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新たな三層に対策への自治体システム提案――NEC、VMware、日本MS

新たな三層に対策への自治体システム提案――NEC、VMware、日本MS

2020年07月14日更新

クラウドシフトへの過渡期を支援

NEC

総務省から示された新しい「三層の対策」の方針。ベンダー各社はすでに見直しのポイントをもとに製品提案の準備を進めている。NECでは、自治体規模を問わない提案を実現するための製品拡充を図り、利便性とセキュリティを両立させた自治体システム構築を目指す。

小規模自治体向けのラインアップを拡充

 新しい三層の対策に向けた施策として、製品拡充を進めているのがNECだ。「2016~2017年度の自治体情報システム強靭性向上モデルでは、導入コストの関係で規模の小さな自治体に対して分離/無害化ソリューションの提案は難しい状況にありました。そこで2021~2022年度の次期強靭化商談に向けて、標的型攻撃への有効な対策となるインターネット分離ソリューション『Application Platform for SCVX』を統合型ソリューション『NEC Solution Platforms』のラインアップに追加しています」とNEC 公共ソリューション事業部 広域事業推進グループ シニアエキスパートの平山智章氏。

 SCVXはジェイズ・コミュニケーションが開発した仮想ブラウザー方式でインターネット分離を低コストに実現する製品だ。Application Platform for SCVXでは性能検証済みのハードウェア構成と標準化されたSI作業をセットで提供する。「SCVXは使いやすさとコストパフォーマンスに秀でているため、既存製品の提案に加えてApplication Platform for SCVXをラインアップすることで、人口20万人以下の自治体の強靭化対策のサポートが可能になります。新規導入の場合、SCVXのオプション『SCVX Sanitizer』を利用すればファイル無害化にも対応できます」と平山氏。

LGWAN接続系の無線LAN使用をセキュアに

 今回の指針でLGWAN接続系での無線LAN利用が示された。不正接続を防止するための暗号化や認証対策が施された無線LANアクセスポイントなどのネットワーク製品「QXシリーズ」を提案し、自治体のペーパーレス化やフリーアドレス化を促進させていく考えだ。

 新しい三層の対策により、自治体のクラウドシフトはますます加速していく。しかし、その中でもセキュリティ対策をおろそかにはできない。

「クラウドシフトへの過渡期となる直近数年では、閉域クラウドとパブリッククラウド、オンプレミスをうまく融合させた提案が必要になるでしょう。当社では地方公共団体向けのクラウドサービス『NEC 公共IaaS』の提供も行っており、閉域環境を維持しながらパブリッククラウドとのセキュアな連携が可能になります。コロナ禍によるワークスタイル変革は自治体にも求められており、当社では閉域モバイル接続ソリューションの提案なども進めていますが、緊急事態にすぐに設備をそろえることは難しいのが現状です。運用を含めて利便性とセキュリティを両立させた自治体へのソリューション提案を目下研究している最中であり、今後の大きなビジネスチャンス領域であると考えています」と平山氏は語った。

EDRが次世代自治体システムの要となる

VMware

インターネット分離をはじめとして、自治体システムのデジタル化の推進・支援を進めているヴイエムウェアは、三層の対策におけるネットワーク分離のさらなる徹底・強化と、クラウド・バイ・デフォルトに適応するクラウド化の提案を進めている。

ポストコロナ時代の働き方へ

 ヴイエムウェア チーフストラテジスト(SDDC/Cloud)の高橋洋介氏は「自治体は、新しい三層の対策への対応に加え、ポストコロナ時代に向けた新しい働き方への整備が急務です。従来の三層の対策は、人事給与や財務会計、文書管理といったデータはLGWAN接続系で管理されており、パブリッククラウドサービスの利用が制限されていました。また、自宅からはインターネット接続系までしか接続できないため在宅勤務も難しい環境です」と指摘する。

