
メドレーの「CLINICSオンライン診療」を活用する外房こどもクリニック
Special Feature 2
オンライン診療本格化!
デジタル化がもたらす
医療変革
コロナ禍において、医療現場でのデジタル化が進んでいる。4月10日に厚生労働省から示された、初診も含めたオンライン診療の時限的な解禁は、10月9日の会見で恒久的な新たな診療形態の一つとする方針が示された。今後ますます普及が進むオンライン診療から、医療現場のIoTであるIoMTまで、その最前線を取材した。
オンライン診療は第四の医療体制
Case:外房こどもクリニック
感染症対策として人との接触回数を減らすため、ビジネスの現場でWeb会議ツールが爆発的に普及したように、医療現場では“オンライン診療”というキーワードがよく聞かれるようになった。その活用について外房こどもクリニックに語ってもらった。
房総半島東南部に位置する千葉県いすみ市は、2005年に旧夷隅町と旧大原町、旧岬町の3町が合併して誕生した田園都市だ。そのいすみ市岬町和泉にある「外房こどもクリニック」は、2016年6月21日から、メドレーの「CLINICSオンライン診療」を活用した遠隔診療を実施している。
遠隔診療が僻地や離島以外でも実質解禁とされたのは、2015年8月10日の厚生労働省からの事務連絡による。そこからわずか1年足らずでオンライン診療の導入に踏み切った背景には、外房こどもクリニックが小児医療過疎地域にあり、遠方から定期通院する患者も少なくなかったことが挙げられる。
外房こどもクリニックの黒木春郎院長は「基礎疾患を有するなどさまざまな理由で通院が困難な患者さまはもちろん、病院に来たがらない小さなお子さまや、共働きで通院の時間が取りにくいご家庭など、オンライン診療をスタートした当初から患者さまやご家族からのニーズは非常に高いです」と語る。黒木院長は、2020年1月まで日本オンライン診療研究会※の会長を務めており、オンライン診療の医療制度作りに必要なエビデンスの集積と発表などにも取り組んでいる。
「オンライン診療は、患者さまにとってメリットの大きい診療方法です。通院時間が減ることはもちろん、来院しなくてもよいことで、通院が途絶えたり薬がなくなって病状を悪化させることも減ります。特に小児診療においては、自宅での生活の様子や、リラックスした姿での診療が可能になるというメリットも大きいですね」と黒木院長。オンライン診療は、「入院」「外来」「在宅」に次ぐ第四の医療体制であり、外来の補完ではない新しい形の医療だと指摘した。
コロナ禍において、オンライン診療の初診も時限的に解禁され、その需要は大きく伸びた。外房こどもクリニックでも、オンライン診療の利用率はこれまでと比較して2~3倍に増加している。基本的には、定期通院をしていた患者がオンライン診療に切り替えるケースが中心だったが、ほかの病院に通院していた患者が、コロナ禍による通院の不安感から外房こどもクリニックにオンライン診療での受診を希望するケースもあったという。もちろん、対面での診療や検査が必要なケースも存在するため、患者の病状に合わせた受診方法の提案を行っている。
※現在は日本遠隔医療学会に活動内容を継承し、日本オンライン診療分科会として活動している。
診療から服薬指導をトータルサポート
Product:CLINICS
外房こどもクリニックが導入している「CLINICSオンライン診療」を開発しているのが、医療ヘルスケア分野の課題解決のため設立されたベンチャー企業のメドレーだ。
予約から薬の処方まで
医療ヘルスケアの未来をつくる――。そう掲げるメドレーは、2016年2月からオンライン通院システム「CLINICS」をリリースし、医療機関へ提供している。2015年8月10日の厚生労働省による遠隔診療通達(事務連絡)を受け、メドレーではCLINICSの開発を進めると同時に、弁護士や医師を雇用し、法制度やガイドラインなどさまざまな視点から、臨床的に使えるオンライン診療ツールの実現を目指した。
CLINICSは現在、クラウド診療支援システムとして、オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」、事前予約管理システム「CLINICS予約」の三つのサービスを提供している。
CLINICSオンライン診療は、予約から診療、決済、薬・処方箋の配送までワンストップで完結できるオンライン診療システム。全国2,000カ所近くの契約医療機関で利用されているなど、高い導入実績を持つ。CLINICSカルテと併用することで、CLINICSオンライン診療のアプリから予約した患者情報と連携でき、よりスムーズな診療行為が実現できる。
CLINICSオンライン診療によるオンライン診療の流れは以下の通り。患者は「オンライン診療・服薬指導アプリ CLINICS」をダウンロードし、自身の都合に合わせてオンライン診療の予約を行う。問診票などもアプリで回答可能だ。予約した時間になると、医師からアプリ上で呼び出され、ビデオチャットで診察がスタートする。診療後は登録したクレジットカードから自動で決済されるほか、オンライン服薬指導に対応した病院であれば処方箋データをアップロードしてもらい、アプリ上で調剤薬局から服薬指導も受けられる※。
※調剤薬局側では、調剤薬局窓口支援システム「Pharms」の導入が必要
コロナ禍で利用率は約10倍に
コロナ禍において、CLINICSの活用はどのように変わったのだろうか。メドレーの田中大介氏は「2020年1月、2月と同年4月、5月のCLINICSオンライン診療の新規顧客医療機関を比較すると、およそ10倍に増加しています。また新規登録患者も約10倍に増加するなど、大きな変化が表れています」と語る。
このような利用率の大幅な増加の背景には、初診解禁による、オンライン診療の認知度向上がある。また、感染症予防として他人との接触を避ける人が増え、病院の待合室などに行くことを忌避する傾向があることも、オンライン診療利用率増加の理由として挙げられた。
「今後、オンライン診療はどんどん進んでいくでしょう。メドレーではその広がりをサポートできるよう、正しく啓蒙活動をしていきます。現在、コロナ禍で時限的に規制が緩んでいますが、本当にそれでよいのか?というのは常に考えていく必要があり、事故が起こらないシステムづくりにこだわり、これからの医療ヘルスケアの未来を形作っていきます」と田中氏は語った。
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