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HRテッククラウド市場についてミック経済研究所 の樋口一則 氏が解説

HRテッククラウド市場についてミック経済研究所 の樋口一則 氏が解説

2020年04月06日更新

HUMAN RESOURCE TECHNOLOGY
TALENT MANAGEMENT
クラウド化で市場が急拡大
HRテック・タレントマネジメントツールの売り方

労働人口が減少に転じる中で、人材の採用や定着、育成、管理などを適正かつ効率的に行うために、HR(Human Resource)テックソリューションを導入する企業が増えている。クラウド化によって利用しやすくなったHRテックソリューションの市場は今後、大きな伸びが予測されている。

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HRテッククラウド市場ついて、ミック経済研究所が「HRTechクラウド市場の実態と展望 2019年度版」を発表している。同リポートをまとめた同社の樋口一則氏が解説する―。

2020年度は476億円市場に

ミック経済研究所
調査第三 部長・主任研究員
樋口一則 氏

 樋口氏_これまでも勤怠のような管理は、ERPの機能などで行われてきました。しかし、社内の人材の能力を把握して適所に配置したり、人材の最適な組み合わせでそれぞれの潜在能力を引き出したりするような新たな価値を生み出す観点での管理は実現できていませんでした。そうした中で、7~8年ほど前に人材の可視化や分析を可能にするタレントマネジメントシステムへの注目が集まり、さらに3年ほど前からタレントマネジメントシステムを含めたHRテックソリューションの市場が拡大し始めたのです。

 背景には、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少があります。労働者の数が減る中で、限られた人材の有効活用が大きな課題になっているのです。離職率も高まっており、採用の段階でミスマッチを防ぎ、着実に育成を図れる仕組みが求められています。さらに、多様な就業形態への対応と評価の適正化など、課題は山積みです。そうした状況下において、導入しやすいクラウドをベースにしたHRテックソリューションの提供が拡大し、それに合わせて市場も大きく成長し始めています。クラウドサービスとして提供されるHRテックソリューションは初期コストを抑えつつ、スピーディーに導入できる利便性が支持され、中堅中小企業で採用が広がっています。大手企業でも、従来から利用しているERPの機能からの乗り換えが進んでいるようです。

 当社では、クラウドサービスで提供されるHRテックソリューションの市場について調査を行ってきており、今年もリポートをまとめました。2018年度のHRテッククラウド市場は256.4億円で、2019年度には36.1%増の349億円へと成長することを予測しています。さらに2020年度は2019年度比で36.4%増の476億円を見込んでいます。このような成長はその後も続き、2025年の大阪万博を控える2024年度には1,700億円の市場規模になると予測しています。

ビジネスチャットで人材管理

 HRテックソリューションを提供する各メーカーともそれぞれの分野(主な分野は下図参照)で主力のソリューションを持っています。API連携で各分野のソリューションと連携させてユーザーに利便性を提供する手法も多く採用されています。クラウドサービスならではの展開と言えるでしょう。各分野では、例えば、採用管理や人事・配置などは、7~8割程度の中堅中小企業はこれまでシステムが未導入で、Excelなどで管理していました。人事は、「経験」「勘」「気合・根性」などで判断されていたのですね。HRテックソリューションを利用すれば、そうした状況下で見落とされていた素質や意欲、貢献心などを可視化して活用できるようになるのです。

 最近では、ビジネスチャットを人材管理に使用するケースも増えてきています。チャットの内容から感情の変化を捉えたり、使用頻度や投稿数から仕事へのモチベーションを把握したりする目的です。毎日の変化を記録できるため、一定の精度で従業員の状況を読み取れるようです。

価値を創造する人事へ

 HRテック系のクラウドサービスを提案するには、まずはエンドユーザーが何をしたいのかを具体的に汲み取る必要があります。その上で、サービス導入後にエンドユーザーが的確にPDCAを実行できるようなサポートの提供も望ましいですね。そのためには、コンサル系のパートナーと連携していく必要もあります。

 クラウドサービスはストックビジネスとして継続的な売り上げを見込めますが、それだけではなく自社ソリューションとの組み合わせ提案も目指すべきです。人材管理に対する意識が高まっている現状においては、HRテック系のクラウドサービスをドアノックツールとして利用し、組み合わせられる自社ソリューションの提案につなげるような手法も期待できます。

 いずれにしても、労働者人口が減少していく中で競争力の強化が求められる今後は、管理だけの人事から価値を創造する人事への変化が企業に迫られます。人材の最適な配置やマッチング、さらには配置した人材のエンゲージメントの把握や醸成が重要になります。人材の流動性の高まりが予測されるこれからはなおさらです。そうした中で、HRテックソリューションは、新しいビジネスを開拓できる大きなチャンスを秘めているのです。

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