
クラウド経由で画像認識機能を追加できるVieurekaプラットフォーム
クラウドパートナープログラム
クラウド経由で画像認識機能を容易に追加
ネットワークカメラを課題解決ツールとして提案
ネットワークカメラの活用用途は多岐にわたる。しかし、撮影したデータを分析するためにはコストや技術的な側面での課題も多く、導入に踏み切れないユーザー企業も多い。そうしたユーザー企業に提案しやすいのが「Vieurekaプラットフォーム」だ。ネットワークカメラ側でエッジ処理を行いつつ、画像認識のアプリをクラウドから組み替えられるプラットフォームで、販売パートナーが独自にアプリを開発することも可能だ。
Lesson1 業務改善にネットワークカメラを提案
防犯や防災を目的に、ネットワーク(IP)カメラの設置が進んでいる。昨今では小売店におけるマーケティング用途や倉庫や工場などにおける業務改善にネットワークカメラが用いられるケースも増えてきており、その設置台数は年々増加傾向にある。
しかし、ただ対象を撮影するだけでなく業務の改善に役立てるには、必要なデータを蓄積しつつ解析を行えるプラットフォームが必要だ。その選択肢として有効なのがクラウドサービスだ。
パナソニックは、ネットワークカメラをさまざまな用途のIoTデバイスとして活用できる「Vieurekaプラットフォーム」を展開している。同社の宮崎秋弘氏は「Vieurekaプラットフォームが目指しているのは“世界の今をデータ化する新たな社会インフラの創造”です。ネットワークカメラを含む監視カメラは年間1億台のペースで増加していると言われており、町中に設置されたカメラがネットワークにつながることで、新たな価値が生まれます」と語る。
その価値が、映像を活用したデータ分析だ。一つのカメラでは映像の記録や参照しかできなかった環境が、複数のカメラがつながることで、それぞれのカメラがセンシングの“眼”となり、多様な用途での活用が実現できる。
Lesson2 カメラ内で画像をAI処理
半面、ネットワークカメラによる画像認識には課題もある。ネットワークカメラの画像認識機能はハードウェアやファームウェアとして実装されるため、用途に応じた活用が難しい点や、PCによる画像認識機能ではコストがかかりすぎるという点だ。
「PCでの画像認識が難しいのであればクラウドを利用するという選択肢もありますが、ネットワークカメラのデータは数Mbpsと大きく、設置されているネットワークカメラの台数が増えるほどデータは膨大になります。アップロードするデータが増えるほど帯域幅を圧迫してしまうため、エッジ側(ネットワークカメラ側)である程度のデータを処理し、その解析した結果をクラウドに送信する分散処理が求められます」と宮崎氏。また、複数台のネットワークカメラを運用する場合は、その設置場所と管理しているユーザー、検知している情報などを管理する機能も求められる。
そうした課題を解決できるのがVieurekaプラットフォームだ。Vieurekaプラットフォームは、Vieurekaに対応したネットワークカメラによる「センシング」、認識結果の集計・分析・可視化を行う「クラウド」、その結果を閲覧する「ビュー」で構成されている。Vieurekaに対応したネットワークカメラは内部に映像解析可能な高性能CPUと、各種デバイスを外付け可能なUSBインターフェースなどを搭載している。内部で映像をAI処理し、必要なメタデータだけをクラウドにアップロードすることで、帯域幅の圧迫を防ぐ分散処理を実現する。
Lesson3 クラウド上から認識アプリを入れ替え
Vieurekaプラットフォームではデータ処理を行うクラウドにAmazon Web Services(AWS)を採用している。クラウド上では認識結果の集計・分析・可視化のほか、設置されているVieureka対応カメラの管理が行える。加えて、Vieurekaでは対応カメラ内の画像認識機能をクラウドから容易に入れ替えて、用途に応じた制御や状態監視を実現可能だ。スマートフォンにアプリケーションをインストールするように、画像認識・分析アプリケーションをクラウド上の「Vieureka Manager」からVieureka対応カメラにデプロイできるのだ。画像認識アプリケーションと分析アプリケーションをそれぞれ組み合わせて、マーケティング分析や介護・看護支援、工場入退室管理、建設現場管理などさまざまな分野で、画像解析に基づいた業務支援が実現できる。
宮崎氏は「Vieurekaプラットフォームではアプリケーション開発環境として『Vieureka SDK』を、Vieureka対応カメラ、Vieureka Managerとともにパートナーに提供しています。建設現場向けや介護向けなど用途に応じた画像分析アプリケーションを容易に開発でき、ユーザー企業の課題解決に貢献可能です」と語る。画像認識結果の集計・分析・可視化はパートナーが開発したアプリケーションごとに「Web App Data Management」として分かりやすくアウトプット表示可能だ。
Vieureka Managerからカメラの遠隔保守や管理、遠隔アップデート、カメラに展開したアプリケーションの運用管理も可能で、負担を抑えたIoT提案が可能になる。Vieurekaプラットフォームのパートナープログラムは2019年4月からスタートし、同年9月時点で30社がパートナー企業として参画している。
Lesson4 アプリを流通させる仕組みを実装予定
Vieurekaプラットフォームによる容易なアプリケーション開発や画像認識機能の実装は、ユーザー企業の要望に合わせた機能追加を現場で実現できることにつながる。例えば、パナソニックではVieurekaプラットフォームを活用した来客分析サービスを2018年5月にサッポロドラッグに提供している。しかし、活用を進めるうち、商品陳列スペースの欠品検知にも活用したいというニーズが浮上した。そこで、Vieurekaプラットフォームで追加のアプリケーションをデプロイすることで機能拡張を行い、ユーザーの要望に柔軟に対応したという。パナソニックではVieurekaプラットフォームに対応したアプリケーション開発パートナーを継続して募集するほか、Vieureka対応カメラを開発するデバイスパートナーも募っている。
「現在提供しているVieureka対応カメラはリファレンスモデルとしてエルモ社にODM開発してもらいました。しかしユーザーからの要望によっては、防水防滴対応のカメラの方が適しているケースもあると思います。IoTの世界では、機器単体だけでなく、通信環境やクラウドも必要になるため、1社で全てを提供することは難しいです。VieurekaではSORACOMと連携し、IoT向けデータ通信サービスやデータ蓄積サービスもVieurekaで利用できるようにしています」と宮崎氏は語る。
将来的には、Vieurekaプラットフォーム用に開発された画像認識アプリケーションを流通できる仕組みも提供していく方針だ。パートナーとの価値共創によって、DXを実現できる世界の構築を目指していく。
本日の講師
パナソニック
ビジネスイノベーション本部 エッジコンピューティングPFプロジェクト Vieureka CEO
宮崎秋弘 氏
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