。また、決裁ルート上の承認・決裁担当者以外への参考回覧機能も搭載しており、決裁業務の担当者以外の職員に決裁文書のデータを共有することができる。こうした機能に加え前述の電子決裁の推進のための取り組みにより、2018年9月にはIPNOWLEDGEにおける電子決裁率は99%にまで増加した。決裁業務の電子化の成功に関して、菊池氏は「成功の秘訣は、三つ挙げられます。一つ目は、県知事に決裁業務の電子化実施への意欲があったこと、二つ目は決裁の判断に必要な書類のみを電子化することとしたこと、三つ目は電子決裁が必要な文書についての例外を認めなかったことです。この三つのポイントによって、本取り組みの成功につながりました」と振り返る。

 IPKNOWLEDGEの今後の運用については、他県との共同利用なども検討中だ。「IPKNOWLEDGEは2025年3月に次期バージョンへの更新を予定しています。県では、IPKNOWLEDGEの仕様の変更に伴い運用の仕方などを検討していきます。また、システム更新と並行してIPNOWLEDGEにおける他県との共同利用の実現可能性も検討してまいります。自治体の決裁業務の効率化に役立てられるよう、取り組みを進めていきたいところです」(菊池氏)

RPAを活用し市民の生活施策を向上

 決裁業務の電子化によって、テレワークの普及も進んでいる。茨城県では、2016年から「業務改革」を目的として時差出勤やテレワークを実施。当初は、介護や育児のために在宅勤務が必要な職員や出張のある職員を対象としていた。しかし、徐々にテレワークの規模を広げ、2018年には全正規職員、今年度からは全臨時職員も含めたテレワーク体制を整備。新型コロナウイルス感染拡大への対応でテレワーク用のライセンスが不足している問題が生じたものの、現在では解消され、庁内業務を自宅でもスムーズに行えているという。

「テレワークに際して、シスコシステムズのチームコラボレーションツール『Webex Teams』も活用しています。Webex Teamsでは1対1の簡単な相談から複数人でのWeb会議も行えるので、部下と上司間のコミュニケーションなどが気軽に行えます。IPKNOWLEDGEとWebex Teamsを併用することで業務もスムーズに進められています」と菊池氏。業務改革の一環として、RPAの活用も進めている。菊池氏は「定型的な業務ではUiPathが提供しているRPAツールの活用を進めています。職員がよりよい住民生活施策を練り上げる創造的な業務に時間を割けるよう、力を注いでいきたいです」と展望を語る。

 茨城県は今後も、IPKNOWLEDGEやUiPathといったITツールを活用していくことで決裁業務をはじめとする庁内業務の効率化をサポートする取り組みを実施していく。

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