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保有している設備や資産をトラッキングする位置管理サービス「IoT Tracker」

保有している設備や資産をトラッキングする位置管理サービス「IoT Tracker」

2020年04月28日更新

企業保有のアセットをトラッキング
資産の紛失防止や業務を改善

低価格・低消費電力・長距離伝送を特長とするフランスのSigfoxが提供するLPWA通信規格「Sigfox」。現在、日本での人口カバー率が95%を達成し、ガスや水道の検針、見守りサービスなど多岐にわたるシステムに活用されている。そのSigfoxの国内唯一のオペレーターとして、インフラの構築やネットワークサービスの提供を行うのが、京セラコミュニケーションシステム(以下、KCCS)だ。KCCSは貨物運搬業務に着目し、Sigfoxを活用してアセット(資産)を管理するサービス「IoT Tracker」を開発した。

物流資材の把握で利益損失を防ぐ

 貨物運搬業務で無くてはならないものが、貨物の荷役、輸送、保管するために用いるパレットやカゴ車、コンテナなどと呼ばれる物流資材だ。日々、何千万という物流資材が全国各地の工場や物流センターなどに流通されている。そこで問題となっているのが、輸送を終えた後の物流資材の紛失である。

「物流施設内で放置されたり、同業者が誤って持ち出したりすることが要因となり、物流資材を紛失するケースが頻出しています。輸送先に出てしまうと、人力での物流資材の把握は難しく、管理が行き届きません。多くの物流企業からこの現状を解決できないかという相談を受けました」とKCCS LPWAソリューション事業部 川合直樹氏は資材管理の必要性を話す。

 こうした背景を受け、開発されたのが「IoT Tracker」だ。IoT Trackerは、Sigfoxに対応したデバイスから送信される位置情報を可視化し、パレットなどの資産(アセット)を管理するサービスだ。デバイスから取得した情報を基に、保有している資材の使用状況を把握するために役立てられる。

「年間で約30万枚のパレットが未回収となっています。紛失した資材の回収は難しく、足りない分は購入するほかありません。買い足された物流資材を集計すると企業にとって相当な損出額です。IoT Trackerは、企業が保有するパレットやカゴ車、コンテナなどの資産が今どこにあるのかという、見えない部分を可視化します。シンプルな仕組みで、導入しやすく物流企業の課題解決策として役立てられるでしょう」(川合氏)

データを分析して資産管理を見直し

 IoT Trackerは、Sigfoxに対応したアセットトラッカーデバイス(GPSデバイス)を使用する。対象となるパレットやコンテナなどのアセットにデバイスを取り付けることで常に位置情報を取得できるようになる。デバイスから送信される位置情報はSigfoxの基地局とクラウドを通してWebブラウザー上で確認できる。デバイスから得た情報を基に、保有しているアセットの状況を把握することで、運用の改善につなげられる。管理するデバイスは、Webブラウザーの管理画面からID登録を行う。

 Webブラウザーでは、デバイスの位置情報を表示する「アセットマップ」、登録したデバイスを一覧で確認・管理できる「アセットリスト」、アセットごとの使用頻度を分析できる「アクティビティ」、移動履歴を確認できる「ジオフェンス入出履歴」といった機能が搭載されている。これらの機能は、アセットの紛失防止だけではなく、拠点ごとのアセットの利用状況や輸送中のドライバーの状況確認などさまざまな活用方法が可能だ。

「使用頻度を分析することで、未使用のアセットを別拠点の補填に充てられます。移動履歴を確認することで、ドライバーが計画通りのルートを通っているかといった配送状況の確認もできます。これまで見えなかった事実が情報の可視化により明らかになるでしょう」と川合氏は説明する。ほかにも、一定の期間を経過しても指定した範囲にアセットが戻らない場合にアラートを通知する機能や、移動開始/移動中/移動停止などの詳細なステータスを表示させることも可能だ。蓄積したデータは3カ月間クラウドで保存される。

移動履歴のイメージ。アセットの移動履歴を表示、確認できる。バッテリーの残量などのデバイスの状態も確認可能。
ジオフェンス管理のイメージ。円やポリゴンで囲った地域内のデバイスを管理できる。倉庫・工場・港などにジオフェンスを作成すれば、アセットの入出管理が可能。

低価格かつ低消費電力が魅力

 貨物運搬業務の改善のため、IoT Trackerの導入を決めたのが、東京国際空港で国際航空貨物の輸出入取扱やターミナル管理・運営を行う東京国際エアカーゴターミナル(以下、TIACT)だ。空港内では、航空機に搭載するコンテナやパレットなどの貨物運搬に利用する台車「ドーリー」を24時間365日活用している。

 敷地が広く、複数のターミナルが存在する空港内では、ドーリーが偏在してしまう。荷役する際に積荷業務だけでなく、ドーリーを探してアサインする不要な作業も同時に発生していた。業務効率化のため、TIACTはこれまでにもドーリーの位置管理の実用化を目指し、各種通信方式を試してきたが、通信デバイスの頻繁な電池交換やコスト負担が壁となり導入には至らなかったという。

「IoT Trackerの導入の決め手は、低価格、低消費電力のSigfoxでした。ドーリーにSigfox対応のデバイスを取り付けることで、電池交換が1年以上不要の長期稼働や通信量を含めたシステム使用料金の低廉化が実現します。導入後は、ドーリーの稼働状況が把握できるようになり、滞留・散在防止や業務効率の改善に役立てられているそうです」(川合氏)

 最後に川合氏は「IoT Trackerと自社システムを連携したいというニーズが増えています。今後は外部システムとの連携の強化や、提供する機能の充実を図り、お客さまがより使いやすいシステムを提供していきます」と展望を語った。

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