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庁内の事業者サポート給付金業務にkintoneを導入した大阪府八尾市

庁内の事業者サポート給付金業務にkintoneを導入した大阪府八尾市

2020年09月25日更新

事業者サポート給付金業務をkintoneで効率化
~庁内の働き方改革に取り組む大阪府八尾市~

大阪府八尾市では、持続可能な開発目標を指す「Sustainable Development Goals」(SDGs)の観点で、サイボウズとともに地場企業のIT化・業務改善をサポートしてきた。その後、新型コロナウイルス対策として窓口の非対面化・庁内の働き方改革を推進するため、同市の「事業者サポート給付金」事業のオンライン申請用のシステムにサイボウズの業務改善クラウドサービス「kintone」を採用した。kintoneの導入効果について、八尾市役所 経済環境部 産業政策課に話を聞いた。

中小企業のDXをサポート

 八尾市は、大阪府の中央部に位置する人口27万人の中核市だ。地場の中小企業を1万2,000社抱え、金属製品や電子機器などの技術力と製品開発力を誇る「ものづくりの町」として発展してきた。しかし、同市では中小企業におけるIT活用の遅れや多様な人材確保を推進していくために、SDGsの観点で中小企業に対してITを活用した業務改善を支援していく必要があった。さらに、庁内においても申請受理時の手打ち入力といった業務が職員の負担となっており、庁内における働き方改革も求められていた。

 八尾市は、中小企業に対するITを活用した業務改善を進めるため、2017年9月にサイボウズ主催で開催された「地域クラウド交流会」に参加した。地域クラウド交流会は、ITを活用することで地域の創業者や起業家を応援する取り組みだ。本取り組みを契機に、2018年8月3日に「八尾市とサイボウズ株式会社との持続可能な地域づくりに関する連携協定書」の締結に至った。協定を結ぶ連携分野の事業概要としては、以下の四つが挙げられる。

■連携協定でサイボウズと実施した取り組み

(1)働き方改革による地場企業の持続的成長への取り組み
業務上でのkintoneの使用事例を紹介した勉強会や、企業のIT活用に関する勉強会などの講座を年に1度開催。5、6社が参加し、その後約10社がkintoneを導入

(2)IoTを利用したオープンデータ活用への取り組み
八尾市のものづくりの発信拠点であり製品の販売なども行っている「みせるばやお」の来客データをkintone上で取り込んでグラフ化したり来場者数の増減の要因分析を行ったりするオープンデータの勉強会を月に1度実施

(3)中小企業向けIT人材の育成
大阪産業大学と連携してワークショップを実施

事業者サポート給付金の環境整備に苦慮

 八尾市の中小企業ではkintoneの活用が積極的に進められてきた。kintoneは、Excelなどで管理していた業務を手軽にWebアプリ化できるクラウドサービスだ。八尾市では、主に中小企業においてkintoneの活用を推進してきたものの、庁内業務での活用には至っていなかった。変化があったのは新型コロナウイルスが全国的に感染拡大を始めた今年2月後半のことだ。

 八尾市は、全国的な自粛要請により深刻な影響を受けている市内事業者の事業活動の支援を目的として「事業者サポート給付金」の取り組みを開始。給付金の申請時に窓口での接触を回避するために、オンライン申請と郵送申請の両方に対応した。このプラットフォームとして採用したのがkintoneだった。オンライン申請においては、AIを活用したOCRシステムによって手書き書類を自動でデータ化できる拡張機能「Tegaki」を利用し、申請時に必要な本人確認書類の添付ファイルの手書きのデータを自動で入力することで業務効率化を目指した。

 これまで、庁内においてITリテラシーに長けた職員がいないことから庁内業務へのIT活用方法をイメージしにくく、庁内業務の働き方改革の取り組みまでには至っていなかった八尾市。今回オンライン申請に踏み切った背景には、新型コロナウイルス感染拡大期間の窓口状況の混雑があった。八尾市役所 経済環境部 産業政策課 ものづくり・あきない支援室の中谷優希氏は当時の状況を以下のように説明する。「新型コロナウイルスの感染率が増加と減少を繰り返していた今年4~5月ごろ、企業にとって緊急性の高い制度融資申し込みの手続きで八尾市役所の窓口が過密になった状況が発生しました。多いときには1日100件もの申請対応に追われる日もありました。事業者サポート給付金に関しても1カ月程度で申請体制を整えなくてはならず、頭を悩ませていました。そこで、これまでともに連携事業を行ってきたサイボウズのkintoneの活用を庁内で提案され、事業者サポート給付金の申請にkintoneを採用し、今回のオンライン申請をスタートしました」

緊急性の高い制度にkintoneを活用

 kintoneによるオンライン申請の受付は、6月17日からスタートした。kintoneの使用感について中谷氏は 「指定している様式がななめに印刷されていたり読み取るフォーマットから若干ずれていたりするとエラーとなることもあります。現段階では90%程度の確率で読み取れるため、申請受理の業務はおおむねスムーズに受理できています」と説明する。

 事業者サポート給付金の申請受理業務は、メインで対応している給付金事務局の職員が残業せずに受理できている状況を実現しているという。実際の申請受理数は、8月3日の段階で約1,800社から申請を受け付けたうちオンライン申請が830件で、郵送は1,000件程度とWeb申請は若干少ないという。

 kintoneの利便性について、中谷氏は以下のように語る。「kintoneは、手書きOCRといった便利な拡張機能をはじめとするプラグインが多い点やカスタマイズできるという点で汎用性が高い製品です。事業者サポート給付金のような急遽できた制度や急遽必要となった情報収集のためのデータベースとして、有効に活用できると実感しています」

オンライン申請とBotで24時間対応へ

 今後、八尾市の庁内の働き方改革の取り組みはどのようにして展開していくのか。同市では、事業者サポート給付金のほかにも各種助成・補助金給付申請のオンライン化やチャット・音声Bot対応などを予定しているという。また、同市が2020年7月に立ち上げた「デジタルトランスフォーメーション推進事業」においても、各種申請のオンライン化に対応していく。さらに、チャット・音声Bot対応としては、Webページなどで対応するチャットBotと、終業時間の17時15分以降に電話がかかってきた場合にコール対応する音声Botなど、二つのBot対応に向け仕様を詰めている段階だ。八尾市は、“24時間対応できる市役所”を目指し、市民が申請に関する相談などをしやすい仕組みの整備を進めていく。

「八尾市では、アクセシビリティの向上を目的としてオンライン申請の選択肢を用意しています。例えば、市民の方が申請を行う前に相談が必要な場合も想定して、郵送やオンライン、窓口での相談など複数の選択肢を用意し、市民の方にアクセスしたい方法を選択していただくのが一番効率的と考えます。今後、相談もオンラインで行うという方法が一般的に広まればオンラインのみで対応する方法も検討していくことになるかと思いますが、現段階では、市民の方の要望に合わせてフレキシブルな対応を心がけていく予定です」(中谷氏)

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