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手書きの電子サインでセキュアな証明―スカイコム・ワコム

手書きの電子サインでセキュアな証明―スカイコム・ワコム

2020年04月15日更新

PDFを有効活用しペーパーレスでの契約を

Skycom

電子文書の世界標準フォーマット「PDF」をコアに据えたPDFソフトウェアプロダクトを提供するスカイコム。同社が2003年から開発・販売している「SkyPDF」シリーズは、PDFの作成や編集だけでなく、電子サインによるペーパーレス化を実現できる製品だ。

直筆サインに電子署名技術を融合

(左)スカイコム 東 英樹 氏
(右)スカイコム 梶原 寛 氏

「当社が目指すのはPDFの機能を用いて、企業のペーパーレス化を推進し、企業の業務改革を実現していくことです。PDFが本来持っている多彩な機能に、当社独自の『電子サイン』の技術を組み合わせることで、これまで紙ベースで運用されていた各種帳票や法定文書の電子化を実現し、業務の効率化を図ります」と語るのは、スカイコムの営業本部 営業部 部長の梶原 寛氏だ。

 同社が提供する「SkyPDF」シリーズの内、電子サインを可能にするのはクライアント製品「SkyPDF Touch Ink for win 7」「SkyPDF Touch Ink for iOS」だ。WebAPIとして「SkyPDF WebAPI」も提供しており、ユーザー企業のWebシステムやWebアプリケーション上でPDFドキュメントコントロールが行える。手書き文字入力やサインもWebアプリケーション上で対応可能だ。

「PDF開発ツールキットとして『SkyPDF Tools SDK Ⅲ』も提供しており、ユーザー企業の独自のシステムやアプリケーションにPDF技術を容易に取り入れられます。クライアント製品もラインアップしていますが、昨今はWebアプリケーションに組み込まれるケースが多いですね」とスカイコム 営業本部 営業推進部 部長の東 英樹氏。同社ではこれらの製品群をSkyPDFペーパーレス/電子サインソリューションとして展開している。

 同社の電子サインの最大の特長は、直筆のサインに電子署名技術を融合させ、サイン後の改ざんを検知できる機能を実装している点だ。梶原氏は「具体的には、サインの電子画像をPDFに埋め込む際に、手書きサインで取得した証跡情報を暗号化して埋め込んでいます。例えばストローク情報や書き順、筆圧、端末で取得するGPSの位置情報、画像を埋め込んだ日時情報などです。電子サインの画像だけでは、本人が意志を持ってサインしたと証明することが難しいですが、これらの証跡によって、本人の意志でサインしたことが証明できます」と、特許を取得したその技術を説明する。

上の画像は、WebAPIを活用してWebブラウザー上で手書き署名をした様子。Webブラウザーの場合はクライアント製品と比較して筆跡に若干の遅延が発生するものの、紙への手書きサインと変わらないスムーズな筆記が可能だ。

活用ポイント
・手軽にペーパーレス
・Webアプリに組み込める
・サイン後の改ざんを防止

筆跡データで本人確認性を担保する

Wacom

電子署名による契約を交わしたことがない人でも、クレジットカード決済における本人確認の署名などで電子サインをした経験はあるだろう。そうした小売店の現場や金融機関で活用されているのが、ワコムのビジネス向け液晶サインタブレットだ。

筆跡から生体情報を取得する

 ワコムでは、クリエイター向けペンタブレットのほかに、ビジネス向け液晶サインタブレット「DTシリーズ」や「STUシリーズ」を提供している。「当社の液晶サインタブレットは、クレジットカード決済のほか、生命保険の加入・契約や、保守メンテナンスなどの作業報告書において活用が進んでいます」と語るのはワコム ビジネスソリューションユニット ビジネスソリューションジャパン シニアディレクター 中逵隆司氏だ。

 ワコムの液晶サインタブレットを利用した電子サインの最大の特長は、手書きサインを実現する前述のハードウェアとサインソフトウェア「Wacom sign pro PDF」、各種SDKを提供しており、組み合わせて使うことで筆跡データから生体情報を取得可能な点だ。

「電子契約において手書きサインを利用する場合、多くはあらかじめ保存していた手書きサインの画像データをそのまま貼り付けています。しかし、当社の電子サインソリューションでは、電子サインの筆跡データを生体情報として取得し、改ざん検知および暗号化機能を持ったソフトウェアで契約書をPDF化します。電子契約における本人確認と意思確認の手段は、現状認証局発行の証明書認証を利用する方法がスタンダードですが、この場合本人確認は問題なく行えるものの、署名証明書が本人の意志に基づいて利用されたかの意思確認が証明できないという欠点があります。本人確認と意思確認を確実に担保するためには“筆跡データ”という固有の生体情報での認証が有効なのです」と中逵氏。

ホテルサンルートプラザ新宿で利用されている「DTH-1320」。宿帳へのサインを電子化し、チェックイン作業時間を大幅に短縮した。

医療現場での活用も進む

 生体認証の技術としてスタンダードと言えるのは指紋や静脈などの体の一部を利用した認証だ。しかし、指紋の場合はデータが盗まれてしまうと、その情報をもとに契約を結ばれたり情報を引き出されたりしてしまう。「自筆のサインであれば、たとえ盗まれても自分の意志で変更が可能です。また、手書きサインの画像データを悪用されても、登録したサインデータと100%一致する場合は認証しないといった柔軟性の高い運用が可能です」と中逵氏はセキュリティ性の高さを指摘する。また認証ソフトウェアによるデジタル筆跡鑑定も可能で、万が一のトラブルの場合も本人鑑定が可能だ。

 導入事例として多いのはやはり金融業だ。「例えば三井住友銀行では、個人のお客さま向けにサインのみで本人確認を可能にする『サイン認証』サービスを国内各支店に導入しています。口座開設を始め住所変更などの各種届け出において印鑑が一切不要になり、顧客の利便性が向上したそうです。デバイスはサインタブレットと印鑑スキャナーが一体になった認証デバイスを利用しており、印鑑での契約を希望するお客さまにも柔軟に対応しています」(中逵氏)

 宿泊施設や市役所での導入もある。ホテルサンルート新宿では、宿帳へのサインの電子化のためDTH-1320を導入したところ、一日5~10時間程度かかっていた宿帳管理に関する作業時間を半減できたという。またチェックイン作業時間を短縮できたことで顧客満足度も大幅に向上した。

 中逵氏は「医療現場での導入も増えています。元々は電子カルテなどに患部や傷の絵を記録するためにペンタブレットを導入した病院が、患者の治療同意書のサインなどで当社のサインタブレットを利用し始めています。民間企業と比較して制約が多い医療現場ですが、ここ1~2年で活用が増えていますね」と話す。

 生体情報をもとに、電子署名の信頼性をさらに高めているワコム。「現在電子契約サービスを提供しているクラウドベンダーに、ワコムの電子サインソリューションの提案も行っています。文書のデジタル化や電子サインがようやく認知され始めた中で、生体データをもとにした本人確認性の担保が可能な電子契約を世の中に浸透させていきます」と中逵氏は展望を語った。

保守点検などの作業報告書に対する署名にも、ワコムのサインタブレットが活用されている。日立ハイテクフィールディングでは報告書を電子化することで、情報共有にかかる時間を3分の1に短縮した。

活用ポイント
・生体情報でセキュアに認証
・電子署名に+αの信頼性
・病院でも広がる利用

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