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生産者の出荷作業を支える日本ユニシスの直売所販売支援サービス

生産者の出荷作業を支える日本ユニシスの直売所販売支援サービス

2019年12月23日更新

直売所の“いま”がスマホで見られる
「つながるファーマーズ」

農林水産省により、農業にロボットやICTなどの先端技術を活用する「スマート農業」が推進されている。ビニールハウス内の温湿度管理や、農業機械の遠隔操作など農作業者の負担を軽減する多くのソリューションが開発されている。そうした中、日本ユニシスが開発した「つながるファーマーズ」は農産物の出荷作業の負担を軽減するサービスだ。

画像で売り場を見える化

 直売所の農産物は、生産者が自ら農産物を出荷し、陳列を行っている。スーパーマーケットのように品物の在庫を店舗内で管理していないため、商品が品切れになると生産者が直売所に出向き、追加の出荷を行う必要がある。生産者が商品の売れ行き状況を把握するためには、直売所へ自ら確認したり、直売所の店舗スタッフが、生産者に対してメールや電話で追加の出荷依頼をしたりすることで対応しているが、日々のこととなれば大きな作業負担となる。

 こうした直売所における問題を解決するために開発されたのが、日本ユニシスの直売所販売支援サービス「つながるファーマーズ」だ。つながるファーマーズは、ネットワークカメラを活用し、売り場の“いま”をスマートフォンアプリで確認できる販売支援サービスである。生産者は随時アプリで商品の売れ行き状況を確認できるため、効率よく出荷の準備が行え、商品が品切れになる前に直売所に農産物を届けられる。「売り場の状況を画像で配信することにより、生産者は商品の売れ行き状況を視覚的に把握できます」と日本ユニシス サービスイノベーション事業部 竹間 薫氏は説明する。

 つながるファーマーズの開発のきっかけは、金融システムの構築や提供などを通して関わりのあったJA(農業協同組合)からの要望だ。「直売所を活性化したい」という相談があり、開発をスタートしたと竹間氏は話す。冒頭に述べたような生産者側、直売所側の商品管理の課題によって、販売機会の損失にもつながっていたのだという。「生産者側が陳列棚の商品の売れ行きを把握できれば、需要に併せて農産物を直売所に出荷できます。それにより、品ぞろえが充実すれば、来店者も増え、売り上げが向上することをJAの担当者は見込んでいました」と同社 AgriBizプロジェクト 系統システム一部 高倉 隆氏は話す。

 昨今、農業は所得の減少や作業者の高齢化、若者の農業離れによる担い手不足が問題視されている。つながるファーマーズは生産者の負担を減らし、農業の活性化や支援する役割も担っているのだ。

人物除去加工でプライバシー保護

 つながるファーマーズは、ネットワークカメラ、画像処理用の小型PC、日本ユニシスが提供するクラウド環境で構成される。ネットワークカメラと小型PCは直売所に設置する。撮影した画像は画像処理用の小型PCで人物除去の加工を行い、クラウドにアップロードする。アップロードされた画像はスマートフォン専用アプリ「つながるファーマーズ」から閲覧できるという仕組みだ。ネットワークカメラはLANケーブルを通してPoE対応スイッチにつなげるため、電源供給のための工事を行う必要がなく導入しやすいという。ネットワークカメラは録画装置と接続すれば防犯カメラとして兼用することも可能だ。

 つながるファーマーズの特長の一つが、プライバシー保護を考慮し、配信される画像に映り込んだ来店者を除去する加工を施していることだ。人物を特定できる状態で画像を配信することは、個人情報保護の問題だけではなく、直売所への直接のクレームや信頼問題にもつながる。「人物を除去する加工により、万が一データが流出しても、情報漏えいのリスクを防げます」(高倉氏)

 スマートフォンアプリは、Android/iOSに対応している。生産者はあらかじめIDを登録してログインすることで、朝/昼/夕方の売り場の状況や、前日、前月、前年といった過去のデータも確認できる。過去のデータをさかのぼることにより、売り上げ状況から収穫量の見極めや分析などに役立てられるメリットがあるのだ。「畑で作業をしながらでもスマートフォンで気軽に売り場の状況を把握でき、翌日の出荷量の参考にもなるため、役立っているとの声を生産者からもいただいています」(竹間氏)

 スマートフォンアプリは消費者も利用可能だ。生産者向けとは異なり、見られる情報は現在の売り場の状況のみだが、その場に居なくても、目当ての品物が販売されているかを把握できるため便利だ。万が一、目当ての品物が売り切れていた場合でも、ほかの品物を見ることで、「目当ての品物はないが、旬の野菜が入荷しているので、購入したい」といった購買意欲につながっていくという。

生産者の所得向上に貢献

 日本ユニシスがつながるファーマーズの実証実験を開始したのが2017年11月だ。生産者の農産物直売所への出荷作業の効率化や所得向上のため、長野県の松本ハイランド農業協同組合と共同で行われた。実証実験により、つながるファーマーズを設置していない店舗と比べて売り上げが10%以上アップしたことや客単価が向上したこと、直売所への出荷量が増えたことで午後の品ぞろえが充実し、来店者も増加したことなど、導入効果を実感したという。

 実証実験を経て、2019年8月から滋賀県守山市のおうみ富士農業協同組合の直売所「ファーマーズ・マーケットおうみんち守山本店」でつながるファーマーズのサービス提供が開始された。これから徐々に導入店舗を拡充していく予定だという。「所得の伸び悩みや高齢化などの問題もあり、農業を廃業する生産者もいます。こうした生産者の問題を解決するための支援をこれからも続けていきたい」と高倉氏は話す。

 今後の展望について竹間氏は「ネットワークカメラを人流解析などのマーケティングに生かす方法を検討しています。人の流れや、利用者の性別、年齢層などを分析することでより効果的な販促提案をしていきたい」と語った。

「つながるファーマーズ」アプリの画面。売り場の状況が随時確認できる。

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