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ITRが語る電子契約サービス市場の最新動向

ITRが語る電子契約サービス市場の最新動向

2020年04月14日更新

アイ・ティ・アール 三浦竜樹 氏に聞いた!
デジタル署名市場調査
新規導入ニーズの高い電子契約サービス


 電子ファイルをインターネット上で交換し、電子署名を施すことで契約を締結する電子契約。その市場は今後どのように変化していくのか、ITコンサルティング・調査会社のアイ・ティ・アール(以下、ITR)の調査結果をもとに見ていこう。

 ITRは、国内の電子契約サービス市場の調査を実施している。それによると、2017年度の売上金額は21億5,000万円、前年度比79.2%増と急速に拡大した。

 同社のシニア・アナリストを務める三浦竜樹氏は「拡大の背景には、電子契約サービスを提供するベンダー側が、従来中小企業が取得する必要のあった電子署名の認証取得を代替することで、より電子契約サービスが使いやすくなったことが挙げられます。締結を行う双方の当事者がクラウドサービス上で契約に合意し、合意した書面に電子契約サービスのベンダー側が電子署名を施すことにより、煩わしさが低減され、導入がしやすくなったのです」と語る。

 近年、電子契約サービス市場は、導入企業および参入ベンダーが増加していることで本格的な市場形成期を迎えて急成長している。2018年度も同様の動きから前年度比71.2%増と引き続き高成長を維持することが見込まれており、同市場の2017~2022年度のCAGR(年平均成長率)は40.2%を予測している。

 電子契約サービスの導入用途として、現時点ではBtoB用途が多く見られる。しかし、これらの市場拡大を受け、今後は金融や保険などのBtoCでの契約業務で電子契約サービスの利用拡大が見込まれている。「現状、書面での契約が法律で定められている定期建物賃貸借契約や投資信託契約の約款などでも法改正の動きが進むと予想されていることが市場拡大の背景にあります。また、派遣社員との労働契約といったBtoBtoC用途でも電子契約サービスの活用が進むでしょう」と三浦氏は指摘する。

 同社が調査した「IT投資動向調査2020」の業務系アプリケーションの分野でも、新規導入可能性(次年度において新規で導入する可能性のある企業の割合)の1位を獲得したのは「電子契約/契約管理」だ。

 社内文書の電子化状況を見てみても、紙の文書を利用している割合は契約書で51%、稟議決裁文書で49%、見積書/発注書/検収書で47%と、まだまだ電子化が進んでおらず、電子契約サービス導入の余地は大きい。特に契約書に関しては、従業員数100~299人規模の企業の60%が紙文書を使用しているなど、企業規模が小さくなるにつれて紙文書での契約フローが根強く残っているようだ。

 三浦氏は「本当は多くの企業で、印鑑と紙を用いた契約フローを廃止したいというニーズがあります。しかし契約書は取引先と交わすものなので、1企業の業務改善で解決することではありません。特に大企業からの業務を委託される中小企業などは、委託元が電子契約サービスを使わなければなかなか電子化に踏み切れません。裏を返せば、サプライチェーンの上流の企業や組織が率先して電子契約サービスを導入することが、取引先も含めた大きな業務改善や、電子契約サービス市場の拡大につながるでしょう」と指摘した。

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