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ライセンス体系を一本化したオートデスクの新戦略

ライセンス体系を一本化したオートデスクの新戦略

2020年05月19日更新

ライセンス体系をシンプル化
オートデスクの新たな戦略とは

「ユーザー単位ライセンス」オートデスク

IT機器の進歩やクラウドの普及などによりユーザーの業務環境は変化し続けている。オートデスクは、こうした時代背景に合わせてビジネス戦略を転換してきた。その一つとして2016年には永久ライセンス体系を終了しサブスクリプション体系へと切り替えを行った。そして同社の更なる取り組みとして、2020年5月から現在のライセンス体系をよりシンプルにするため、本格的に「ユーザー単位ライセンス」の提供へとシフトする。これによりエンドユーザーや販売パートナーにどのような価値をもたらすのだろうか。

永久ライセンスの終了から約4年
順調に進むサブスクリプション移行

 オートデスクがソフトウェア製品の提供プランをライセンス買い取り型の永久ライセンス方式から、期間を選択して契約するサブスクリプション方式へ切り替えたのが今から約4年前の2016年2月だ。製品の導入にかかる初期費用を抑え、使用期間を必要に応じて選べるようにしたことでユーザーの利便性向上を図った。

 永久ライセンスの終了に伴いオートデスク製品のライセンス体系は「シングルユーザーサブスクリプション」、「マルチユーザーサブスクリプション」、「保守プラン」の3種類が用意された。シングルユーザーサブスクリプションは、使用するユーザーごとにアカウントを割り当てる形式で、幅広い顧客層向けのプラン。一方、マルチユーザーサブスクリプションは、複数人で使用する企業向けにライセンスサーバーを構築し、ネットワークサーバーでライセンスを管理するプラン。保守プランは、永久ライセンスをすでに購入しており、継続した利用を求めるユーザーに対して、ソフトウェアを常に最新の状態にできるプランである。

「永久ライセンスからサブスクリプションへの移行は順調に進んでいます。2016年のプラン提供を開始した当初は、サブスクリプションへの移行が進むのかといった不安もありましたが、現在は永久ライセンス終了前と比べて売り上げ実績も向上しています」とオートデスク チャネルセールス 石川和弘氏はサブスクリプションの採用による手応えを話す。

 永久ライセンスと比べてサブスクリプションプランは、利用期間を選択できるため予算を立てやすい。コスト面でのハードルが下がり、導入を躊躇していた小規模事業者の利用も増えているという。製図作成ソフトウェアの「AutoCAD」や「AutoCAD LT」だけではなく、3Dで直感的にデザインやモデリングができる「Fusion 360」など新しい製品も利用可能だ。

オートデスク
石川和弘氏
オートデスク
国松いづみ氏

ライセンスの一本化でコストカット
情シスにかかる負担を削減

 従来のオートデスクサブスクリプションは企業にとってメリットがある一方で、導入のネックとなる部分もある。それが企業で利用されることの多いマルチユーザーサブスクリプションの、初期導入時に必要となるサーバー構築だ。複数のライセンスを管理するために必要な作業だが、導入のコストがかかる。また情報システム部門でサーバーやライセンスの管理が必要となり、その負担が大きいのではないかと懸念されるケースがあった。

 オートデスクは、こうしたサブスクリプション提供への移行で生じた新たな課題に対する解決策となる「ユーザー単位ライセンス」の提供を2020年5月7日から本格的に開始する。ユーザー単位ライセンスは、今まで3種類あったサブスクリプションライセンス体系をユーザーごとに管理していたシングルユーザーサブスクリプションの管理形式へと一本化するというものだ。

 ライセンス体系の一本化について同社 チャネルセールス 国松いづみ氏は「企業向けのマルチユーザーサブスクリプションで必要だったライセンスサーバーの構築や管理が不要になります。ITコストの削減、情報システム部門によるサーバーメンテナンスなどの負担を減らせることが最大のメリットです」と話す。

 従来、情報システム部門が行っていたソフトウェアのセットアップ作業なども楽になる。ソフトウェアのインストールやセットアップなどはユーザーが各自で行うことにより、情報システム部門による作業工数が大幅に減らせるのだ。セットアップ方法もオートデスクの製品インストールサイトからダウンロード、インストール、認証までクリック操作で実行できるためユーザーの負担も少ない。また、サーバーがダウンするといったネットワークサーバーを活用することで起こる不測の事態に備える必要もない。

積極的な周知活動を開始
若年層のシェア拡大を目指す

 ユーザー単位ライセンスへの移行は、2020年5月7日から2021年8月6日までの約1年をかけて進めていく。その間、移行キャンペーンや説明会を開催することで認知を広げていくと国松氏は意気込みを語る。「現在サブスクリプションプランを利用されているお客さまにはメールで移行のご案内をしています。当社からはメール、ダイワボウ情報システム(DIS)さまや販売パートナーさまはFace to Faceでのアプローチの二方向からユーザー単位ライセンスを周知していきたいですね」(国松氏)

 そのほかにも、オートデスクは新規顧客の獲得に注力していく。「例えばAutoCADには、クラウドにアップロードしたCADデータにスマートフォンやタブレット、PCからアクセスして編集できる機能があります。外出先などからアクセスできるため、働き方改革に伴う多様化した働き方にマッチしており、アピールポイントとなるでしょう。AutoCADと一緒にタブレット端末やポータブルWi-Fiをセットにするといった商品提案の仕方もできます」と石川氏はアピールする。

 また、オートデスクでは、個人情報を除くユーザーの利用状況を収集している。得た情報は開発に生かされ、常にユーザーに使いやすいように改良が行われているという。こうした製品の改良はDISの販売パートナーにとって利点となると国松氏は説明する。「『今度のバージョンはこの機能が改良されていますよ』といった商談での話のきっかけが作れます。そこからお客さまの業務に対する問題点を聞き、解決策となる製品提案にもつなげられるでしょう」(国松氏)

 続けて石川氏は「昨今では、Fusion 360を利用する学生など若年層のユーザーが増えています。こうした学生が社会人になった時にオートデスクの製品を継続して利用してもらえるよう、ファンを増やしていく活動もしていきます」と今後の展望を語った。

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