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インテル安生氏がProject Athenaについて解説&日本HP「HP Elite Dragonfly」

インテル安生氏がProject Athenaについて解説&日本HP「HP Elite Dragonfly」

2020年01月10日更新

ユーザー中心でPCを生まれ変わらせる

インテル 安生氏が語るProject Athenaの全容

ノートPCの新しいイノベーションを目指すProject Athenaは、どのような経緯で取り組みが開始されたのか。これからの展望も含めて、インテル 技術本部 部長の安生健一朗氏が語る。

安生氏_これまでも当社は、ノートPCの革新的なプログラムとして、モバイル向けプラットフォームの「Centrino(セントリーノ)」や薄型軽量を促進した「Ultrabook(ウルトラブック)」、ノートPCとタブレットが一体となった「2in1」などを推進してきました。これらの特長はいずれもプロダクトが起点で開発が進められた点にありました。

 一方、2019年から新しく開始したノートPCのイノべーションプログラムである「Project Athena」は、それらとは全く異なるアプローチを採用しています。スマートフォンやタブレットなど多彩なデバイスをモバイルで使用することが一般的になっているなど、ユーザーの環境が著しく変化する中で、Project AthenaはPCをどう生まれ変わらせるかを“ユーザー中心”で考えたプロジェクトなのです。

 グローバルの状況を見ても、モバイルワークや副業が当たり前になってきており、仕事の在り方やライフスタイルが従来と比べて大きく遷移しています。その中で仕事のツールとしてモバイルでも活用されるノートPCをどのように変えていけばいいのか。どのような製品なら、ユーザーニーズに応えられるのか。

 その答えを導くために、まず必要だったのが人間の行動の理解です。そこでProject Athenaでは、社会学者の協力の下、世界各国でユーザーリサーチを実施しました。モバイルで利用されているノートPCが、どういうユーザー層にどのように使われているかを徹底的に調査したのです。

インテル
技術本部 部長 工学博士
安生健一朗氏

「ユーザーの環境が著しく変化する中で、Project AthenaはPCをどう生まれ変わらせるかを“ユーザー中心”で考えたプロジェクトなのですー」

仕事にどれだけ集中できるか

 世界各国でのユーザー調査から、モバイル向けのノートPCに対して、「常に利用可能」「パフォーマンスと応答性」「バッテリー寿命の延長」「常に高速で信頼性の高い接続性」「AI」「フォームファクターと操作性」の六つのイノベーション要素を設けました。

 常に利用可能やパフォーマンスと応答性は、「フォーカス」という視点でのイノベーションにつながります。ユーザーがどれだけ作業に集中できるか。ユーザーが仕事に集中できる環境をどう作り出せるか。そうした視点から、例えば、使いたいときに即時に起動できるノートPCがProject Athenaでは想定されています。また、モバイルのノートPCは、バッテリーの利用時間を伸ばすために、ACアダプター接続時よりもパフォーマンスを落とすような設定をする場合がありますが、それでは作業に支障が出てしまう可能性があります。モバイル時のバッテリー駆動状態でもACアダプター接続時と変わらないパフォーマンスを発揮でき、さらにバッテリー駆動時間が長い製品が必要です。そこでProject Athenaでは、パフォーマンスとバッテリーのバランスをどうとるかという非常に難しい課題に挑んでいます。

 モバイル時のネットワーク接続においても、より快適で高速性が求められています。そのためにWi-Fiの最新規格であるWi-Fi 6(IEEE 802.11 ax)への対応で、アクセスポイントからノートPCまでの接続を高速化します。加えてLTEへの対応強化も図っていきます。

 そして適応性というキーワードも、Project Athenaでは重要な要素になります。鍵を握るのがAIです。例えば電源制御へのAI活用ですね。ユーザーの利用状況をAIが把握して、バッテリーとパフォーマンスの最適化を自動で実現するイメージです。

 フォームファクターの観点では、現在中心となっているモニターとキーボードのクラムシェル型だけでなく、二つのモニターを利用した2画面型など、ユーザーニーズに即した製品の開発も進められています。

100社以上のパートナーと共同開発

 2019年に始まったProject Athenaは、今後5年程の期間を見越してノートPCを進化させていくことを目的としたプロジェクトです。PCメーカーだけでなくコンポーネントメーカーも含めた業界全体のプロジェクトであり、Project Athenaのイノベーションプログラムへの参加企業は100社を超えています。

