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製造機器を可視化して製造現場のテレワークを促進

製造機器を可視化して製造現場のテレワークを促進

2020年09月29日更新

製造機器のデータを可視化してリモート保守

製造現場の機器には、プログラムを組み込んで実行動作の制御や温度・湿度・距離などのセンシングを行う「Programmable Logic Controller」(PLC)と呼ばれる装置が接続されている。PLCを用いることで製造機器のコントロールや、プログラムを書き換えて動作を変更するといった操作が容易に行える。このPLCにIoTゲートウェイを接続させることで、製造機器の予防保全や、遠隔地から製造機器の操作を可能にしたのがシーエーシー(以下、CAC)の「CAC Smart Factory可視化サービス」だ。

製造現場のテレワークニーズに対応

 製造現場では、数多くの製造機器や設備がフル稼働している。万が一、製造機器が故障して生産ラインが停止するなどのトラブルが発生すれば、利益損失を招く恐れもある。そうしたリスクを防ぐためにも、日頃から定期的に製造機器の点検や修理を行う「設備保全」が欠かせない。

 しかし、製造現場で設備保全を担当するのは、熟練の技術者が多く、属人的な業務となってしまっている。技術伝承が進まず、経験の浅い技術者では故障の発見が遅れるケースも存在していた。製造現場によっては機器の整備を保守ベンダーに外注している場合もある。保守ベンダーが修理を行うケースにおいては次のような問題が挙げられる。現状では、顧客や工場から製造機器のトラブル発生の連絡を受けて保守員が現場に駆け付けている。修理の内容は、現場で製造機器の状態を確認しなければ分からないこともある。故障の内容によっては、修理パーツが足りずに保守員がパーツを取りに何往復もするケースがあり、無駄な作業やコストが発生している。

 こうした背景を受け、CACが提供するのが「CAC Smart Factory可視化サービス」だ。製造機器の制御やセンシングを行うPLCから取得した機器の温度や生産量などの稼働データをクラウド上に蓄積し、PCやスマートフォンからいつでも製造機器の状態を確認できるソリューションだ。異常の早期発見、データを分析して生産性の維持や品質の向上に役立てられる。遠隔地から製造機器にリモートアクセスしてトラブルシューティングを実施することも可能だ。

リモートでプログラム修正を実現

「昨今、新型コロナウイルスによる影響で、テレワークの導入を検討する製造現場も増えています。そこで求められるのが、遠隔地からでも製造機器の稼働状況を把握できるソリューションです。CAC Smart Factory可視化サービスは、コロナ禍による新しい働き方に柔軟に対応できます」とCAC デジタルソリューションビジネスユニット R&Dセンター 光高大介氏は話す。

 CAC Smart Factory可視化サービスは、製造現場に設置されているPLCに、CACが提供するHMSインダストリアルネットワークスのIoTゲートウェイ「Ewon Flexy」を接続して使用する。PLCから取得した製造機器の温度・湿度・生産量などのデータをIoTゲートウェイ経由で、クラウドへ送信・データを蓄積することで、グラフ形式で稼働状況を可視化できる。「生産状況のデータは1秒おきに取得しており、常に最新のデータの確認が可能です。データをグラフとして可視化することで把握しやすく、製造機器の異常を誰でも素早く発見できるようになります。生産効率の向上や品質の向上なども期待できるでしょう」(光高氏)

 グラフは、時系列で表示できる折れ線グラフ、工程別に製造時間の実績を並べて比較ができるヒストグラム、複数のグラフを一覧で表示できるダッシュボードなどさまざまな形式で出力が可能だ。今後のデータ解析や予防保全に役立てられる。

 PCから製造機器のプログラムをリモートで変更・更新することも可能だ。「リモートアクセスによって異常を発見し、その場でプログラムを修正して更新するといったトラブルシューティングが実現できます。大きなトラブルが発生する前に対応することで、保守作業による停止時間の短縮、現地訪問による点検・修理の時間やコストの削減につなげられるでしょう」とCAC デジタルソリューションビジネスユニット R&Dセンター フェロー 田中 等氏は説明する。

現場に設置された製造機器の稼働状況をWebブラウザーで確認できる。グラフ表示で分かりやすく視認性も高い。

製造業のIoT化を推進

 PLCは三菱電機、オムロン、シーメンスなど国内外問わず、さまざまなメーカーから提供されており、製造現場によって導入している機器が異なるケースが多い。「PLCはメーカーごとに使用しているプロトコル(プログラムの言語)が異なります。一から可視化のソリューションを導入すると、PLCの機器に応じた開発を行わなければならず、開発にかなりの日数や負担がかかってしまうでしょう。CAC Smart Factory可視化サービスは、10社以上のメーカーのPLCとの接続実績を持っているため、製造現場にあるPLCとIoTゲートウェイを接続するだけで可視化を実現できます。導入のハードルも低いでしょう」と光高氏はアピールする。

 CACは、2019年11月に開催された製造業向けの展示会「IIFES 2019」において、CAC Smart Factory可視化サービスのデモ展示を行った。「展示会で実感したのは、製造現場はデータの可視化や利活用が進んでおらず、不十分であるということです。製造現場の状況を可視化して、無駄な作業を減らす、作業を効率化するといった作業負担を削減できるソリューションにニーズがあると考えました。それを満たすのが、CAC Smart Factory可視化サービスです」(田中氏)

 今後は、CAC Smart Factory可視化サービスに注力して導入実績を獲得していく予定だと光高氏は話す。加えて、CACでは同ソリューションだけではなく、製造現場でのさまざまなシーンでAIやIoTを活用した付加価値サービスを提供し、随時ラインアップに追加していく予定だという。

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