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桃ヶ丘保育園がコドモンで実現する保育の質向上の取り組み

桃ヶ丘保育園がコドモンで実現する保育の質向上の取り組み

2020年09月16日更新

BabyTechが園児や保護者と向き合う時間を増やす

-BabyTech- 桃ヶ丘保育園

群馬県高崎市に位置する「桃ヶ丘保育園」は、今年で開園51年目となる認定こども園だ。園の名前は、桃畑に囲まれた場所に設立したことにちなんでいる。その桃ヶ丘保育園で導入されているITツールが、「コドモン」だ。

日誌や指導計画をデータ化

 2010年から桃ヶ丘保育園の園長を務める中曽根啓太氏は「当園は、子供たちの健やかな育ちのため、安心できる生活リズムや、遊びの体験を大切にしています。家族のようにアットホームな保育園で、スタッフ全員が一人ひとりの子供と豊かに関われる大人を目指しています」と語る。子供たちに“本物に触れてほしい”という願いから、施設内の遊具や本棚などは木材を用い、触っていて心地良く自然の中で生活するような施設作りにこだわっている。

 そうした自然のぬくもりにあふれた桃ヶ丘保育園だが、その中に溶け込むようにITツールが導入されている。

「もともとITツールが好きで、私自身が副園長になったタイミングで、保育施設向けの業務支援ソフトウェアを導入していました。保育園では日誌や指導計画など書類が多く、段ボールがいくつも積み重なって管理が煩雑になりがちです。PDFなどでデータ化して管理できれば、それらの問題が解消できるのではないかと考えました」(中曽根氏)

 当時は地元のSI企業に専用のツールを開発してもらったり、保育の業務支援システムを導入したりしていたが、データベースの増大や、UIの使いにくさなどに課題を感じていたという。そこで導入したのが、保育/教育施設向けIT支援ツール「コドモン」だった。

園児の様子がより“伝わる”連絡帳

 中曽根氏は「まずコドモンの良さは、UIの分かりやすさ。機能がそれぞれアイコンで表示されるので、操作しやすいです。また、延長保育の時間計算も正確かつ簡単に算出可能です。事務処理の負担を大きく軽減できました」と語る。コドモンは保護者向けのiOS/Androidアプリも提供しているが、そのアプリを介して欠席の連絡も可能だ。従来であれば朝の登園時間に欠席の連絡を電話で受ける必要があったが、コドモンを導入したことで電話連絡は大きく減り、職員は保育に集中できるようになった。

「保護者の方から評判がいいのが、連絡帳機能です。従来は園児一人ひとりに手書きでその日の園の生活などを一言二言書いて保護者に渡していました。手書きなので写真などはつけられず、あまり詳細に記述することは難しかったのですが、コドモンの連絡帳機能を活用することで、園児たちのその日の生活の様子を写真で見せたり、その日の活動を詳細に伝えたりすることが可能になりました」と中曽根氏。職員には1人につき1台のiPadを貸与しており、子供たちの様子を記録したり、指導案を作成したりといった日々の業務に生かしている。

 園児と向き合う時間を増やすだけでなく、保護者との密なコミュニケーションも実現できるコドモンを活用し、今後は保育の事務作業だけでなく給食の栄養計算などの負担軽減にもつなげていく。

1.群馬県高崎市の認定こども園である桃ヶ丘保育園。園庭の遊具は木材で作られており、自然に囲まれた環境で園児を育てる。手前のえんじ色の園舎は2018年に増築したばかりの新しい建物だ。2.絵本が並ぶ図書室「こももぶんこ」。図書管理サービスである「リブライズ」を使って蔵書管理を行う。園児たちは借りたい絵本を、自身で貸し出し手続きをしているという。3.ICカードで記録するコドモンの登降園&請求管理システム。木製の什器の中にiPadを組み込み、自然の中にITツールを融合させている。「什器は地域企業に依頼して制作してもらいました」と中曽根氏。
4.取材に対応いただいた桃ヶ丘保育園 園長の中曽根啓太氏。コドモンの機能を素晴らしいと絶賛する中曽根氏は、地域の保育園や幼稚園施設にコドモンの導入を勧めているという。5.年長クラスではコドモンの「保育ドキュメンテーション」を活用して掲示物を制作している。写真付きの保育の記録を行うだけで日誌、掲示物、連絡帳、週日案が作成できるため、園の日々の保育を振り返りやすく、保護者への情報伝達も行いやすい。6.教室のレイアウトは担任の保育士に任せられている。教室内の什器も木材で統一されており、触って心地の良い環境で園児を育てる。

残業ゼロや離職率低下を実現して保育の質を向上する

-BabyTech- コドモン

保育園や幼稚園を対象にしたIT支援ツール「コドモン」は、活用することで保育士の事務作業を削減し、園児と向き合う時間を増やしてくれるツールだ。子育てをITで支援する「BabyTech」の一つと言えるだろう。