 Project Athenaが目指す製品として要件を満たしていると判断されたノートPCは、「Engineered for Mobile Performance」という認証マークの利用が可能になります。この認証マークは、CPUのロゴのようにノートPC本体に貼付されるのではなく、製品紹介のWebページや販促活動などで利用できます。

 現在は、体験指標(KEI)という形で提示している以下の内容を満たしているノートPCに認証が付与されます。

瞬時の起動
・1秒以内のスリープ復帰

優れた応答性
・電源接続時も移動時にも優れた応答性

十分なバッテリー駆動時間
・PCに保存された動画のPlayback Modeにおける16時間以上のビデオ再生
・Webブラウジングで9時間以上
・4時間分のバッテリー容量を30分以内に充電

 これはプロジェクト開始1年目の指標であり、2年目、3年目には適宜変化していくでしょう。当社は第10世代インテル Core プロセッサーを発表しましたが、KEIを満たしていれば、第8世代のインテル Core プロセッサー搭載製品でも認証されます。

 先程触れたように、Project Athenaには100社以上のパートナーが参加しています。ディスプレイメーカーやWebカメラメーカーなど、ノートPCを構成する各コンポーネントメーカーも含めて、業界が一丸となってイノベーションを追求するプロジェクトです。Windows PCだけでなくChromebookも対象です。こうした取り組みなので、どのようなイノベーションが起こっていくのか、非常にわくわくしています。大きなコンセプトの枠の中で新しいものが生まれていくはずです。エコシステムが潤滑に動いていくように、ワークショップなども開催しています。

これからの企業環境に究極的にフィット

また、Project Athenaはこれから企業の中心となっていく若い世代に対しても、使い慣れたスマートフォンと同じような使い勝手などの分かりやすい体験、メリットを訴求できるノートPCを生み出せるでしょう。ノートPC利用時のユーザー体験を重視したイノベーションプロジェクトであるProject Athenaは、ノートPCの新たなビジネスチャンスを開拓していくのです。

新しいPCの使い方
新しい需要に応える

Project Athenaに準拠した法人向けノートPC

Project Athenaに準拠した法人向けノートPCを日本HPが市場に投入した。日本の仕事環境が強く意識された製品だ。国内ユーザーへの多大な訴求力を備えている。

日本のユーザーを意識

 日本HPがProject Athenaに準拠した法人向けノートPC「HP Elite Dragonfly」を発表したのは2019年9月。日本ではグローバル向けの発表会が開催された。HPの製品発表会で、グローバル向けの発表会が日本で開催されたのは初めてだ。HP Elite Dragonflyの開発に対する思いや市場への期待が現れている。日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 モバイルビジネス部 部長の織田博子氏は、「国内ユーザーが求めているものを取り入れて開発されたのがHP Elite Dragonflyです」と、その開発背景をアピールする。

 働き方改革の影響もあり、日本HPが提供するPC製品の中でノートPCの売上比率が高まっている。特に昨今は、13インチ製品の成長率が従来主力となっていた15インチ製品を上回っているという。「高齢化や女性の活用、生産性の向上など、国内企業が解決しなければならない課題は多くあります。そうした課題を解決していくためには、今までの使い方にとどまらない新しい使い方、新しい需要に応えるノートPCを提供していく必要があります」(織田氏)

 働き方改革は、織田氏が指摘するような課題を国内企業が解決するために取り組まれている大きな動きだ。柔軟な働き方の実現のため、オフィス以外でも働けるモバイルワーク環境の整備も進められている。こうした中では、モバイルに対応できるノートPCの需要がおのずと高まっていく。「働き方改革が進行する中で、いつでもどこでも働けるようにすることを目指したのがHP Elite Dragonflyです」(織田氏)

 HP Elite DragonflyはProject Athenaに準拠したノートPCだ。「メーカー側の意向が主となるプロダクトアウトのアプローチではなく、ユーザーに寄り添ったかたちで製品を開発していくのがProject Athenaです。中心となるインテルが参画企業間の触媒的な役割を果たして、より使いやすいノートPCの開発をプロジェクト参加メンバー全体で推進しています。そうした取り組みが進行する中で生まれたHP Elite Dragonflyは、Project Athenaが目指すイノベーションの好例と言えるでしょう」(織田氏)

