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来店客に合わせて広告表示が切り替わるシェルフ・サイネージシステム

来店客に合わせて広告表示が切り替わるシェルフ・サイネージシステム

2020年11月27日更新

来店客に合わせて最適なコンテンツを表示

小売店舗でイラストや文字などで装飾を施し、商品のプロモーションを行う「POP広告」(Point of Purchase Advertising)を一度は目にしたことがあるだろう。POP広告は来店客に対して、販売員に代わり商品やサービスの価値を訴求し、購買意欲を高める効果がある。そのPOP広告をデジタル化し、小売店舗における販促効果を高めるツールとしてTANA-X(タナックス)とリコーは、来店客に合わせて、効果的な広告を表示させられる「コネクテッドシェルフ」を共同開発した。

新たな買い物体験を提供

 小売店舗において商品の販促のため、POP広告を活用するケースが多い。来店客の目を引く広告を用いて、商品棚の前で足を止めてもらう。POP広告を有効活用することは、販売促進につながる効果を期待できる。流通経済研究所が行った「ショッパー・マーケティング ショッパー視点のメニュー経済価値訴求売場の効果」の調査によると、来店客の約85%が売り場(商品棚)に3秒以下しか滞在していないという結果が出ている。来店客が購買するか否かを判断する時間は短く、いかにして商品の魅力を伝え、注目させるかが重要であると言える。

「昨今では、EC市場の拡大により、実店舗での売り上げが伸び悩んでいる小売店舗も少なくありません。来店しても、目的の商品だけを購入する目的買いといったケースも多く、販売の機会の損失も課題として挙げられます。加えて、来店客が楽しめる店舗づくりに悩む声もあります」とTANA-X 執行役員 事業開発室 室長 中川雅臣氏は話す。

 そうした課題を解決するため、店頭販促ツールなどを開発するTANA-Xとデジタルサイネージ事業を手掛けるリコーは、AIカメラやIoTセンサーモジュールを活用したシェルフ・サイネージシステム「コネクテッドシェルフ」を共同開発した。

 商品棚の前にいる来店客の年齢や性別などに合わせてコンテンツの表示を自動で切り替えられる。来店客に新たな買い物体験を提供することで、集客率を上げ、店舗における売り上げの拡大に貢献する。

マグネット効果で集客を狙う

 コネクテッドシェルフは、店舗のゴンドラ什器(商品棚)に横長のストレッチディスプレイ、来店客の性別などの属性を取得できるAIと連動したカメラ、来店客の滞留情報を取得するための距離センサーなどを設置する。カメラやセンサーから取得した来店客のデータは、クラウドサーバーに送信・蓄積されていく。取得したデータを基に、来店客の年齢や性別などに合わせて商品棚に設置したストレッチディスプレイに販促コンテンツを表示する。コンテンツは棚ごとに配信する映像を変えられるだけではなく、商品棚に設置された複数のサイネージを一つの画面として使用する「シンクロ・モード」を搭載している。POP広告とは異なり、ダイナミックな売り場を演出することで来店客の関心を持たせる。

「サイネージ広告というと、大きなディスプレイに一つの映像を流すといったイメージが強いでしょう。コネクテッドシェルフは、ワンパターンの映像ではなく、来店客や棚前の状況に合わせて自動でコンテンツを切り替えて演出を変えられます。サイネージを使った演出は遠距離からでも目立つため、店舗内を歩いているときに思わず引き付けられてしまうといったマグネット効果も見込めます」とTANA-X 事業開発室 大須博文氏は特長を説明する。

 コンテンツの配信は、リコーが提供するクラウド型サイネージ配信サービス「RICOH Digital Signage」をベースにした販促コンテンツの切り替えや、映像受信機器を統合的に管理できるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を利用して行う。

「コネクテッドシェルフで取得したデータはマーケティングに有効活用できます。POSデータで購買情報などは確かめられますが、売り場の商品棚にどれだけの来店客が足を止め、商品に興味を示したのかといった情報を得ることは難しいでしょう。来店客数だけではなく、性別や年齢などの情報を基に多角的な販売戦略に役立てられます」(大須氏)

非対面接客の用途としても利用可能

 2020年1~3月に都内のショッピングモールの店舗でコネクテッドシェルフの実証実験が行われた。

「コネクテッドシェルフを導入したことにより商品棚の前に人が立ち寄る比率は、実証実験の前と比べて
格段に上がりました。この結果を基に、POSデータと比較して実際に商品の購入に至ったのかといった分析や検証をしています。また、センサーを追加し、Aの商品を手にしたらAの動画を表示させる、Bの商品を手にしたらBの動画を表示させるといったさらなる顧客体験の向上に向けて開発を進めていきます」と中川氏は説明する。今後も実証実験やリコーとの協議を重ね、2021年の夏ごろの正式リリースを目標に運用体制を整えていく予定だという。

 コネクテッドシェルフは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い、販売員の対面接客をサイネージで代替するといった用途も期待できると大須氏は話す。

 最後に中川氏は「商品棚への設置からコンテンツの配信、マーケティング分析までワンストップでサービスを提供できるコネクテッドシェルフは競合製品にはない魅力があります」と語った。

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