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日本MS、Dsol担当者に聞くWindows Server 2008/R2 EOSの駆け込み対策

日本MS、Dsol担当者に聞くWindows Server 2008/R2 EOSの駆け込み対策

2019年12月18日更新

2020年1月14日のWindows Server 2008/R2 EOSが間近に迫っている。EOS時点で残存するWindows Server 2008/R2の台数は10万台とも予測されている中、これから着手するというユーザーも少なくないはずだ。そこで本企画では、オンプレとクラウドの二つの側面から駆け込みリプレース提案のポイントを紹介する。

オンプレとクラウド移行の選択肢

日本マイクロソフト

間近に迫ったWindows Server 2008 EOSは、システム刷新を提案する絶好の契機だ。これから求められる基盤としてのHCI活用とクラウド化という二つの視点から、日本マイクロソフト パートナー事業本部の高添 修氏に解説していただこう。

 今年6月時点のMM総研の調査によると、2019年7月時点でのWindows Server 2008/R2の稼働台数は約32万2,000台と予測された。同調査では、2020年1月時点では約10万3,000台が残るだろうと見込んでいる。これらの数字について高添氏は次のような見解を明かす。

「2018年1月時点でのMM総研の調査では、2019年7月時点でWindows Server 2008/R2の稼働台数は約41万台、2020年1月時点では約32万5,000台が残ると予測されていました。その時点での調査と今年6月時点の調査を比較すると、移行の進捗はかなりペースがあがったことが分かります。ただし、2020年1月のEOS時点でも約10万台が残ると見込まれており、その10万台に対してどのように移行を促していくかが、現在の課題です」

 まだ移行計画が立てられていないWindows Server 2008/R2の保有ユーザーに対して、どのような提案を行っていくべきか。まずは、オンプレかクラウドかの選択肢が最初に挙げられるだろう。ITの潮流としてはクラウド化が進んでいるように感じられるが、「SaaSなどのアプリケーションレイヤーのクラウド化は進行していますが、運用などを変更する必要がない業務システムそのものはオンプレのままでも良いと認識しているユーザーは多いですね」と高添氏は実情を話す。実際、Windows Server 2008/R2 EOSのビジネスでは、8割程度のユーザーはオンプレを選択するつもりだという。EOSと直結したサーバー提案の機会が、まだまだあるのだ。

 ただし、オンプレだからといって従来と同じシステム提案では、ユーザーはこれからのビジネスのスピードについていけなくなると高添氏は警鐘を鳴らす。そこで提案したいのが、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)だ。「EOSは、従来のシステム基盤を新しくする絶好のチャンスです。設計・構築・運用が複雑な仮想化基盤にも見直すべきところは多くあります。HCIの導入によって、仮想化基盤の徹底的なコスト削減と不要な運用の排除を目指すべきでしょう」(高添氏)

オンプレならAzure Stack HCI

 2016年に多くのベンダーから製品が出そろったHCIは、当時からの市場成長率を引き続き維持する注目のソリューションだ。IDC Japanによると、2018年のHCI市場の支出額は前年比成長率93.9%の305億2,000万円となり、2023年には700億7,800万円にまで成長すると予測している。2018年~2023年の年間平均成長率は18.1%。

 ニュータニックスやVMwareなどが提供するHCIの基盤ソフトと、それらのHCI基盤ソフトを稼働させるサーバーが主要サーバーベンダーから用意されており、選択肢もさらに豊富になった。

 この注目市場に対し、マイクロソフトはWindows Server 2016からHCIの機能を標準で搭載させ、Windows Server 2019(Datacenter Editionに標準搭載)では機能がさらに強化された。そして現在、検証・認定済みのWindows Server のHCIソリューションは「Azure Stack HCI」と呼ばれている。
「HCIは従来の仮想化基盤を置き換える最新ソリューションとして加速度的に市場が拡大しています。ただし、仮想化基盤のライセンスに加えてHCI用ソフトウェアのライセンスも必要となり、HCIシステムは高いという認識を持たれているお客さまも少なくありません。そうした中で、Azure Stack HCIは、Windows Server Datacenterに搭載されたHCI機能を活用するので、仮想化も、そしてHCI基盤ソフトを別途用意する必要もなく、ハードウェアスペックが許す限りWindows Server仮想マシンも追加のライセンスコストなしで利用できるという大きなメリットがあるのです」(高添氏)

