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東京五輪後も拡大するデジタルサイネージ市場を富士キメラ総研が語る

東京五輪後も拡大するデジタルサイネージ市場を富士キメラ総研が語る

2020年01月15日更新

Special Feature 2
DIGITAL SIGNAGE
デジタルサイネージが拓く一歩先のマーケティング

デジタルサイネージの普及が進み、街中で見かけない日はないほどだ。2020年夏に開催される東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、今後も導入が進んでいくデジタルサイネージ。しかし、現在のデジタルサイネージは、コンテンツ表示装置としてだけではない、多様な活用がなされている。ポイントとなるのは既存システムの機能向上と、訪日外国人への対応だ。

五輪後も拡大する
デジタルサイネージ最新市場動向

デジタルサイネージの需要が拡大している。背景には、2020年夏に開催される東京オリンピック・パラリンピックに伴う新規や追加設置などの案件増加や、訪日外国人が増加したことによる多言語対応のコンテンツ表示が求められているためだ。その市場動向を富士キメラ総研に聞いた。

新設やリプレース広がる

 富士キメラ総研では、国内のデジタルサイネージ市場を調査し、2025年までの予測を示している。調査によると2018年の同市場は2017年比115.4%増の1,659億円となる見込みで、2025年には2017年比2.2倍の3,186億円にまで拡大する予測だ。

 富士キメラ総研の山田英吾氏は「デジタルサイネージ市場は2000年代に入り、ディスプレイの大型化や薄型軽量化が進んだことで金融機関や交通機関の情報表示用途から市場が形成され始めました」と語る。

 市場形成以降は、ネットワーク環境の整備や低価格化の進行により、小売店舗や商業施設、公共施設をはじめ、一般企業や教育機関など幅広い分野で導入が進んだ。それに伴い、当初はシステム販売/構築といったビジネスが中心であったが、設置数の増加や配信ニーズが多様化するにつれて、コンテンツ制作/配信サービスや、デジタルサイネージ広告といったビジネスが拡大した。それにより、多種多様なプレイヤーが参入して市場が活性化しているという。

「特に近年は、2020年開催の東京五輪を見据えて、首都圏の交通機関や公共施設、大型商業施設を中心に新設や追加、リプレースといった案件が増加しています。企業内においても、情報共有を目的にオフィスサイネージを導入するケースも増えています。特に工場など現場の従業員に対して、本社からの情報発信ツールに活用されています。また、訪日外国人の増加で多言語対応システムやAIロボットなどを活用したシステムに対してもニーズが高まっています。ディプレイの大型化や高解像度化など、多様化が進んでいます」と山田氏は指摘する。

富士キメラ総研
第一部門 主任 山田英吾 氏

「最近では壁一面に映像を表示して、ブランドイメージを空間で演出するデジタルサイネージの活用例もアパレル業界で増えてきています」

ソリューションと組み合わせ

 特に注目市場として挙げられたのが、「関連/周辺ソリューション」だ。インバウンド/多言語対応ソリューションやデジタル内装ソリューション、防災/減災対応ソリューションなど、デジタルサイネージと組み合わせることで訴求効果や利便性、サービスを向上させられる。

「デジタルサイネージが汎用的になり、ディスプレイメーカーやAVインテグレーター以外の企業も提案できるようになったことで、ソリューションによる差別化が求められてきています」と山田氏は指摘する。

 例えば防災/減災対応ソリューションとの組み合わせは、東日本大震災以降に再評価が進んだデジタルサイネージ活用手法だ。特に官公庁や公共施設に設置するデジタルサイネージは、費用対効果が見えにくいことから予算化が難しく、導入が進まない課題があった。しかし、東日本大震災以後、デジタルサイネージに災害情報や避難誘導を表示することで、減災につながると価値の見直しが進んだ。

 東京五輪に向けて、インバウンド/多言語対応ソリューションにも注目が集まっている。特に高い需要があるのが、交通機関や公共施設に設置するデジタルサイネージとの組み合わせだ。「デジタルサイネージの高解像度化が進み、4K対応デジタルサイネージのラインアップも増加傾向にあります。特に4Kが生きるのが細かな表示が必要な地図情報で、地図を多言語表示することで、訪日外国人が迷わず目的地へ向かえる案内表示を提供できます」(山田氏)

富士キメラ総研の調査によると、「デジタルサイネージ広告」「コンテンツ制作/配信サービス」「システム販売/構築」を合わせたデジタルサイネージ国内市場は、2025年に3,186億円にまで成長する。システム販売/構築においてはサイネージ向けディスプレイの大型化や高解像度化が進んでおり、2019年以降4K以上の大型モニターが急速に市場構成比を高めていくと指摘されている。

表示機器にとどまらない提案

 マーケティングツールやコミュニケーションツールとして顔認識/画像認識ソリューションや、行動/購買分析ソリューション、チャットボット/音声認識ソリューション、SNS連携ソリューションの活用も広がっている。これらのソリューションは、既存システムの機能向上と新規システムの付加価値提案になり、販売単価上昇につながるため、参入ベンダーの注目度が高く新規参入も増加している。

 山田氏は「今までデジタルサイネージを表示機器として利用していたユーザーに対して、行動/購買分析ソリューションを併せて提案することで、より訴求効果の高い場所にデジタルサイネージの設置場所を変更したり、表示コンテンツをカスタマイズしたりといった活用が可能になります。店舗レイアウトの変更やマーケティング効果の分析などにも利用でき、ハードウェアの売り切り提案にとどまらないビジネスの展開が可能になります」と語る。

 東京五輪開催を控え、システム販売/構築市場は2019年から2020年に好調を維持する。東京五輪後の2021年こそ微増にとどまるものの、2022年から2025年は上記の関連/周辺ソリューションとの連携が一層加速し、順調な伸びが予想されている。「店舗演出用のデジタル内装ソリューションなど、ブランドイメージを伝えるツールとしても有効です。また、IT企業の受付やエントランスでプロジェクターを利用し、イメージ映像を表示するような活用も増えてきており、小売店舗や交通機関以外の一般企業にも導入が進みそうです」と山田氏は指摘した。

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