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センサーで利用者の身体状況を管理する次世代見守りサービス「eMamo」

センサーで利用者の身体状況を管理する次世代見守りサービス「eMamo」

2020年03月25日更新

センサーで利用者の身体状況を管理
超高齢社会を支える見守りサービス

2025年の日本は、第一次ベビーブーム期(1947年~1949年)に出生した団塊世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の5人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎える。介護を必要とする高齢者が増え、老人ホームや介護施設の需要は高まる一方だ。その半面、介護現場は人材不足や過酷な労働環境が問題視されている。そんな介護現場の問題を解決するためリンクジャパンは次世代見守りサービス「eMamo」(イーマモ)を開発した。

介護の現場をIT化する

「全ての介護現場において共通の課題が“人材不足”です。昨今、さまざまな業界でIT活用による業務効率化が進んでいますが、介護業界はいまだに手書きによる作業やフィーチャーフォンを使用する施設が多く、IT活用が遅れています。業務効率の悪さ故に長時間勤務や、休みたくても休めないという環境を生み出します。従業員のストレスが溜まりやすく、離職につながる原因にもなります」と介護現場の問題点を提示するのは、リンクジャパン CEO 河千泰進一氏だ。

 河千泰氏自身の母親が介護職に携わっていた経験から、介護業界の労働環境の悪さや離職率の高さなど介護現場の過酷な状況を肌で感じていたと話す。「老人ホームや介護施設では、部屋の空きがあっても対応する従業員が不足しているため、入所の受け入れができないという問題も起きています。介護の現場に必要なのは、人材の確保と従業員の働きやすい職場環境です」(河千泰氏)

 こうした介護現場の課題解決のため開発されたのが、次世代見守りサービス「eMamo」だ。介護施設や、訪問介護事業者の見守り用途として、利用者の身体状況を常に把握でき、利用者の動きがないといった万が一の緊急時に介護事業者や警備会社などに通知するサービスである。

「当社はIoTスマートホーム事業に関わる製品やサービスを開発・提供からスタートしました。その中で、介護現場から業務効率化のためにIoTを活用できないかという要望を受けました。介護現場の実情に問題意識を持っていたこともあり、自社開発のプラットフォーム技術を活用し、介護の現場にもIoTを生かせるのではないかと考えたことがきっかけです」と河千泰氏はeMamoの開発背景を語る。

8種類のセンサーで利用者を管理

 eMamoは、心拍、呼吸、体温、離床、ドア開閉などを多種多様なセンシング技術を用いて利用者の日常のデータを管理する。設置するセンサー、プラットフォーム、クラウドのデータ保存環境を一括で提供する。

 導入方法は簡単で、老人ホームや介護施設のドアやカーテン、エアコン、ベッドなどにセンサーを取り付けるだけだ。取り付けたセンサーにより利用者の身体状態や行動を常時看視し、異常を検知すれば従業員に通知される仕組みだ。センサーは両面テープで貼り付けられるため、壁に穴を開けるなどの工事は不要で場所を選ばず設置できる。

 提供するセンサーは、「人感」「心拍」「呼吸」「体温」「温度」「湿度」「照度」「ドア開閉」の8種類。利用者の状況に応じて導入するセンサーをカスタマイズでき、他社のIoT製品との連携も可能だ。

 センサーから収集したデータはクラウド保存される。蓄積したデータはAIによるデータ解析が行われ、データの増加に伴ってより正確な異常検知を可能にする。「eMamoは一つのセンサーからの情報だけで判断するのではなく、複数のセンサーを組み合わせています。心拍、呼吸、体温などの情報から得た結果をトータルで判断して異常発生時の通知を行います。蓄積されたデータから異常の早期発見や従業員が気付けない体調の些細な変化にも対応できます」(河千泰氏)

 利用者のデータはPCまたはスマートフォンのWebアプリから管理を行う。管理画面には利用者の状況とバイタルデータがアイコンで確認できる。機械操作に不慣れな従業員でも簡単に操作できるよう、UI設計にも力を入れたと河千泰氏は話す。

 例えば、就寝時はベッドのアイコンと心拍数などのバイタルデータが表示されており、利用者の状況が一目見て把握できる。異常発生時には画面上にエクスクラメーションマーク(!マーク)が表示されると同時に警報音が鳴り、従業員に通知する。従業員はすぐに利用者のもとに駆け付けられ、素早くトラブルに対処できる。管理画面には、従業員同士の情報共有のためのメッセージが書き込める「掲示板」機能なども搭載している。

情報を可視化して異常検知

 2019年3月には、福岡県福岡市の老人ホーム「ハーヴェスト高宮」でeMamoを活用した実証実験が行われた。従業員の業務軽減や精神的ストレスの軽減効果などが認められ、2019年7月から正式導入されている。

 eMamoを導入したことで業務負担が減った事例もある。例えば、従業員が数時間おきに行う利用者の見回り業務が改善されたケース。夜勤は特に徘徊の心配などから頻繁に様子を確認する必要があった。

 この見回り業務がeMamoの導入により、徘徊の可能性のあるドアの開閉検知や異常の通知を受けた時にのみ駆け付け対応できるようになり、業務負担が改善されたという。従業員の目で確認しないと見えなかった情報を可視化することで従業員の負担だけではなく、利用者が感じるストレスも軽減できる。

 今後は介護用おむつセンサーや血圧センサー、血中の酸素濃度を測るSpO2センサーなどと連携する予定だという。利用者の安全を守りながら住みやすい環境を構築し、従業員の業務負担を改善し働きやすい環境を作っていく。

 最後に河千泰氏は「IoTで社会課題を解決することを目標に、生活に必要とされる製品を提供していきます。介護業界に向けてeMamoを含めたサービスの提供や周知を行い、介護現場の課題を解決します」と展望を語った。

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