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音声翻訳機で外国人観光客へのおもてなしを強化した雫石プリンスホテル

音声翻訳機で外国人観光客へのおもてなしを強化した雫石プリンスホテル

2020年03月05日更新

Smart Tourism
スマートツーリズム
人手不足や外国語が苦手でも“おもてなし”の質で儲ける

いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが間近に迫ってきた。外国人観光客向けのサービスの整備も佳境に入っていることだろう。最新のテクノロジーを活用したスマートツーリズムや心を込めたおもてなしの実現のためにも、基本を抑えたITインフラの提案を改めて進めていきたい。

音声翻訳機で言葉の壁を超える

岩手県の雫石プリンスホテルが外国人観光客向けの接客を効率化させるために導入したのが音声翻訳機だ。前年度対比で300%以上の増加率を示している外国人観光客へのおもてなしに大活躍している。

日本の雪を求めて

「世界中で日本にしかないパウダースノーを求めて宿泊される外国人のお客さまの数がとても増えています。2018年度は前年度対比で約300%の増加、2019年度の現在も同等以上の伸びを示しており、外国人観光客のお客さまで大変にぎわっています」

 このように外国人観光客の増加状況を話すのは、雫石プリンスホテルでスキーとゴルフの営業を担当する三河 誠氏だ。岩手県岩手郡雫石町に位置する雫石プリンスホテルは、ゴルフ場とスキー場が隣接し、春から秋にかけてはゴルフ、そして冬はスキーが楽しめるリゾートホテル。温泉や小岩井農場、そして岩手山もある。この雫石プリンスホテルでここ数年、外国人観光客が急増しているというのだ。その理由は、三河氏が先述した通り、日本ならではのパウダースノーにある。

 国土交通省が発表している「観光白書 令和元年版」でも、日本でスキーやスノーボードを楽しむ外国人観光客の多さが指摘されている。訪日外国人旅行者による「コト消費」と地方訪問との関係を調査した結果(「訪日外国人旅行者(一般客)の主な『今回したこと』別地方訪問率(2018年)」)では、スキー・スノーボードが最も高い数値となっている(P17のデータページ参照)。

 スキーやスノーボードは体験に必要とされる費用も多いため、観光地への経済効果は必然的に高くなる。観光白書 令和元年版では、2018年にはスキーやスノーボードを楽しんだ訪日外国人旅行者によって、年間650億円の経済効果がもたらされたと指摘している。

 このように、スキーやスノーボードを楽しむために訪日する外国人観光客は、国内の観光地に大きな経済効果をもたらす。そうした恩恵を、雫石プリンスホテルも得ているのだ。雫石プリンスホテルの最近の主な外国人観光客は、台湾や香港、オーストラリア、ニュージーランドから来ているという。

 多様な外国人観光客が訪れるようになって困ったのが接客対応だった。従来までは、外国語を話せる特定の従業員が外国人観光客の接客をこなしていたが、「外国人のお客さまの増加で、オペレーションが伴わなくなってきたのです。お客さまが怪我などをされたような緊急事態でも、人手不足で言葉によるコミュニケーションがとれない場合、正しい判断が下せないリスクが生じてしまいます」と三河氏は振り返る。

 こうした状況は、雫石プリンスホテルだけではなく、日本全国のプリンスホテル共通の課題として抱えていた。そうした中で、2019年の夏に全国のプリンスホテルのスキー担当が集まる会議において、音声翻訳機の導入が決定されたのだ。

岩手県岩手郡雫石町にある雫石プリンスホテルは、パウダースノーを楽しむために訪れる多くの外国人観光客でにぎわう。

コミュニケーションが笑顔を生む

 実際に導入したのは、ソースネクストが提供する「ポケトーク S」だった。本体で聞き取った音声をインターネット上のサーバーで翻訳し、その結果を本体に返す仕組みで、声だけでなく撮影した画像内の文字も翻訳できる。SIMが内蔵されているので、Wi-Fi環境が整備されていないロケーションでも利用可能だ。雫石プリンスホテルでは2019年12月から18台導入し、フロント、ロビー、レストラン、スキー場、リフト券売り場、警備など全てのセクションに配備して活用を開始している。

「スマートフォンで利用できる翻訳機能を使ってみたこともありますが、翻訳までに時間がかかったりしてうまくいきませんでした。導入したポケトーク Sは、正確な翻訳を瞬時にしてくれるだけでなく、画像からも翻訳できるので重宝しています。定型の受け答えなどは記憶してくれて、いつでも使えるのも嬉しいですね」(三河氏)

 雫石プリンスホテル内の居酒屋「ななかまど」でもメニューの説明などで活躍しているという。「おすすめのメニューや雫石ならではの食材の紹介を外国人のお客さまにする際も、ポケトーク Sが役立っています。スキー場などでは、初めてスキーを楽しむお客さまに対して、スキー道具の使い方からリフトの乗り方まで、ポケトーク Sを使って説明しています」(三河氏) 

 怪我などの緊急対応についても、「どこがどの程度痛いのかといったお客さまの具体的な状況を医療現場に伝えられるようになりました。雪に慣れていないお客さまは滑って足をひねられたりすることも少なくないのですが、そうした際にもポケトーク Sで怪我の具合を細かく聞くことが可能になったのです」と三河氏は話す。

 日常の業務においてポケトーク Sがすでになくてはならないものになっているという雫石プリンスホテルでは、音声翻訳機の効果を次のように捉えている。「言葉が通じないことは不安を生み出します。言葉によるコミュニケーションがとれるということは、お客さまに安心を提供していることと同じなのです。ポケトーク Sを通じたコミュニケーションでお客さまが笑顔になられるのを見るたびに、言葉の重要性を実感しています。今後もポケトーク Sをフル活用していきたいですね」(三河氏)

雫石プリンスホテルの居酒屋 ななかまどのおすすめメニューである「石焼麻婆豆腐」も、ポケトーク Sを使えば外国人観光客に対して簡単に説明できる。
雫石プリンスホテルでスキー・ゴルフの営業を担当する三河 誠氏。

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