ホーム > PC-Webzineアーカイブ > 新しい時代のIT市場の行方

新しい時代のIT市場の行方

新しい時代のIT市場の行方

2020年07月03日更新

新型コロナウイルスによるITサービスへの影響は軽微

 IDC Japanは、2020年4月末時点での新型コロナウイルス感染拡大による影響を考慮した国内ICT市場予測を発表した。

 2020年の4月末時点での国内ICT市場予測では、前年比6.1%減の27兆8,357億円と予測している。背景として、2020年4月7日に政府から出された緊急事態宣言を受け、各自治体からの外出自粛やさまざまな営業活動の休止が強化されたことが挙げられる。国内の経済活動はいっそう冷え込み、同市場は、IDC Japanが2020年4月3日付で発表した2020年のICT市場成長率から1.6ポイント低下した。

 2020年における国内ICT市場の製品セグメントごとの前年比市場成長率は、スマートフォン/PC/タブレットなどの「デバイス」が前回予測比2.3ポイント減のマイナス24.3%、サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどの「インフラストラクチャー」が同2.7ポイント減のマイナス3.9%、「ソフトウェア」が同3.4ポイント減の0.6%、「ITサービス」が同1.0ポイント減のマイナス2.8%、「テレコムサービス」が同0.7ポイント減のマイナス1.2%と予測している。

 ソフトウェアは、オンプレミス中心のプロジェクトの延期/中止などで今回最も大きな下方修正となり、2019年並みの市場規模にとどまる見込みだ。ただし、リモートワーク環境での情報漏えい対策とサイバー攻撃対策が継続的に増加することにより、サイバーセキュリティへの投資は大企業を中心に継続するとみている。デバイスやインフラストラクチャーといったハードウェア市場でも、サプライチェーンの混乱拡大およびユーザー企業側の出社自粛などによる受け入れ体制への影響が拡大し、下方修正されるという。一方、プロジェクトに依存性の少ないマネージドサービスを提供するITサービスへの影響は軽微だと分析した。

経済対策としてDX投資が活性化

 2020年前半に、新型コロナウイルスの感染が国内外でいったん抑制されて企業の経済活動が正常化した後も、局地的な感染の再発によって経済回復が停滞する可能性もある。一方で、危機管理、働き方改革、社会保障や行政のデジタル化などのニーズから一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資は活性化すると見込んでいる。また、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われることから、デバイス市場やインフラストラクチャー市場、ソフトウェア市場は今後堅調に回復するという。

 上記を踏まえ、DX投資が活性化する状況を想定した場合の2020年の前年比成長率では、マイナス3.8%程度に収まるとIDC Japanは予測している。

経済活動の自粛でIT戦略は71%加速

 アイ・ティ・アールは、新型コロナウイルスの感染拡大による国内企業のIT動向の変化に関する調査を実施した。

 政府の緊急事態宣言発令に伴う経済活動の自粛により、IT戦略が「大いに加速すると思う」という回答は27%、「やや加速すると思う」という回答は44%で、IT戦略が加速する要因になると回答した企業の割合は合計で71%に上った。一方、減速を見込む割合(「大いに減速すると思う」と「やや減速すると思う」の合計)は10%を下回った。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急措置として実施した対策としては、「テレワーク制度の導入」に取り組んだ企業が最も多く、37%が導入を完了している。次いで「リモートアクセス環境の新規・追加導入」「コミュニケーション・ツールの新規・追加導入」が続き、従業員のテレワークに対応するためのITインフラ整備が先行して実施されたことが分かった。

 調査結果を受けて、アイ・ティ・アールのシニア・アナリストである水野慎也氏は次のように述べている。「今後3カ月は、ここまで緊急で進めてきたリモート環境などのネットワークやセキュリティを持続可能な状態に整備する企業が多いという結果が得られました。中長期では、テレワーク環境による業務で顕在化した社内・社外の文書手続きの電子化が進むと見られます。また、社会全体が新たな生活行動やビジネス形態にシフトすることも予想され、営業・販売活動のオンライン化や、それらを支援する新たなオンラインサービスの開発などが一気に進むことも考えられます」

テレワーク普及で導入進むWeb会議ツール

 MM総研は、SaaS・コラボレーションツールにおける利用動向を分析した。

 新型コロナウイルスの感染拡大と政府による緊急事態宣言発令により、社内の情報共有や取引先とのコミュニケーションを支援するコラボレーションツールの利用が急拡大している。その中でも特に導入する企業が増加しているのがWeb会議システムだ。Web会議システムの導入目的の調査では、「テレワーク環境の整備」の割合が21%と最も多く、「社内のミーティング、コミュニケーション向上」と「対面でのミーティングの数を削減」の割合が18%、「社外とのミーティング、コミュニケーションの向上」の割合は15%。上位全てがテレワークに関連した回答となった。

キーワードから記事を探す