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RICOH THETAがひたち海浜公園の

RICOH THETAがひたち海浜公園の"青の絶景"を再現

2020年07月16日更新

ネモフィラの“青の絶景”を360度コンテンツで発信

-TravelTech-「国営ひたち海浜公園」

コロナ禍によって打撃を受けた業種は数多いが、人の移動が制限されたことによる観光業もその例外ではない。その中で、IT技術を活用して本来観光客に伝えることができなかった景色を発信している施設がひたち海浜公園だ。

臨時休園中の花の見頃をどう伝えるか

 新型コロナウイルス感染拡大により訪日外国人観光客が激減したことに加え、4月7日に出された緊急事態宣言を受けて国内の移動も大きく制限された。茨城県ひたちなか市に位置する国営ひたち海浜公園も、緊急事態宣言発出前の4月4日より、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため臨時休園しており、ちょうど見頃となるはずの花々を観光客が楽しむことはかなわなかった。

 そこでひたち海浜公園が活用したのが、360度コンテンツだ。リコーが提供している360度カメラ「RICOH THETA V」で、スイセンガーデンやスイセン品種見本園に咲くスイセン、たまごの森フラワーガーデンのチューリップ、みはらしの丘のネモフィラを撮影し、バーチャルツアーとしてひたち海浜公園のWebサイト上に360度コンテンツを公開している。

「もともとは、2018年12月に実施されたアートフラワーの展示イベント『パシフィックアートフラワー展』の周知のためRICOH THETA Vを導入し、撮影した360度画像を簡単にコンテンツ化できるクラウドサービス『THETA 360.biz』を活用して情報発信を行っていました。また、当園ではネモフィラやコキア以外にも、江戸時代に建てられた東日本で最も古い民家の一つ『旧土肥家住宅』を有しており、この古民家をはじめとした屋内施設の紹介のため、THETAを利用していました」と語るのは、ひたち公園管理センター 企画運営課 広報係の星 みき氏だ。

360度画像の撮影・作成は1日で完了

 その活用ノウハウをもとに今回公開に踏み切ったのが、“春のフラワーリレー”と題したバーチャルツアーだった。「春は来園者が多い時期です。特にネモフィラが咲くみはらしの丘は、青い空と青い海、そしてネモフィラによって青く染まった丘が一つに溶け合う絶景を楽しめる人気スポットで、毎年多くの来園者で賑わいます。そのため、今回の臨時休園でもネモフィラが見られないことを惜しむ声が多く寄せられました。そこで“おうち時間”の中でもひたち海浜公園の春を楽しんでもらおうと、スイセン、チューリップ、そしてネモフィラをTHETAで撮影し、360度コンテンツとして当園のWebサイトで公開しました」と星氏。

 ネモフィラの撮影は4月12日に実施し、即日コンテンツ公開を行った。撮影は自撮り棒にRICOH THETA Vを取り付けて、職員が1時間ほどでみはらしの丘の30地点を360度撮影した。「大きな機材を使わずに撮影できるのがとても魅力的です。また晴天の日に撮影する必要があったので、短時間で撮影でき、コンテンツとして配信できる点も非常に優れていると感じました」(星氏)

 営業を再開した現在も、感染拡大防止対策のため6月30日までのイベントは中止されている。そのため、中止となった沢田湧水地ガイドツアーのバーチャルツアーをWebサイト上で公開しており、コロナ禍の中でも来園者を楽しませる工夫を続けている。

1.ひたち海浜公園のWebサイトで公開された、ネモフィラのバーチャルツアー。矢印が示した方向をクリックすると移動でき、実際にその場に行ったような感覚で楽しめる。2.スマートフォンからの閲覧も可能で、全画面表示してより没入感のあるバーチャルツアーの体験も可能だ。画像はたまごの森フラワーガーデンのチューリップの様子。
3.“青の絶景”と呼ばれるみはらしの丘のネモフィラ。4月中旬から5月上旬が見頃で、毎年ゴールデンウィークには観光客で賑わう。4.4月中旬から下旬にかけて見頃になるチューリップと、5.3月下旬から4月中旬に見頃になるスイセン。春のひたち海浜公園を彩る花々だ。夏にはジニア、ヒマワリ、秋はコキアやコスモス、冬はアイスチューリップなど、四季を通じた彩り豊かな自然を楽しめる。海抜100mからの眺望を楽しめる大観覧車をはじめ、25種類以上のアトラクションがそろう「プレジャーガーデン」を併設するほか、林間アスレチック広場やバーベキュー広場などの設備も備える。
6.取材に対応いただいたひたち公園管理センターの星 みき氏。7.THETA導入のきっかけとなったパシフィックアートフラワー展。アートフラワーによる五つの空間演出で、花が少なくなる冬の時期でも華やかな風景を楽しめる空間演出プロジェクトだ。8.江戸時代前期と中期に稲敷市下太田の利根川に沿った新田開発に合わせて建てられた旧土肥家住宅は、東日本で最も古い民家のひとつ。Webサイト上では古民家内部の360度コンテンツが掲載されている。これら古民家が並ぶみはらしの里は、「なつかしい村の風景と活動」をテーマに、江戸から昭和にかけての農村風景を再現している。

空間で得られる体験をスマートに伝える“RICOH THETA”

