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XYZプリンティングと武藤工業の製品からみる3Dプリンター最前線

XYZプリンティングと武藤工業の製品からみる3Dプリンター最前線

2019年11月14日更新

精度の高い産業用3Dプリンターを手軽に

大手企業のEMS/ODM製造を担うKinpoグループの3Dプリンティング事業を担当するXYZプリンティング。高い技術力が裏打ちする高品質の3Dプリンターながらコストパフォーマンスが高い点が特長的だ。


 ダヴィンチシリーズを主力としたコンシューマー向け3Dプリンター事業を展開していることで知られるXYZプリンティングジャパン。2019年4月より産業用3Dプリンター製品も展開しており、日本国内におけるさらなる認知と市場拡大を図っている。

 特長的なのが導入コストの低さだ。オールインワンの多機能FFF(FDM)方式3Dプリンター「PartPro200 xTCS」はフルカラースキャン、フルカラープリントに対応していながら78万円(税別)で導入できる。大きさもデスクに設置しやすいサイズで、デザインやイメージ確認用途にオフィスでも活用可能だ。チャンバー内温度コントロール機能を搭載したFFF(FDM)方式3Dプリンター「PartPro300 xT」は、造形過程で変形が起こる原因であった温度変化を防止しながら98万円(税別)の価格帯に抑えている。XYZプリンティングジャパンの宇野 博氏は「従来、このような性能の3Dプリンターを導入する場合、1,000万円程度の予算が必要となりました。しかし当社のラインアップでは100万円を切る価格帯で導入できるのです」と語る。

 光造形3Dプリンターも展開している。高精度DLPプリンター「PartPro100 xP」は49万8,000円(税別)と50万円以下の価格帯だ。高精細なプラスチックパーツの作成が可能で、特に宝飾品のロストワックス(ロウを利用した鋳造方法の一種)のマスターモデルを造形したり、宝飾品の試作などに活用されているという。また、近日リリース予定の大型・高精細SLAプリンター「PartPro150 xP」はPartPro100 xPよりも造形サイズが大きく、例えば歯科など医療関係での活用も想定されている。

 宇野氏は「3Dプリンターは非常に便利な製品で可能性がありますが、導入コストや品質の壁があり導入が進んでいませんでした。価格帯を抑えた当社の産業向け3Dプリンターの提案や運用サービスを含んだ提案によって、今後は3Dプリンターの裾野が広がるでしょう。例えば商品を企画して、製造はアウトソーシングするベンチャー企業などでも十分活用できるでしょう」と語る。

 XYZプリンティングジャパンの産業用3Dプリンターの販売代理店であるイグアスの吉澤岳明氏は「これまでは、製造部門には3Dプリンターが導入されていたけれど、デザイン部門には導入されておらず使えない企業もありました。そうした部門単位の導入に、XYZプリンティングジャパンの3Dプリンターは最適です」と語った。

(左)イグアス ビジネス開発事業部 3Dシステム営業部 部長 吉澤岳明氏
(右)XYZプリンティングジャパン セールス&マーケティング シニアディレクター 宇野 博氏

11月発売予定の光造形方式「PartPro150 xP」。
「PartPro350 xBC」はフルカラー3Dプリントに対応するハイエンド機。
光造形方式「PartPro100 xP」は宝飾品の試作にも活用される。

マスカスタマイゼーションを実現

日本初の設計製図機器「ドラフター」からスタートした武藤工業。現在では業務用インクジェットプリンター事業を中心に、設計・計測機器、3Dプリンター事業も手がけている。

 武藤工業で取り扱う3Dプリンターはハイエンドからローエンドまで幅広い。ハイエンド帯の製品ではプロトタイプから最終製品まで製造可能な日本HP製の「HP Jet Fusion 4200」や、フルカラーパーツを短時間で出力できる「HP Jet Fusion 550/540」などをラインアップしている。

 武藤工業の竹内利一氏は次のように語る。「HP Jet Fusion 4200で出力したパーツは、当社製品の部材や補給品、治具にも採用されています。3Dプリンターで部品を製造することで、製造コストを抑えつつ、部材に問題があった場合はその場で供給できます」

 3Dプリンターの新しい流れが起こっているのは特にハイエンド製品であると指摘しつつ、同社の大場紀彦氏は「義肢装具への活用のような、個人にカスタマイズされたプロトタイプ製品や最終プロダクトを出力する流れが加速しています」と語る。例えば眼鏡のフレームや靴のインソール、生産ラインで働く従業員向けのグローブなどだ。

 このような個人で異なる顔や足、手の形に最適化された「マスカスタマイゼーション」による製造手法が、3Dプリンターの高精度化に伴い主流になっていく。

 また、このマスカスタマイゼーションの流れはローエンド3Dプリンターの一部にも始まっている。武藤工業では自社製造の国産デスクトップ型3Dプリンターも販売しており、デュアルヘッド型のFDM式3Dプリンター「Value3D MagiX MF-2500EPⅡ」および「Value3D MagiX MF-2200D」や、シングルヘッド型FDM式3Dプリンター「Value3D MagiX MF-800」などを展開している。これらMFシリーズのデスクトップ3Dプリンターで利用できる新たなフィラメント(データ出力に用いる材料)が、ユニチカが開発した感温性フィラメント「TRF」だ。特に病院や介護現場での活用が想定されており、医療介護現場で必要だった定型サイズの機材を、高さや角度、サイズを含め簡易的に変形できる器具を出力できる。温度で成型後の形を変えられるため、患者の体に合わせてドライヤー等で変形させたカスタムデザインの自助具などの作成にも活用できる。

 国産3Dプリンターメーカーとして強固な信頼性を勝ち取っている武藤工業。不具合のクレームはほとんどないと話す大場氏は「3Dプリンターで困ったら武藤に相談、というポジションを確立したいですね」と語った。

(左)武藤工業 国内営業本部 大型3DP営業部 部長 竹内利一氏
(右)武藤工業 3DP事業部 事業部長 大場紀彦氏

デスクトップ3Dプリンターで出力したモデル。最初の写真2台がデュアルヘッド型MFシリーズだ。
「HP Jet Fusion 4200」で出力したモデル。ドローンパーツや靴のインソールなどがある。
競合製品と比較して最大10倍のスピードでパーツを製造するHP Jet Fusion 4200。

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