 Windows Serverの機能を利用してHCIを構築するAzure Stack HCIのメリットは、コスト面だけではないと高添氏は加える。「Azure Stack HCIは、OSそのものにHCIの機能が搭載され、高速なネットワークに対応しています。そのため、仮想マシンベースのHCIで発生しがちなボトルネックを回避できるのです。例えば、Intel Optane DCなどの不揮発性メモリーを使った構成で1,380万IOPSを実現していたりもします。また、2ノードでのHCIの構成が可能な点も魅力です。通常のクラスタはwitnessサーバーを含めて3ノードで組むことになりますが、Azure(Cloud witness)やルーターのUSBファイル共有機能を利用したwitness機能により、完全な2ノードでのHCIを実現できます」

 さらにAzure Stack HCIは、マイクロソフトのクラウドサービスであるAzureとの連携も容易だ。「無償で提供されるWindows Admin Centerというツールは、ブラウザーベースで既存のWindows Serverの管理ツールを置き換えつつ、Azure Stack HCIの管理も可能になっています。そして、Azure連携機能によってAzure Stack HCI上の仮想マシンの災害対策や仮想マシン上のデータのバックアップ、監視や更新管理なども容易に行えます」(高添氏)

EOSは、従来のシステム基盤を新しくする絶好のチャンスです――。
日本マイクロソフト 高添 修氏

Azure移行で2008/R2を延命

 まだWindows Server 2019(もしくは2016)への移行の準備ができていないが、デジタルトランスフォーメーション(DX)といった市場の流れの中で、システム基盤に対して新たなアプローチを試みたいという顧客に対しては、Windows Server 2008/R2のシステムをAzureに移行させる提案も選択肢の一つになる。現在、マイクロソフトでは、Windows Server 2008/R2に対して、Azureに移行した際には3年間の無料の延長セキュリティ更新サービスを提供するプログラムを用意しているのだ。Azureに移行することで、不要な出費を抑えつつ、3年の間にWindows Server 2008/R2の移行準備を進められるというわけだ。

「現在は、リフト&シフトという概念のもと、まずはシステム基盤をクラウドに上げて(リフト)、徐々にクラウドネイティブのシステムにシフト(移行)していく手法が採用されるケースが増えてきました。当社が用意するAzure移行でのWindows Server 2008/R2の3年間の無料延長セキュリティ更新サービス提供をうまく活用していただければ、リフト&シフトにも価値を見出すことができるはずです」(高添氏)

 システム基盤をクラウド化するメリットは、コストにも現れる。「仮想化基盤やネットワーク、消費電力などを含むTCOの観点から見れば、条件次第でオンプレでのシステム基盤の保有と比較し大幅なコスト削減効果が見込めます。また、クラウドで提供されるコンピュート性能や利用できるサービスなどは常に進化していきます。同じコストでも、クラウドならば最新のITへと切り替えながら使えるため、オンプレミスへの投資とは違う価値があります」(高添氏)

 他のクラウドサービスと比べた際のAzureの価値も高まっている。「ネットワークやセキュリティ、ハイブリッドへの投資は他社サービスにも負けません。実際、セキュリティ要件などに厳しい金融機関でのAzure採用も進み、北米での超大型案件受注などがその証と言えるでしょう。クラウドビジネス初期から実現している国内における東西リージョンの存在や、組織的な支援体制、Windowsをベースとした既存環境との親和性など、ビジネス基盤として非常に高い信頼性を備えていることが正しく理解されるようになってきました」(高添氏)

移行をサポートする無償ツールを用意

 それでは、オンプレで稼働させていたWindows Server 2008/R2をAzureに移行させる場合は、どのような作業が必要になるのだろうか。高添氏は次のように解説する。「まずは、現状のシステムのアセスメントをしなければなりません。その上でオンプレからAzure上にシステムを移行させることになりますが、マイクロソフトでは移行をサポートする無償ツールとして、『Microsoft Assessment and Planning Toolkit』や『Azure Migrate』を用意しています」