(左)
日本HP
織田博子氏

(右)
日本HP
宮澤 彩氏

ドラゴンフライブルーが象徴するもの

 HP Elite Dragonflyは、本体重量が1kgを切る(約999g:2セルバッテリーを搭載した最小構成時)13.3インチコンバーチブルタイプのノートPCだ。“すべてを軽くする”がHP Elite Dragonflyのキャッチコピーとなっている。

―HP Elite Dragonfly
・本体重量は最小構成時で999g、バッテリー駆動時間は最大約24.5時間
・13.3インチで画面比率約86%の狭額ベゼルを採用
・CNC加工のマグネシウムの本体、カラーは「ドラゴンフライブルー」
・新設計の静音バックライトキーボードとガラス素材のタッチパッドを搭載
・第8世代 インテル Core i Uシリーズプロセッサーを搭載(vProプロセッサー搭載モデルも用意)

「モバイル用途を考慮した場合、国内では1kg未満のノートPCの需要が高いです。そのため、HP Elite Dragonflyも1kgを切る本体重量を実現させています。2セルバッテリー搭載時で最大約16.5時間、4セルバッテリー搭載時で最大約24.5時間という長時間バッテリー駆動によって、いつでも安心して使える環境が整備できます。バッテリーに不安があったり、外出先でバッテリーがなくなってしまって慌ててカフェなどを探すような状況になることがありません」(日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 モバイルビジネス部 プロダクトマネージャー 宮澤 彩氏)

 Wi-Fiは、最新規格のWi-Fi 6に対応している。「Wi-Fi 6はWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)と比較してファイル転送速度が最大3倍になります。多くのユーザーがネットワークにアクセスする高密度環境でのパフォーマンスも向上します。今後、Wi-Fi 6に対応したアクセスポイントが普及していくなかで、より快適なアクセス環境が実現していくでしょう。もちろん、LTE搭載モデルも用意しています」(宮澤氏)

 HP Elite Dragonflyは、軽量設計を実現するマグネシウムの本体に、「ドラゴンフライブルー」と呼ばれる美しいカラーが採用された。「社外への持ち出しが前提となると、やはりデザインは選定基準の大きな要素になります。ビジネスで利用しても浮かず、ありきたりでなく、さらに女性や若い世代にも支持されるデザインを目指した結果として、ドラゴンフライブルーが生まれたのです」(宮澤氏)

 キーボードも新たに設計された。マグネシウム素材で、静音性と打ちやすさを追求。防滴仕様で飲み物をこぼしてしまっても問題ない。「HP Elite Dragonflyは米軍調達基準(MIL-STD-810G)の19項目のテストをクリアしており、落下だけでなく振動などにも強い堅牢性を備えています」(宮澤氏)

HP Elite Dragonfly
HP Elite Dragonflyは、Project Athenaに準拠したコンバーチブルタイプのノートPC。ノートブックモード、タブレットモード、テントモード、メディアモードの四つの形態で、さまざまなビジネスシーンにフィットする。

すべてを軽くする、に込められた意味

 セキュリティ面では、従来からHPが提供しているセキュリティソリューション「Sureシリーズ」が搭載されている。AIを活用したマルウェア防御機能「HP Sure Sense」や内蔵型のプライバシースクリーン機能である「HP Sure View」(搭載は一部モデル)などに加えて、Webカメラ用のプライバシーシャッターも採用されている。

 HP Sure Senseは、AIによって、既知のマルウェアだけでなく未知のマルウェアも、その約99%を最短20msecで検知できるソリューションだと日本HPは説明している。AIが独自に学習することで未知のマルウェアもリアルタイムで検知できるのだという。セキュリティ機能も備えたHP Elite Dragonflyは、軽量性や長時間バッテリー駆動、洗練されたデザインに加えて、ビジネスでは最も重視されるべき安全性への配慮も高いレベルで実現しているのだ。

「すべてを軽くする、というHP Elite Dragonflyのキャッチコピーは、本体重量だけにあてはまるものではないのです。バッテリーやセキュリティの不安など、仕事でノートPCを利用する際のさまざまな重い状況から解放し、軽やかな仕事環境をHP Elite Dragonflyが提供するという意味が込められているのです」(織田氏)

 これらの特徴を持ち、Project Athenaにも準拠したHP Elite Dragonflyは、日本の多様なビジネスパーソンが会社に縛られないモダンな働き方を実践するために欠かせない要素を満たしたノートPCと言えそうだ。象徴的なドラゴンフライブルーを纏うHP Elite Dragonflyは、2020年から東京での生産も開始される。

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