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コロナ禍の医療リソース共有をkintoneで実現した神奈川県

コロナ禍の医療リソース共有をkintoneで実現した神奈川県

2020年11月16日更新

クラウドでコロナ禍の医療リソース共有

Case:神奈川県

神奈川県
健康医療局 医療危機対策本部室
兼 保健医療部 医療提供情報担当課長
健康医療データ活用担当課長
清本次保 氏

 新型コロナウイルスによる感染拡大が進む中で、大きな問題となっていたのが医療機関のリソースだ。感染者数の急増に伴って病床数が不足し、治療を必要する患者に十分な治療が行えなくなる“医療崩壊”が起こると懸念されていた。実際、防護服やマスクなどの医療資材が不足していた医療現場も多くあり、感染者数の推移などと合わせて、これらの情報を可視化できる基盤が求められていた。

 そうした新型コロナ対策にいち早くkintoneを採用し、情報共有を図ったのが神奈川県だ。3月11日にkintoneの採用を発表した神奈川県では、県内の医療機関の状況や、県民からの問い合わせ状況、外来受診状況を把握するため、医療機関への日次/週次での調査や各機関との連携を通じて情報収集を行っている。kintoneの導入は、それらの収集した情報を、医療機関や保健福祉事務所、市町村などと共有することで、各機関での対応や相互連携につなげていくことを目的としている。

 神奈川県の医療危機対策本部室(新型コロナウイルス感染症対策本部) 清本次保氏は「神奈川県では、クラウドサービスをこれまで使っていませんでした。しかし、民間や医療機関、保健所など複数のステークホルダーと情報を共有するためには、クラウドサービスのkintoneが最も適していると判断しました」と語る。神奈川県では民間企業から自治体のIT化についてアドバイスを求める顧問を起用しており、今回のkintone採用もそのアドバイスに基づき実施された。実際に民間企業でも利用されており情報連携基盤として最適であったことや、サイボウズがISMSクラウドセキュリティ認証を取得しており、医療情報に近いデータを扱うためのセキュリティ性が担保されていることが決め手となった。

 清本氏が特に評価したのが、kintoneにおけるアプリ作成のしやすさだ。「ノーコードでアプリ作成ができるため、一部機能は自治体職員が作成しました」と清本氏。kintoneは県内病院の診療状況をはじめ、帰国者・接触者相談センターからの情報がタイムリーに集約される戦略的モニタリング基盤の役割を果たしている。神奈川県、保健福祉事務所、政令市などと情報を適宜共有しながら、組織間連携を図る上で不可欠な存在だ。

 実際にkintoneを導入したことで、医療現場の医療資材や医療機器の不足状況などが可視化でき、供給対応につなげられたと清本氏は振り返った。

ノーコードが変革する情報連携

Product:kintone

業務アプリ作成のツールとしても知られるkintone。その作成のしやすさがコロナ禍において大きな効果を発揮した。医療機関のリソース共有を実現したkintoneについて、サイボウズに話を聞いた。

自治体の業務改善にkintoneを活用

サイボウズ
営業本部 営業戦略部 公共担当
蒲原大輔 氏

 ドラッグ&ドロップで業務アプリケーションが作成できるサイボウズの「kintone」は、“現場にとって必要なアプリを現場で作れる”ノーコードアプリ作成ツールとして知られる。APIを公開しているため、パートナー企業がkintoneの機能を拡張するプラグインの開発を行っており、拡張性が高いのも魅力の一つだ。

 そうしたkintoneが自治体に導入される事例が増加している。前職は品川区役所の職員だったというサイボウズの蒲原大輔氏は「自治体では業務が増え続ける半面、公務員の人数は減り続けています。この問題を解決するためには効率的な行政運営が求められますが、実際には非効率な業務が続いています」と指摘する。

 そうした問題を解決できるのがkintoneによるノーコードのアプリ作成だ。時間とコストのかかるパッケージ開発の外注システムや、機能が不足しやすいExcelやAccessによる内製システムと比較して、kintoneは最短1日で業務アプリを作成でき、十分な機能性を持つ。自治体職員自身が業務アプリを作成でき、業務改善に役立てられるのだ。

 こうしたkintoneのノーコードのアプリ作成が特に役立てられたのが、自治体の新型コロナウイルスへの対応だ。神奈川県の新型コロナウイルスに対する戦略的モニタリング基盤への採用に加え、大阪府では「新型コロナウイルス対応状況管理システム」をkintoneで作成し、患者の健康状態把握などに活用されている。

保健所職員の業務負担を軽減

「多くの自治体で、新型コロナウイルス感染症患者の健康状態を把握するために保健所職員が各患者に電話をかけて聞き取り調査を行っており、患者が増えるにつれてその業務負荷が大きくなっています。保健所で聞き取った内容はExcelなどに入力して自治体の担当部署にメールで送付するため、担当部署側の集計業務の負担も大きいのです。大阪府でもそれは例外ではなく、今年の4月6日に『このままでは保健所の業務がパンクしてしまう。これらの業務をシステム化できないだろうか』と相談があり、即日Web会議を実施しました。その直後に導入が決まり、約1週間でシステムが作成されました」と蒲原氏。

 新型コロナウイルス対応状況管理システムを作成したことで、患者はスマートフォンから簡単に自身の健康状態を報告できるようになった。また、その情報はkintoneのデータベースに自動的に蓄積されるため、集計業務の手間を大幅に削減できたという。もちろん、患者情報は非常にセンシティブなデータのため、患者の氏名などの個人情報はkintone上で管理せず、患者番号によって管理されている。

 また、神奈川県の活用モデルを応用し、厚生労働省でも新型コロナウイルス感染症の情報収集ツールとしてkintoneを採用。全国約7,000の医療機関からの病床情報を把握するほか、医療機器のリソース状況も収集して各医療機関に対してスピーディーなリソース提供を行う。ほかにも地域医療連携を進めるため、病院間での情報共有ツールとして活用されるなど、今後も多様なシーンの情報共有プラットフォームとして、kintoneはますますの広がりを見せていきそうだ。

kintone によって収集された一部公開可能な情報を公開している「新型コロナウイルス感染症対策サイト」。神奈川県民が医療機関の状況や県内の最新の感染動向を把握できる。
kintone で集約している情報。医療機関の稼働状況や、医療機器や医療資材の状況、帰国者・接触者相談センター対応状況などを一元的に管理する。

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