
ねぎ専門商社「こと日本」がIT管理で取り組む国産ねぎの安定供給
国産ねぎの安定供給をITによる管理で実現する
「X-Tech…ITの力を既存の産業に組み合わせて、新たな価値や仕組みの提供を実現すること」
本連載ではX-TechによりDXを実現した企業と、その製品を紹介していく。今回紹介するのは、パナソニックが開発した「栽培ナビ」と、それを活用して国産ねぎの安定供給実現を図る国産ねぎ専門商社「こと日本」だ。
日本全国の農地を生かす
京都の伝統野菜である九条ねぎの生産加工、卸を行う農業法人「こと京都」。そのこと京都の子会社として設立されたのが、ねぎ専門商社「こと日本」だ。
こと日本 農産課 山田祐揮氏は「こと京都は九条ねぎを専門としており、京都でねぎの栽培を行っています。京都の地形は縦に長く、地域による温度差が大きいため、その地域差を生かしながら九条ねぎの安定供給に努めていました。そのねぎの供給を、日本全国の農地を活用することでさらに安定したものにできないかと考えスタートしたのが、こと日本です。こと日本では日本全国の国産ねぎを取り扱い、年間を通した仕入流通を行っています」と語る。
そうした日本全国のねぎの生産者とつながる中で、栽培情報や生育情報の共有は必須だ。こと日本では仕入流通のほか、自社でねぎの栽培生産も手がけており、それら圃場の管理も求められていた。
そこで導入したのが、パナソニックが開発した双方向クラウド型農業管理システム「栽培ナビ」だ。以前、こと京都では別の農業管理システムを利用していたが、さまざまな機能が盛り込まれていたため使いにくく、システムの改修が難しいという課題があった。栽培ナビは栽培情報の見える化や、地域の農業経営をサポートするIT管理ツールで、生産者の声を反映した使いやすさ重視のUIを採用している。「実際に導入して使い始めたところ、入力が簡略化され非常に管理が楽になりました」と山田氏。
生産者の栽培履歴も可視化
栽培ナビの活用方法を聞くと「基本的には毎日の農作業の入力です。農業法人として社員を雇っている環境では利益を可視化させる必要があります。1年ほどかけて栽培ナビに入力して蓄積していくと、作業ごとに圃場の分析ができるため、農作業の時間配分や、それに基づく作業の効率化などに役立てられます」と山田氏は語る。
また、ねぎの流通の側面からも、栽培ナビは有効に活用されている。「こと日本は全国の生産者とつながり、ねぎを仕入れることで、適正価格での買い取りや、ねぎの安定供給を実現させています。その中で、生産者側にも栽培ナビを導入してもらうことで、当社側から生産者側の栽培履歴を閲覧したり、生産者側が許可を出した項目の入力を行ったりしています」と山田氏。全国の生産者とつながっているため、全ての圃場を直接巡回して生育状況などを把握することは難しい。そこを栽培ナビのシステムで可視化することで、効率化を図っている。
「今、ねぎの消費量は年間40万トン。この中の4万トンのシェアをことグループが獲得する、というのが現在の大きな目標です。その目標を実現するためには、栽培ナビによる情報共有や栽培状況の可視化、分析が不可欠になります」と山田氏。
こと日本は2020年5月1日に、こと京都に吸収合併予定。以降はこと京都こと日本事業部として、日本国内のねぎ産業をさらに拡大させていく。
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