-TravelTech-「RICOH THETA×THETA 360.biz」

全天球イメージを簡単に撮影できるデバイスとして注目を集めた「RICOH THETA」シリーズ。不動産業をはじめとした法人企業での活用が広がる本製品は、その空間を“コピー”する性能を生かして観光業などさらに多岐にわたる業種のDXを導いている。

位置関係を含めた場所の情報を表現

 --ワンショットで、空間をコピーするデバイス。360度カメラで知られるRICOH THETAシリーズをそう定義するのは、リコー Smart Vision事業本部 DS事業部 DS事業開発部 部長 稲葉章朗氏。

 今一度、THETAについて簡単に紹介しておこう。THETAは一回のシャッターで、撮影者の周り360度の景色を撮影できるカメラデバイスだ。小型軽量で持ち運びしやすく、場所を選ばず全天球イメージを撮影できるデバイスとして、当初コンシューマー市場向けに発売された。しかし、その使いやすさが高く評価され、法人企業でも導入が進んでおり、2020年3月にはビジネス向けモデル「RICOH THETA SC2 for Business」も発売されている。また、2014年10月に法人向けWebサービスであるTHETA 360.bizがリリースされており、特に不動産業の企業を中心に全天球イメージの活用が進められてきた。

「物件の内見や観光地など、現地に行かなければ伝わらないことや分からないことは多くあります。THETA 360.bizとTHETAを組み合わせれば、そうした空間をまるごとコピーして、擬似的に現地の様子を伝えるコンテンツを作成できます」(稲葉氏)

 特に昨今需要が拡大しているのが、THETA 360.bizで作成するバーチャルツアーコンテンツだ。360度画像をつなぎ合わせ、位置関係を含めたその場所の情報全てを表現できるため、実際に現地に行ったような体験を可能にできる。

一眼レフ撮影並みの品質に変換

 バーチャルツアーの作り方は非常に簡単だ。THETAで撮影した360度画像を、「RICOH THETA360.biz モバイルアプリ」に転送し、アプリ上でコンテンツ内に入れる画像の選択や順序の入れ替えなどを行うだけでよい。コンテンツの制作が完了したら、すぐにTHETA 360.bizのクラウドサーバー上にアップロードでき、WebサイトやSNSにコンテンツを共有できる。より高度な編集を行えるPC向けの管理コンソールも用意されており、マップ上に360度画像をプロットして連動させたり、擬似的につなげて移動するように見せたりできる。

 2019年9月30日には新たに、アップロードした360度画像から、AIが自動で複数枚の写真を切り出せる「AI画像切り出し」機能を提供している。不動産情報や施設のフロア情報など、より詳細な情報を発信する必要がある場合は360度画像とは別途に大量の写真を撮影する必要があったが、AI画像切り出し機能によって、360度画像をワンショット撮影するだけで済むようになり、業務の手間を大幅に削減できる。

 また、2020年5月12日には新たに、リコー独自の画像処理技術とAI技術によって、自動的に画像を細部まで鮮明にする「AI超解像」機能をリリースしている。360度カメラは広範囲を撮影できる半面、画像を拡大すると精細さに欠ける。AI超解像は、そうした360度画像の解像感を大幅に向上し、ノイズ除去を含めた全体的な画質改善を実現する。「空間全体の画像を一眼レフ並みに変換する技術で、従来であれば特別な機材とカメラマンが必要な撮影を、THETA1台で実現できます」と稲葉氏はその技術の高さを語る。既存のTHETAで撮影した360度画像も、AI超解像機能を使えばシャープかつクリアに変換でき、より伝わる360度コンテンツに生まれ変わるのだ。

360度コンテンツの編集はモバイルアプリやPC用の管理コンソールがら簡単に行える。より高度な編集はPCからがお薦めだ。

不動産業から観光業まで幅広く活用

 不動産業界で数多くの導入実績を持つTHETAだが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い急速に普及している新しい働き方にも有効に活用されている。具体的には、バーチャルツアーでのリモート営業だ。オンライン会議やメールで顧客に物件のバーチャルツアーを共有し、双方向のコミュニケーションでリモート営業を実現する事例が増えつつある。

「米国のデータになりますが、3月のロックダウンの影響で来店や対面での接客が困難になった影響で、4月のバーチャルツアー新規契約数は900社と急増しています。これらの営業効率を下げずに契約を結ぶためのオンライン商談の波が、日本にも訪れています」(稲葉氏)

 バーチャルツアーはWebサイトへの組み込みも可能だ。ひたち海浜公園のように、自社Webサイトにバーチャルツアーコンテンツを組み込み、観光気分をバーチャルで味わってもらう取り組みも増加している。「近畿日本ツーリストでは、旅行気分を味わってもらうために、THETAで撮影した各地の360画像をバーチャル観光コンテンツとしてWebサイトで公開しています」と稲葉氏。事前に行く場所をイメージしてもらい、移動制限解除後の観光につなげてもらう広報戦略と言える。

「現在日本国内だけで7,000社以上と契約を結んでおり、不動産や観光業だけでなくさまざまな業界に対して“伝えるをスマートに”するTHETAの訴求を続けていきます。変革がオフィス以外の場所でも起こり続けている現在、デジタルサービスを通じてその変革をさらに支援していきたいですね」と稲葉氏は結んだ。

新たに追加されたAI超解像機能。左が補正前で、右が補正後だ。明るさの補正やノイズ除去を自動で行い、クリアな画像に仕上げる。
AI画像切り出し機能では、ワンショットで撮影した360度画像からAIが魅力的な写真を自動でピックアップして提案してくれる。

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