 Web会議やコミュニケーションツールの利用も制限されているため、円滑な在宅勤務の実現は難しい。新しい働き方実現のハードルが高い環境にあるのだ。

LGWAN接続系端末をVDI化

 しかし、新しい三層の対策モデルによって、業務端末の一部をインターネット接続系に移行するとともに、業務システムの一部(グループウェアなど)もインターネット接続系に移行できるようになった。また、自治体の内部環境へのリモートアクセス活用もガイドライン改定に盛り込まれる予定だ。ヴイエムウェアではそれらの動きを踏まえ、LGWAN接続系端末をVDI化し、インターネット接続系の業務端末に画面転送することで、在宅勤務の環境下での人事給与、財務会計などへのLGWAN接続系へのアクセスが可能なシステム提案を進めている。

「インターネット接続系に配置された端末がインターネットにさらされるため、エンドポイントに対してより安全性が求められます。そこで必要なのが、『Workspace ONE』による端末管理と、『Carbon Black』によるエンドポイント監視を徹底することです」とヴイエムウェア 公共SE統括部 統括部長 中島淳之介氏は語る。

 Carbon Blackは保護と自動検知を組み合わせたクラウドネイティブのエンドポイント保護ソリューションで、包括的かつ統合的なセキュリティ対策が実現できる。三層の対策の見直しが進む中で、今後はエンドポイントの端末監視が非常に重要視されると同社では見ており、デスクトップ仮想化(VDI)ソリューション「VMware Horizon」やネットワーク仮想化ソリューション「VMware NSX」、サーバー仮想化ソリューション「VMware vSphere」を組み合わせたソリューション提案で、自治体のデジタルトランスフォーメーションを進めていく。

行政デジタル変革を後押しするクラウド

Microsoft

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、働き方の変革を迫られているのは一般企業だけではない。自治体もその代表的な組織の一つだ。日本マイクロソフトではその働き方の変革を、自社のクラウドサービスで強力に支援している。

50自治体でTeamsライセンスが有効化

 マイクロソフトでは、新型コロナウイルス対策を支援するため、全世界の顧客に対してOffice 365 E1ライセンスの6カ月無償提供とセキュアリモートワーク相談窓口を設置している(2020年3月9日発表)。また、自治体特有のIT環境に応じた提案も進めており、5月中旬時点で、広域自治体、政令市、中核市など大規模自治体を中心に50の自治体でMicrosoft Teamsのライセンスが有効化されたという。

 日本マイクロソフト デジタル・ガバメント統括本部 デザインジャパン推進室 室長 シニアインダストリーエグゼクティブ 藤中伸紀氏は「多くの自治体で急速にテレワーク環境が浸透しましたが、課題も多く散見されました」と指摘する。

コロナ禍に対応する自治体をクラウドで支援

 特にネックになっていたのが、従来の三層の対策モデルだ。LGWAN接続系とインターネット接続系のシステムが分断されている既存の三層の対策では、クラウド上で提供されるサービスも利用できなかった。しかし、5月22日に総務省から示された新たな三層の対策では、これらの環境が見直されている。「これからのニューノーマルな自治体の働き方で必要となるのが、パブリッククラウドの活用です。新しい三層の対策モデルでも人事給与、庶務事務などの業務システムをインターネット接続系に配置転換することや、パブリッククラウド活用による業務効率の向上を図ることなどが盛り込まれています」(藤中氏)

 すでにコロナ禍に対応するために、自治体でのクラウド活用事例も出てきている。神戸市では日本マイクロソフトの業務アプリケーションプラットフォーム「Microsoft Power Platform」を活用し、「新型コロナウイルス健康相談チャットボット」や「特別定額給付金の申請状況等確認サービス(住民ポータル)」などの開発を行っている。6月4日には神戸市と日本マイクロソフトが包括的協定を締結しており、神戸市のデジタルトランスフォーメーションを共同で推進していく。

「コロナ禍によって、世界で2年分のデジタル変革が2カ月で起きている状況です。当社ではMicrosoft 365やDaaS製品『Windows Virtual Desktop』などのパブリッククラウド製品を中心に、この流れを止めることなく、行政で働く職員の皆さまの生産性向上を支援します。自治体職員向けAI研修なども実施し、住民目線で実現する行政デジタル変革を、ともに推進していきたいですね」と藤中氏は力強く語った。

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