想像以上に多い保育士の書類業務

 全ての先生に、子供たちと向き合うための時間と心のゆとりを増やす――。それが保育/教育施設向けIT支援ツールの「コドモン」が目指す姿だ。

 コドモン 代表取締役 小池義則氏は「保育園や幼稚園などの施設では、一般的に考えられている以上に書類業務が多くあります。例えば保護者との連絡ツールである連絡帳は、多くの施設で手書きですし、園児の検温、午睡、排便、食事などのチェックや、保育日誌、指導案の作成など、事務作業の負担が大きいのです。業務の3~4割は書き物をしていると考えていいでしょう」と指摘する。保育士は、これらの多大な業務に対応するため園児たちの午睡の時間に連絡帳を書いたり、サービス残業をして保育日誌や指導案を作成したりしていた。

 こうした事務作業負担の増大によって生じるのが、早期離職の問題だ。2015年12月に厚生労働省が発表したデータでは、保育士の離職率は公営私営合わせて10.3%、私営保育所においては12.0%と高い数値だ。経験年数の低い保育士が多く、7年以下の保育士が約半分を占めるという。また、事務作業が多いことによって満足に子供たちと向き合う時間を確保できていないケースも存在し、保育士の事務作業の負担軽減は喫緊の課題と言える。

「コドモンの開発のきっかけは、ある保育園から管理システムの開発を受託したことです。もともと受託でホームページ開発を行っており、社会的に価値のある自社プロダクトを作りたいという思いがありました。その保育園向けシステムから着想を得てパッケージ化したのが、コドモンです」と小池氏。

 当初は保護者との連絡ツールである連絡帳をデジタル化しようと考えたが、保育園から受け入れられなかったという。「手書き文化が主流の保育園では、まずPC操作を覚えなくてはいけないというのがボトルネックでした。また、インターネットの環境がなく、園内でネットワークが使えないという課題もありました」(小池氏)

ICカードで登降園時間を自動記録

 そうした状況に転機が訪れたのが2016年。厚生労働省から保育園のIT化に対して補助金が支給されるようになったのだ(保育所等におけるICT化推進事業)。保育人材を確保するため、負荷の高い業務負荷をITで軽減することを目的に予算が組まれ、多くの保育園が施設運営のIT化を視野に入れるようになった。

 小池氏は「この補助金支給に必要な要件をサポートするため、コドモンの機能拡張に取り組みました。例えば現場を支える帳票の作成や、保育日誌、指導計画の作成などです。また、登降園時刻をICカードを使って打刻する機能も開発するなど、保育園の事務処理を網羅できる状態にシステムが広がっていきました」と語る。

 登降園&請求管理システムは、ICカードのほか、QRコードや画面タッチなどあらゆる方法による打刻に対応する。登園・降園の時刻は打刻と同時にクラウド上に記録され、修正も簡単に行える。出席簿の自動作成はもちろんのこと、職員が集計作業をすることなく、延長保育などの時間計算を正確かつ簡単に算出できる。ICカードはコドモン専用のカードのほか、Suicaなどでも代用可能だ。

 また、事務作業の負担軽減では、各種指導案や日誌、連絡帳などの帳票や書き物業務の負担を軽減できるよう、過去の入力履歴からのコピー機能や3,000以上の収録分例、ほかの帳票との自動連動機能を搭載。帳票作成の生産性を高めて、持ち帰り業務やサービス残業を削減し、保育士の負担を軽減する。保育ドキュメンテーションに写真付きの記録を記入すれば、日誌や連絡帳への展開も可能だ。

残業ゼロや離職率低下の効果も

 保護者向けのiOS/Androidアプリも提供する。欠席や遅刻連絡や緊急連絡、お便り配信、行事予定表、アンケート機能によって、園からの情報をまとめて確認できる。

「幼稚園や保育園では、園児の日常を撮影した写真を保護者に販売するのですが、印刷屋さんを経由するとデータのやりとりや販売管理に手間がかかりがちです。コドモンでは写真販売機能も搭載しており、職員が撮影した写真をアップロードするだけで簡単に販売できます」と小池氏。

 コドモンは現在5,600施設に導入されている(取材当時)。保育園や幼稚園が中心だが、学童版も提供しているため小学校や中学校での導入も増えている。実際に導入した施設からは、残業がゼロになった、離職率が減ったという声もあるという。

「設計思想として、スマートフォンを使ったことのある保育士であればマニュアルがなくても使えることにこだわりました」と小池氏。スマートフォンやタブレットなどのデバイスは、基本的には施設側に購入してもらっているが、要望があればコドモン側で購入代行をするケースもあるという。

 小池氏は「今後は、家庭向けに家事の負担を減らせるサービスや、子育てのログを作成できるサービスの開発なども検討しています。コドモンを軸に、地域の子育てをサポートしていきます」と語った。

施設(保育士)向けのWebブラウザーアプリを提供する。直感的に操作できるアイコン配置で、ITツールに不慣れな職員も研修不要で使える。
指導案作成画面。発達段階に応じた指導案の作成をサポートするため、3,000以上の収録文例を用意するほか、園独自の文例の登録にも対応する。
保護者向けアプリ画面。(左)連絡帳機能では園児の生活の様子を、テキストと写真で詳細に伝えられる。(右)写真購入もアプリから可能だ。
ICカードをタッチするだけで登降園時間を記録して、延長保育などの時間計算を正確に算出できるシステム。職員の勤怠管理にも対応する。

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