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DSCCが指摘するコロナ禍のディスプレイ市場拡大

DSCCが指摘するコロナ禍のディスプレイ市場拡大

2020年09月10日更新

Special Feature 2
テレワーク需要をつかめ
今、売れるディスプレイ

政府による緊急事態宣言解除後も、ニューノーマル時代の新たな働き方として“原則テレワーク”を決めた企業も少なくない。しかし、ただノートPCを従業員に支給しただけでは、オフィスと同等の生産性を保つことは難しい。そこで求められているのが、作業領域を確保して生産性を向上できる外付けディスプレイの導入だ。

在宅需要でモニター売上が伸長

Market Display

コロナ禍によって生じた経済打撃。しかし、ノートPCやタブレット、モニターなどのディスプレイ市場は市場が拡大していると指摘するのは、米調査会社のDisplay Supply Chain Consultants(以下、DSCC)だ。

10インチ以上のITデバイスの需要高まる

DSCCアジア代表 田村喜男氏

 新型コロナウイルスの世界的流行により、各国でロックダウン(都市封鎖)が相次いだ。日本でも緊急事態宣言に伴う外出自粛により、人の移動や購買行動が大きく制限された。それらの影響により、2019年10月と2020年6月時点における2020年世界GDP見通しを比較すると、3.4%のプラス成長から5%のマイナス成長に転じるなど、経済への打撃も非常に大きくなった。

 その中で、市場の拡大が見られたのがディスプレイ市場だ。米調査会社DSCCの調査によると、10インチ以上のタブレット、ノートPC、そしてモニターなどのIT関連製品の市場が拡大しているのだという。

 DSCC アジア代表 田村喜男氏は「ワールドワイドでは、2019年と比較して2020年はモニターがプラス4%、ノートPCがプラス9%、タブレットがプラス11%と軒並み市場が伸びています。この背景にはロックダウンや外出自粛などの影響で在宅勤務(テレワーク)が世界的に広がり、自宅での仕事環境を整えるためIT関連製品を購入したことが要因として挙げられるでしょう」と語る。

 半面、スマートフォンの売り上げは減少している。ステイホームで自宅に“巣ごもり”するようになった影響で、携帯性の高いスマートフォンの画面を見るよりも、大画面のモニターにつなげてみたり、テレビを見たりといった動きにシフトしたことが背景にある。

大画面モニターが高い成長率

 IT関連製品の中でもノートPCやタブレットの売り上げが伸びている背景について、田村氏は「家庭に仕事環境を構築する場合、スペースの問題でノートPCのように1台で仕事が完結できるデバイスの需要が高いためです。特に13~15インチクラスのノートPCに需要が集まりました。タブレットでは9.7や10インチなど、比較的大画面のデバイスのニーズが高まっています。タブレットは教育用途に使われるケースも多いので、成長率が高いデバイスです」と指摘する。

 ノートPCやタブレットと比較すると緩やかな成長に見えるモニターだが、「特に大画面モニターの成長率が高まっています。27インチ以上のモニターの成長率が高く、短期的に2020年第2四半期(4~6月期)プラス50%の市場成長を遂げたケースも存在します」(田村氏)

 モニターの平均サイズは20~24インチクラスが主流だ。しかし、コロナ禍においては27インチクラスへと需要がシフトした。要因の一つとして、巣ごもりに伴うゲーミングモニターの需要増加が指摘されたが、田村氏は「ゲーミングモニターの需要は市場拡大のあくまで一要因です。ゲーミングモニターの購買動向を除いても、大型モニターの販売数は増加傾向にあります」と語る。実際の利用動向としてはつかめていないが、統計結果としては在宅が増えたことにより、大型モニターの販売数が増加したことは間違いないのだという。

次世代の“フォルダブル”ディスプレイ

 今後のディスプレイ市場では、コロナ禍によるIT関連製品向け巣ごもり需要は2020年でピークアウトし、2021年はマイナス成長。しかし、テレビとスマートフォンの2021年はコロナ禍と世界経済の回復によりプラス成長になると予測している。

 田村氏は「新型コロナウイルス感染拡大により、“接触をしない”ことが求められています。そのため、ジェスチャーだけで操作ができるような、タッチレスのモニターなどは、今後登場する可能性があります」と今後のモニター製品に求められる需要を指摘する。

 また、注目が集まる折れ曲がるディスプレイ「フォルダブルディスプレイ」については、「2019年からスマートフォン製品が登場していますが、来年以降は市場が倍々で拡大していくでしょう。スマートフォンだけでなく、ノートPCやタブレットなどにもフォルダブルディスプレイの採用が進むとみており、今後は2画面のハードウェアをどう有効活用していくのかといったソフトウェアコンテンツの開発も求められていきます」と田村氏は指摘する。

 特にノートPCは、フォルダブルディスプレイを利用するメリットが大きい。17インチクラスのモニターが搭載した端末を13インチクラスの大きさに“変形”でき、モニターサイズによる作業効率と、持ち運びに適したサイズというバランスの問題を解消できるのだ。田村氏は「このフォルダブルディスプレイの理想型は、モバイルモニターとしての活用です。コストがかかるため、数年は市場に登場しないと考えていますが、折り畳めることで20インチモニターを15インチサイズで持ち運べるようになるため、コンパクトさとモニターサイズの問題が解消できるでしょう」と語った。

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