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DXへとつながるIT提案の形―HPE、富士通

DXへとつながるIT提案の形―HPE、富士通

2020年07月08日更新

ハイブリッドクラウドがDXの基盤

HPE

デジタルトランスフォーメーションへのステップアップとして、
まずはシステムのハイブリッドクラウド化が必要――。

DX環境の構築は死活問題に

「現在のインフラでは生産性の向上や事業の継続性などの面で難しくなっていく――。そうした認識を新たにされた企業が多いのではないでしょうか」このように問いかけるのは、日本ヒューレット・パッカード(HPE) ハイブリッドIT事業統括 プロダクトアーキテクト統括本部 製品技術本部 本部長 中井大士氏だ。

 新型コロナウイルスの影響でテレワーク関連ソリューションの需要が急拡大しているが、それは、多くの企業において従来までテレワークの体制が整備されていなかったことの裏返しでもある。「従業員の大半が在宅勤務になる中で、VPNの帯域が足りずに時間帯をずらして接続させたり、ファイルのやりとりを制限しているようなケースもあったようです。VDIやリモートデスクトップの環境を整備していた企業でも、その多くは全従業員の2割ほどがテレワークできる体制であったりして、全従業員が同時にテレワーク可能な環境を整備していた企業はかなり限られていたのではないでしょうか」(中井氏)

 もちろん、新型コロナウイルス以前の状況であれば、そうした体制でも問題ないという認識が多くの企業で通底していた。コスト面でも、全従業員分のテレワーク環境を用意するのは負担が重くなると捉えられるケースが多かった。

 しかし、「テレワークが可能な環境は、いわばデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現させる基盤となります。いつでもどこでもどんなときでも仕事ができる環境の構築はDXへと通じているのです。これまではこうした環境は既存のITインフラのプラスアルファの位置付けとして捉えられていました。しかし、新型コロナウイルスの影響によって、それらは不可欠の要素であり、死活問題として認識されるようになったのです」(中井氏)

HPE
本田昌和 氏
HPE
中井大士 氏
HPE
林 亜樹子 氏

ハイブリッドクラウド提案に注力

 コスト負担を抑えつつ、今、そしてこれから求められるIT基盤をどのように用意すべきか。その答えとしてHPEが推進しているのがハイブリッドクラウドでありコンサンプションモデルだ。「HPEは、インテリジェントエッジ、ハイブリッドクラウド、そしてインテリジェントデータプラットフォームの3本柱を事業戦略の軸にし、さらにas a Service化を進めています。オンプレとクラウドを併用するハイブリッドクラウドや、必要なときに必要なリソースを柔軟に利用できてコストを最適化できるコンサンプションモデルの提案によって、お客さまのコスト負担を抑えつつ今求められるITシステムの導入をサポートしています」(HPE ハイブリッドIT事業統括 製品統括本部 統括本部長 本田昌和氏)

 例えばテレワーク環境にも対応できるVDIでも、オンプレやDaaSという選択肢に加えて、オンプレとクラウドを併用するハイブリッドVDIの提案もHPEは行っている。「一足飛びのパブリッククラウド活用には抵抗があるお客さまに対して、オンプレとクラウドを併用するハイブリッドクラウドの提案は有効であり、双方のメリットを生かせます」(本田氏)

 実際、テレワークやリモートワークを実現するソリューションとして、HPEは上図のような提案を用意し、ユーザーのさまざまな要望に応えている。

 コンサンプションモデルとして提供しているのは、「HPE GreenLake」だ。これはオンプレでも従量課金制を適用できるモデルであり、使用量に応じたコスト負担で、ユーザーはコストの最適化が可能になる。「販売パートナーの皆さまにとっては、ストックビジネスを実現する商材になります。HPE GreenLakeと独自のサービスを組み合わせたソリューション提案も可能でしょう」(本田氏)

パートナー向けオンラインセミナーを開催

 販売パートナーとのビジネスを第一にしているHPEは、販売パートナー向けの施策にも力を入れている。HPE ハイブリッドIT事業統括 製品統括本部 サーバー製品本部 コアサーバー製品部 部長 林 亜樹子氏は、「新型コロナウイルスは、販売パートナーの皆さまにも大きな影響を及ぼしていると考えています。そこで、昨年夏から開始している販売パートナー向けセミナーのオンライン化をさらに強化しました」と説明する。

 HPEでは、製品情報や売り方、競合比較などの情報を提供する「パートナー限定ウェビナー」をオンラインで提供してきたが、この春からは、初心者の営業やエンジニア向けにHPE製品を基礎から学べる「なるほどセミナー(営業版)」と、製品特長から管理方法まで導入時に必要な知識をハンズオン形式で伝える「なるほどセミナー(SE版)」のオンライン提供も開始した(双方ともフィジカル版はこれまでも提供)。

「新型コロナウイルスの感染拡大後、非常に多くの販売パートナーの皆さまにオンラインで参加していただいています。必要なコンテンツを時間があるときに視聴できるオンラインセミナーは、販売パートナーの皆さまの製品知識の獲得に大きく貢献していると手応えを感じています」(林氏)

 これらに加えてHPEは、オンラインで手軽にBTO構成を作成できる「iQuote」などの提供で、販売パートナーの生産性の向上を支援する。また、エンドユーザー向けには、財務状況に応じて購入製品に対する支払いを遅らせたりできる「HPE Financial Services」も用意している(7月30日まで)。

