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議事録作成業務に自動文字起こしサービスを活用する沖縄県

議事録作成業務に自動文字起こしサービスを活用する沖縄県

2020年11月25日更新

議事録の作成業務をスピーディーに
~沖縄県、自動文字起こしサービスにより業務プロセス効率化へ~

沖縄県は、2020年1月からクラウド型文字起こしサービスとテキスト編集ソフトウェアを導入した。従来手入力で行っていた議事録作成の文字起こし作業を自動化したことで得られた成果について、沖縄県に取材した。

RPAで入力作業を自動化

 沖縄県では、多様化する県民のニーズに対応した質の高い行政サービスの提供に取り組むため2018年3月に「沖縄県行政運営プログラム」を策定した。

 沖縄県行政運営プログラムでは、「県民への情報提供等の充実・多様な主体との役割分担の推進」「能率的で活力に満ちた職員一人ひとりが輝く組織・職場づくりの推進」「収支のバランスがとれた持続可能な財政マネジメントの強化」の三つを基本方針として成果重視型の行政運営を推進している。以下はその取り組みの一部だ。

■沖縄県行政運営プログラムの取り組み例
業務プロセスの見直し/行政管理課……業務自動化RPAツール「WinActor」を生活保護費の支給事務に活用。生活保護システムで計算された各世帯の支給額を、財務システムに職員が手動入力する手間を削減した。

議事録作成に文字起こしサービスを利用

 実施計画には、全庁的に業務プロセスの見直しを検討する取り組みがある。その一つに、生活保護費支給事務にRPAツールを導入した例がある。生活保護費の支給業務において、手動の入力作業の削減効果が得られた。

 また、議事録の作成業務についても検討を開始。従来、議事録の作成には多くの時間を要しており、長時間にわたる場合には複数の職員が手分けして手入力で議事録を作成するなど非常に手間がかかっていた。そうした議事録の作成業務を効率化するために導入を決めたのが、クラウド型文字起こしサービスだった。

 クラウド型文字起こしサービスを採用したポイントとして、沖縄県総務部行政管理課の担当者はこう説明する。「導入にあたり、スタンドアロン型の音声認識ソフトウェアも検討しましたが、クラウド型文字起こしサービスは費用がライセンス料だけで済み、アカウントも各所属分作れるのでコストパフォーマンスが高いという優位性がありました。また、AIによる音声認識機能を搭載しており、文字起こしの自動化にも有効だと判断しました」

 上記の検討を経て、2019年に入札でクラウド型文字起こしサービスの調達を実施したところ、アドバンスト・メディアが提供する「ProVoXT」を採用することとなり、2020年1月から導入・運用をスタートしている。現在は沖縄県庁の課ごとにそれぞれ1アカウントを割り振って利用している状況だ。

 活用方法は以下の通り。集音マイクとICレコーダーを利用して会議内容を録音し、そのデータをインターネット接続系の職員のPCからクラウドへアップロードする。クラウドへアップロードされた録音データはテキストとして変換され、編集できるようになる。

 現在文字起こしサービスは189アカウント有効化されており、各課で利用できるようになっている。そのうち、利用したことのある課は104と割合としては大きく、高い活用効果が出ている。

 さらに、議事録作成作業の効率化も進めている。沖縄県では、議事録作成用音声・テキスト編集ソフトウェア「AmiVoice Rewriter」も併せて導入しており、ProVoXTの文字起こしデータを有効活用している。担当者は「テキスト編集ソフトウェアは、文字起こしサービスでテキストに起こされてきた文章データを文節ごとに区切って抽出できるため語句の確認や修正などがしやすいです。またUIも工夫されていて、文節の隣に話者の名前を入力できる部分があるので、テキストを自動で対話形式にできるだけでなく話者の判別もしやすいのです」と評価している。

 テキストとして抽出された部分を文節ごとに音声再生する機能も搭載している。音声の再生スピードは聞きやすい速さに調節できるため、聞き取りにくい箇所などを最適なスピードで聞き直して誤変換した語句の修正をスムーズに行える。編集したテキストはWordやExcel形式に変換でき、ほかの業務に利用しやすい点もポイントだという。

安全な事務補助ツールとして推進

 文字起こしサービスの導入による議事録作成業務への効果や現在の活用状況としては、1月に導入してから9月末までのクラウドへのアップロード総件数が1,137件。時間にすると1,407時間の会議音声ファイルが文字起こしサービスによって自動テキスト化された。3~5月は新型コロナウイルス感染症拡大により会議が減ったが、議事録の作成業務に役立てられている。実際に文字起こしサービスを活用している職員に話を聞いたところ、導入後は、議事録作成にかかっていた時間を従来の半分以下に減少できたという。

 文字起こしサービスによる今後の業務プロセス効率化に向けて、担当者は現在の課題を次のように振り返る。「文字起こしサービスを利用することによる効果は大きいですが、誤変換が起こるなど議事録の作成にかかる手間が完全になくなったわけではありません。庁内職員が文字起こしサービスに過度な期待をして実際にかかる手間を面倒に感じることで活用率が低くなる事態は避けたいと思っています。行政管理課は、各職員が事務補助的に便利なツールという認識を持てるよう上手く活用を促していく予定です」

 さらに、会議や打ち合わせの内容で個人情報を含む情報を取り扱う課はインターネット回線でクラウドに会議内容のデータをアップすることを避けている。行政管理課は、クラウドにアップして情報が漏えいしたらという懸念に対して庁内職員が安心して利用していくために、LGWAN接続系でのサービスが提供されていないか、随時情報収集しているという。「安全なLGWANで文字起こしサービスを活用できたら、さらなる活用促進につながるのではないかと考えています」

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