
日本HP、マウスコンピューター、デル、ワコムが語るクリエイター向け製品の商機
クリエイターの仕事環境を見直す
新型コロナウイルスは、各業界のクリエイティブ部門やクリエイター関連の業務進行にも大きな影響を及ぼしたようだ。これからの時代に求められるクリエイティブ環境やツールについて考える。
ハードウェアベンダーに聞く
クリエイター向け製品のビジネスチャンス
リモートツールに注目集まる
日本HP
大橋氏 負荷の高い処理が求められるクリエイターの作業環境で使用される製品は、安定稼働の面でもデスクトップタイプが中心でした。モニターの環境においても、4Kや8Kなどの高解像度化が進む中では、大きな画面で表示させられる方が作業の効率性は高くなります。ただし、新型コロナウイルスの影響で、ノートタイプの製品を利用した環境づくりが進んでいるのも事実です。ノートタイプの製品を活用したテレワーク環境づくりに取り組まれているのですね。例えばノートタイプのワークステーションは、どこにでも持ち運べるので、現場で撮影した映像をその場で編集してしまうような環境も構築できます。こうした作業環境を実現するノートタイプの製品においては、セキュリティはデスクトップよりもさらに重要な要素になります。
中山氏 在宅環境でも会社にあるデスクトップを操作できるリモートツールへの注目度が高まっています。ツールを選択する上で指標となるのは、3Dなどのデータをリモート環境でも高速に描画できる性能やデータのセキュリティ性です。当社では「HP ZCentral Remote Boost」というリモートツールを、当社のワークステーション「Zシリーズ」に無償で付けています。10年以上の実績があるソフトで、独自の圧縮技術によって転送データを170:1の高い圧縮率で高速にエンコードするため、ネットワークへの負荷を抑えつつ快適なリモートワーク環境を構築できます。コロナ禍の影響もあり、お問い合わせが非常に増えています。
BTOメーカーの強みを生かす
マウスコンピューター
譜久島氏 テレワークの普及でクリエイター向けのノートPCのニーズが増えています。重視されるのは省スペース性やインタフェースの充実です。仕事をしていないときには邪魔にならないように片付けられるノートPCのメリットが生きます。インターフェースにおいては、例えば、外付けモニターを利用したデュアルディスプレイにするなど、在宅時にさまざまな機器をノートPCに接続するニーズがあります。
当社ではクリエイターやエンジニア向けのPCブランド「DAIVシリーズ」を4年ほど前から提供してきました。デスクトップからノートまで幅広くラインアップしています。中小企業ユーザーで30~50台程度のPC利用という環境で選択されやすいですね。一般的なハイエンドPCと比較してBTOメーカーならではのコストパフォーマンスが強みになります。
クリエイター市場については、右肩上がりで推移しています。特に3D CGやVRのジャンルは伸び続けています。これからの期待値が高いのは、4Kや8Kなどの映像編集の分野です。4Kが主流になりつつある中で、4Kの映像データの円滑な編集性能を適切な価格で提供できるかどうかが勝負になるでしょう。
こうした中で、今後はBTOで提供できるパートナー製品の拡充にも努めていきます。PCと接続して利用するモニターやタブレットなどの動作検証を積極的に行ってきましたが、それらの製品を一緒に購入できるような仕組みをさらに整備していきます。
モバイルワークステーションの割合が増加
デル・テクノロジーズ
馬場氏 ゲームや映像制作の現場では、テレワークを実現させるために、会社で使用しているPCやワークステーションを自宅に持ち帰ったりしたようです。ゲーム制作などに使用する製品はスペックが非常に高く、周辺機器との相性などもあるため、いつも使用している環境をそのまま持ち帰る方が安心だという状況があったのでしょう。そうした中で、可搬性などの面でメリットがあるモバイルタイプのワークステーションをサブ機として利用するケースが増えてきました。
湊氏 ワークステーションの市場全体から見ると、モバイルタイプのワークステーションの割合が劇的に伸びています。例えば米国のワークステーション市場ではモバイルワークステーションの割合が60%を超えています。国内ではコロナ前までは15%程度の割合でしたが、コロナ後には30%にまでモバイルワークステーションの割合が増加しました。テレワーク需要によってモバイルワークステーション市場が一つの壁を越えたと考えています。今後、国内でも40%程度までは伸びると想定しています。
馬場氏 モバイルワークステーションの活用においては、データを効率的にやりとりできる仕組みが欠かせません。クリエイティブ分野では扱うデータファイルが大きくなるからです。これは、会社のネットワーク環境から離れた在宅環境で各従業員が仕事をする際の根本的な課題とも言えるでしょう。これからは、チームで作業できる環境構築の提案も必要になりますね。
ペンタブレットの売り上げが伸びる
ワコム
角井氏 データの機密性が高いクリエイティブワークにおいても、新型コロナウイルスの影響で半ば強制的にテレワークの実施が余儀なくされました。しかし、そうした状況下でも“クリエイティビティは止めないぞ”という空気が業界にはありました。
クリエイターは基本的にはチームでスタジオにこもって作業するケースが多く、在宅環境でチームのメンバーが離れ離れで作業をする場合には、コミュニケーション環境も含めて構築すべきでしょう。
実際にタブレットの市場も全体で伸びました。オンライン教育などでも液晶のペンタブレットの活用が増えています。当社では、板型のペンタブレットや液晶を搭載したペンタブレットを提供しています。ゲームなどの開発において画面操作などは板型のペンタブレットを活用し、背景などの描き込みでは液晶ペンタブレットが利用されていたりします。制作物の校正などでは低価格の液晶タブレットが使われています。各ワークフローの中で使い分けできるラインアップをそろえているのが当社製品の特長です。
企業では、制作物の作業工程を管理するシステム全体がWindows環境向けに構築されているケースも多く、Windowsに対応できるタブレットのニーズも高いですね。
これからはリモートワークがさらに浸透していくでしょう。そうした中で、デジタルで手書きを実現できるペンタブレットの需要は、通常のビジネスタスクにおいても伸びていくはずです。
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