適材提案でワークスタイル変革を支援

Fujitsu

富士通と富士通マーケティングは、テレワークを実現するリモートソリューションの適材適所の提案で、ユーザーのワークスタイル変革を支援する。

新しい働き方を実現するツール

 富士通は、仮想デスクトップサービス「V-DaaS」を提供している。仮想デスクトップ、いわゆるVDIはこれまでも大手企業を中心に少しずつ導入が進んできた。「VDIはデスクトップ環境をデータセンター側で一元的に管理できるため、情シス担当者の運用負荷の軽減に寄与してきました」と、富士通 事業推進統括部 デジタルワークプレイス推進部 マネージャー 加茂俊宏氏は話す。

 加えて、同社 マネージドインフラサービス事業本部 デジタルワークプレイス事業部 テレワークビジネス部 部長 藤原真一氏は、「ローカルPCにデータが残らない点から、セキュリティ強化の側面でも採用されるケースが多かったですね」と補足する。

 そうした管理やセキュリティの側面に加えて新たな流れを生じさせているのが、新型コロナウイルスの影響や働き方改革だ。同社 マネージドインフラサービス事業本部 デジタルワークプレイス事業部 テレワークビジネス部 シニアマネージャー 山本晃裕氏は、「新しい働き方を実現するツールとしてVDIに多くの注目が集まっています」と現況を語る。

 在宅勤務などのテレワークの実現にとって、VDIは多くのメリットを提供する。「普段使い慣れているデスクトップ環境が自宅でも利用できるため、テレワークでもオフィスと同様の作業が行えます。データはサーバー上に保存されているため、情報漏えいのリスクも低減できるのです」(藤原氏)

富士通マーケティング
田中貴之 氏
富士通マーケティング
大貫英二 氏

きめの細かい運用管理を実現

 こうした中で、企業からの問い合わせが増えているのがV-DaaSだ。V-DaaSは富士通のデータセンター上に構築された仮想デスクトップ基盤をネットワーク経由でユーザーに提供するサービスである。

 データセンターは群馬県館林市と兵庫県明石市にあり、仮想デスクトッププラットフォームである「VMware Horizon DaaS」を利用して環境を構築している。

「運用は富士通アドバンスドLCMセンターが担当しており、長年にわたって蓄積してきたVDIのノウハウを生かしたきめの細かい運用管理を実現しています」(加茂氏)

 V-DaaSはサービスであるため、小規模導入が可能な点も魅力となる。「20 IDから利用できます。少しずつ使ってみて、段階的に展開させたいというニーズにも応えられます。また、サービスなのでオンプレ型と比較して早く利用が開始できる点もメリットですね」と山本氏はアピールする。

「新しい時代に即した新しい働き方を実現する上で、VDIは利便性の面で圧倒的なメリットを有しています。そのサービス版であるV-DaaSは、利用前のハードルも低く導入しやすいのが特長です。これからも、お客さまのニーズに合わせた提案を強化していきます」と藤原氏は意気込む。

抜本的な見直しの契機

 富士通マーケティングは、さまざまなベンダーのサービスを組み合わせたテレワークソリューション提案を推進している。まず、現在の状況について同社 商品戦略推進本部 商品・サービス企画統括部 商品企画部 部長 田中貴之氏は次のように明かす。

「従来とは異なるフェーズに移行した感があります。これまで在宅勤務などのテレワーク環境の構築は、残業の抑制といった働き方改革の一つとして捉えられていました。そのため、従業員の2割程度が実施できる環境の整備が多かったのですが、新型コロナウイルスの影響で大半の従業員は在宅勤務の状況になりました。見込まれていたキャパシティを遥かに超える状況が生じたのです」

 今は大きな岐路に立っていると、田中氏は続ける。「業務の在り方、働き方の在り方を抜本的に見直す入り口にきていると捉えていいでしょう。テレワークができる環境を災害対策の視点だけで考えるのではなく、いつでも在宅勤務などのテレワークが行える環境、従業員がいつでも効率的に働ける環境こそが、ニューノーマルになるのです。同時に業務プロセスも見直していくべきです」

三つのお薦めタイプを案内

 テレワークを実現するためには、実際にどのようなソリューションを導入すればいいのか。情報システム担当者が少なかったり兼任であったりする中堅・中小企業のユーザーは、まずその情報収集の段階からつまずくことも多い。そこで富士通マーケティングでは分かりやすいフローチャートをWebページで公開して、各社に適したソリューションの型を案内している。

「会社支給の持ち出しPCがあるかないかを起点にして、デバイスの利用状況や必要な接続先からお薦めのテレワーク実現方式を提示しています」(富士通マーケティング 商品戦略推進本部 サービス&プロダクトビジネス推進統括部 ICTビジネス推進部 部長 大貫英二氏)

 同社が実際に提示しているのは、「リモートアクセス型」「クラウドアクセス型」「リモートデスクトップ型」の三つ(下図参照)。会社支給のPCがある場合は、そのPCから社内システムにリモートでアクセスさせるか、クラウドサービスだけにアクセスさせるようにするかでリモートアクセス型とクラウドアクセス型が分かれる。会社支給のPCがなく、自宅PCでテレワークをする際は、会社のPCにリモートでアクセスするリモートデスクトップ型をお薦めしている。

 いずれにおいても、「Soliton SecureDesktop」「Verona V-Client α」「Shadow Desktop」など各社のソリューションを組み合わせた総合的な提案になっている。「お客さまの環境に合わせてさまざまなソリューションを組み合わせた提案を行っていきます」(大貫氏)

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