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紙の手帳の書き心地と電子機器が持つ利便性を兼ね備えた電子ノート

紙の手帳の書き心地と電子機器が持つ利便性を兼ね備えた電子ノート

2020年03月24日更新

PDAの代表格ザウルスがルーツの電子ノート

WG-PN1

用途に特化した専用機器であればスマートフォンやタブレットに置き換わることはないという思想のもとシャープの電子ノートは開発された。その振り切った設計思想が支持を受け、2013年の初代モデル「WG-N10」の発売から根強い需要を持ち続けている。今回レビューする「WG-PN1」は、その電子ノートの最新モデル。「これしかできない」「これにしかできない」電子文具の開発を目指すシャープは、WG-PN1にどのようなデジタルノートの理想を詰め込んだのだろうか。
text by 森村恵一

文庫サイズのコンパクト設計

 WG-PN1は、最大9年分のスケジュール、最大5,000ページ分のノート、最大1,000ページ分のTo Doを記録できる。本体サイズは幅114×奥行き157×高さ10.4mmと、文庫本に近いA6規格で、600×800ドットの6インチ電子ペーパーディスプレイを備える。画面は感圧式で、付属のペン以外でも操作できる。重さは約210gで、フル充電で約10日の利用が可能だ。ペンは充電式ではないので、電池が切れる心配はない。

 WG-PN1の基本的な操作は、本体に搭載されたキーシートという機能メニューから、「Schedule」「Notebook」「To Do」を選ぶだけ。例えば、Scheduleを選ぶと、カレンダーや過去のスケジュールが表示される。チェックしたい日付をタップすると、一週間、月間、バーチカルなど5種類のスケジュールフォームが表示されるので、あとはペンで紙の手帳のように書き込んでいけばよい。ペンで書いた文字や数字などは、スケジュールのフォームに画像データとして記録される。単に画像データとして保存されるだけではなく、その画面イメージをBMPなどの画像データとして保存、PCに転送することも可能だ。

手書きの良さにこだわった

 シャープでは、スマートフォンやタブレットがビジネスに普及しても、置き換えられない電子機器があると分析している。机の上や引き出しに常備された電卓、勉強や調べものに活用される電子辞書、防犯機能を備えた電話機などだ。こうした電子機器の多くは、利用できる機能が限られているからこそ、使い勝手の良さや用途に合わせたシンプルさが支持されている。

 そんな背景から、シャープは電子ノートにも、電卓や電話機に共通した手早さと手軽さが求められると考えてきた。そして「手書きの良さ」にこだわり、紙の手帳のような快適さと、デジタルならではの便利さを兼ね備えた電子ノートを開発した。それがWGシリーズだ。

 例えば、WG-PN1のアナログ的な魅力と言えば、思いついたらすぐに書ける手早さや、手書きのような書き心地、長時間のバッテリー稼働、軽くてコンパクトな持ちやすさなどがある。対するタブレットは、それなりに重さがあり、本体やペンをこまめに充電する手間がかかる。そのため、多くの人たちが愛用している紙の手帳をタブレットに置き換えるのは難しい。その点、WG-PN1は紙の手帳の手軽さを実現しながら、手書きの画像データをPCに転送したり、パスコードによるセキュリティ対策などのデジタル機能を付加したりして、置き換えを可能にしている。

新たに追加されたTo Do機能。作業効率化に役立てられる。
専用カバーは取り外し可能で、A6サイズの手帳ケースやブックカバーなどに付け替えられる。

工夫次第で柔軟に業務対応

 若い世代には馴染みのない製品名だが、シャープはかつて「液晶ペンコム『ザウルス』」という携帯情報ツールを1990年代に製品化していた。ザウルスは、現在のスマートフォンを先取りするような革新的な電子手帳で、スケジュールやメモだけではなく、電話帳や名刺管理もできて、作成した文書をFAXで送信する通信機能も提供していた。そのザウルスをルーツに持つWG-PN1は、徹底的に割り切った設計思想で、21世紀の進化系としてのスタイルを実現している。

 その進化の一端が、太さを選べるペンやマーカーの表現、四角や円などを描ける図形描画、240種類のスタンプなどに現れている。そして、WG-PN1をビジネス用途に拡張する魅力的な機能が、オリジナルフォームの開発にある。

 WG-PN1は、ノートやスケジュールのページを画像データとして書き出せるだけではなく、オリジナルのフォームやスタンプをPCから取り込める。例えば、スタンプとして印影を作成すれば、ノートの中で捺印できる。定型フォームを作成すれば、それぞれの業務用途に合わせたWG-PN1の使い方が可能になる。

 点検や検査などの業務であれば、To Doリスト風のチェックリストをフォームとして作成して、作業の現場で活用できる。電子ノートは、鉛筆の芯や消しゴムのかすが飛び散らないので、クリーンルームや食品加工場などでも、衛生的に利用できる。さらに工夫すれば、セールスオートメーションシステムと連携させて、営業のワークフローをTo Doリストとしてフォーム化し、WG-PN1にアップロードできる。そこまでシステム化しなくても、スプレッドシートなどで作成したリストを画像データとして記録してWG-PN1に転送するだけでも、簡易なチェックフォームとして利用できる。いずれにしても、工夫次第でデジタルとアナログのいいとこ取りした電子ノート活用が実現する。

 WG-PN1は、「これしかできない」を突き詰めた電子ノートであり、カメラもないことから、セキュリティに厳しい環境でも、安心して使えるデジアナ文具となっている。それだけに、むしろ「WG-PN1にしかできない」ビジネス用途を数多く発見できる魅力的なガジェットになっている。

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