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クラウドの活用で在宅勤務率90%以上を実現した三井不動産

クラウドの活用で在宅勤務率90%以上を実現した三井不動産

2020年10月12日更新

Special Feature 2
Withコロナ時代のテレワーク実践

コロナ禍において業種を問わず多くの企業で実施されたテレワーク(在宅勤務)。しかし、実際のテレワーク事例として目立つのはIT業が中心となっており、他業種での活用実態はあまり見えてこない。そこで今回は、不動産、運輸、保険の3業種からテレワークの実践事例を紹介し、求められる環境整備の共通項を見ていく。

Case.1 三井不動産

“3月末の段階で、90%以上の従業員が在宅勤務に移行”

不動産事業を展開する三井不動産では、以前から進めていた働き方改革の整備を生かし、コロナ禍において90%以上の従業員を在宅勤務に移行した。要となったのはフルクラウド化した基幹システムと、持ち運びしやすいモバイルノートPCの活用だ。

段階的に進めた働き方改革

三井不動産 森田 朋 氏

 日本橋三井タワー、霞が関ビルディング、東京ミッドタウン、東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワーなど数多くのオフィスビルを展開する三井不動産。国内13施設のほか、海外にも展開するららぽーとや、銀座や日本橋エリアをはじめとした21施設を展開するアーバンなど、地域に根ざした商業施設も手がける。

 そうした幅広い不動産開発事業を展開する同社が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受けて実施したのが従業員の在宅勤務。緊急事態宣言が発せられる前である3月末の段階で、90%以上の従業員が在宅勤務に移行していたというから驚きだ。

 そうしたスムーズな在宅勤務への移行が実現できた背景には、同社が2016年から段階的に進めていた働き方改革がある。

 基幹システムを刷新する構想からスタートし、2018年4月にはWindows 7からWindows 10端末へのリプレースを実施。その際に、カメラ付きの軽量ノートPCへの切り替えを行った。リプレース先の選択肢として三種類の端末を用意し、事務作業中心の従業員には大きめのノートPC、そのほかの従業員に対しては軽量のタブレット型のPCとクラムシェル型PCを支給した。また、場所を選ばず業務が行えるよう、軽量端末2種についてはSIMカードスロット搭載モデルを選定している。

 また、同年に導入したのがWeb会議ツールだ。三井不動産では主にMicrosoft Teamsと、Cisco Webex シリーズを利用している。Teamsは社内向けのWeb会議でメインに利用されており、Webexは社外向けのWeb会議で利用されるケースが多いという。Webexが使えるオールインワンデジタルホワイトボード「Cisco Webex Board」が設置されている会議室もあるため、社外とのコミュニケーションが行いやすいのだ。

 2019年4月には基幹システムのフルクラウド化を実施。電子押印機能によって社内稟議書などの印鑑を廃し、ペーパーレス化を進めた。またiPhoneを従業員に支給して、モバイル端末からでも承認ができるよう、仕組みを整えた。同年8月には本社機能を現在の日本橋室町三井タワーに移転し、フリーアドレス化も実施した。

三井不動産が展開する法人向け多拠点シェアオフィス「WORK STYLING “SHARE”」

基幹システムのフルクラウド化が鍵に

 三井不動産 DX本部 DX一部 DXグループ・技術副主事 森田 朋氏は「働き方改革の整備によって、コロナ禍以前も在宅勤務の実施は可能な状況にありましたが、介護や育児などが必要な従業員のみの利用にとどまっていました。フレキシブルな働き方という観点から見ると、それぞれの従業員が当社のシェアリングオフィスでテレワークを実施するなど、場所を選ばない柔軟な働き方が実施できていました」と振り返る。

 そうしたノウハウがあったからこそ、コロナ禍においてはスムーズな在宅勤務への移行が実施できたようだ。特に大きかったのがフルクラウド化した基幹システムに習熟していた点で、日常的な業務は滞りなく進められたという。そうした中でも生じた不明点などはヘルプデスクが遠隔でサポートした。

 もちろん、突然の在宅勤務実施にあたりトラブルも発生していた。「特に問題となったのはVPNのキャパシティでした。もともとVPNサービスは導入していましたが、今回の在宅勤務によって利用人数が2,000人以上に増えたことでキャパシティオーバーになっていました。もともと冗長化していたシステムを二つに分け、シングル構成にしたことに加え、新たに導入するため検証を進めていたVPNサービスを緊急でリリースし、キャパシティを増やして対応しました」と森田氏。自宅のネットワーク環境が整備されていない従業員もいたため、急きょWi-Fiルーターを700台調達して、必要な従業員の自宅に郵送する対応も行った。

 在宅勤務環境下での大規模な会議では、別途サポートが求められたという。森田氏は「DX本部内でサポートチームを臨時で設け、参加者に合わせたツール選定やマイク、スピーカーの配置変更などを実施しました。重要な意志決定が求められる経営会議においても、声が途切れるなどのトラブルに対して、きめ細やかなサポートが必要になり、DX本部を中心に会議のリハーサルも実施しました」と工夫を語る。

 在宅勤務環境下では、Teamsの利用率が7割以上となるなど、クラウドサービスの積極的な利用も進んだ。「コロナ禍をきっかけに、社外でもPCを使って社内情報にアクセスして業務できることが周知されたことで、今後のBCP対策としても生かせると考えています。当社では法人向け多拠点シェアオフィス『WORK STYLING “SHARE”』や、法人向けレンタルオフィス『WORK STYLING “FLEX”』を展開しており、当社の働き方の知見を蓄積しながら、テレワークにも従来の働き方にも対応したオフィス提案をしていきたいですね」と森田氏は語った。

在宅勤務環境下ではTeamsの利用率が7割以上となるなど、クラウドを積極的に利用。

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