 Microsoft Assessment and Planning Toolkitは、現状のシステムの構成から利用率、そしてAzureへの移行時に必要なリソースなどを試算し、Azure上で必要な仮想マシンの数などを割り出してくれる。ユーザーは、Microsoft Assessment and Planning Toolkitで試算された数値などをもとに、実際の移行内容を検討できる。

 Azureへの具体的な移行作業までもサポートするのがAzure Migrateだ。オンプレのアプリケーションやインフラ、データ全てを検出・評価し、サードパーティのツールなども利用した移行までの一連の流れを一元管理できる。「Azure Migrateには、Azureの利用を想定したコスト試算ツールも用意されています。このツールを使うことで、あらかじめコストの概算も把握も可能になります。また、Azureにシステムをレプリケーションして、稼働するかどうかの確認もできます」(高添氏)

 移行作業をサポートするこれらの無償のツールがマイクロソフトから提供されているが、実際の作業時には専門的な知識や作業はもちろん必要になる。そこで、Azure移行提案において、販売パートナーが抑えるべきポイントについては、次ページで解説しよう。

3年間の無料延長セキュリティ更新サービスの提供をうまく活用していただければ、リフト&シフトにも価値を見出すことができるはずです――。


ハイブリッドに適したネットワーク環境を

ディーアイエスソリューション

Windows Server 2008/R2の3年間無料延長セキュリティ更新サービスの利用で、オンプレからクラウド環境へのシステム移行を提案する際に注意すべきポイントは何か。ディーアイエスソリューション 営業推進部 営業推進課 エキスパートの安井智志氏に解説していただいた。

「クラウドへの移行においては、オンプレとクラウドのハイブリッド環境をどのように構成するのかをまずは考慮する必要があります」――。こう切り出す安井氏は、オンプレとクラウドサービスであるAzureの活用について次のように話す。「例えばAzureとの接続環境が整っている当社のデータセンターを活用して、オンプレのシステムは当社データセンターで稼働させつつ、クラウドに適したシステムをAzureに移行させるような提案も可能です」

 Azureへのシステム移行を踏まえたハイブリッド環境の構築は、ネットワークの側面でも配慮する必要があると安井氏は指摘する。「クラウドサービスの利用が増えると、社内を経由したインターネットアクセスにより、ネットワーク帯域の圧迫や機器への負荷が高まります。それらの影響は社内システム全体のパフォーマンスの低下につながります」(安井氏)

 そこで、特定のネットワークや回線負荷を軽減させるためにAzureに直接アクセスさせるような提案も可能だという。

 「Azureが提供する『Application Gateway』に含まれるWAF(Web Application Firewall)の機能によって公開サーバーのセキュリティを高めたり、『Azure Active Directory』を社内Webシステムの認証基盤とすることで、社外からAzureに直接アクセスさせるような環境も構築できます。そうすれば、特定のネットワークや回線、機器への負荷が軽減できます。Azureへのシステム移行を提案する場合には、このような視点でのネットワークの最適化も不可欠です。当社では『Microsoft Azure導入サービス』で、ネットワーク設計もサポートしています」(安井氏)

PaaS環境へと段階的にシフト

 実際の移行時の作業では、Azure Migrateが活用できるという。

 「オンプレの仮想化基盤上にある仮想マシンの情報を一元的に収集してAzureに移行させられます。Azure Migrateには、既存環境の評価とサイジングを行う機能のほかに、Azureへのレプリケーションと切替えを行う『Azure Site Recovery』の機能も統合されており、テストから移行までの作業が大幅に軽減されます。ただし、上述のネットワークの設計や移行後のアドレスやホスト名などの細かい変更などさまざまな作業が必要となるため、実際にはSIerのサポートが求められるでしょう。当社でももちろんご支援させていただきます」

 Windows Server 2008/R2の無料延長セキュリティ更新サービスを利用したシステム移行について、安井氏は次のように促す。「PaaSにすれば、OSやミドルウェアの運用管理からも解放されるので、クラウド移行の利点がさらに得られます。段階的にPaaSを活用したシステム提案につなげていくといいでしょう」

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