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エコシステムの拡大を図るサイボウズの「kintone」

エコシステムの拡大を図るサイボウズの「kintone」

2019年11月08日更新

Customizable Application
自作カスタムアプリが
ストックビジネスを加速する

ITシステムへの業務部門の関わりが深まる中、現場のニーズに即してアプリケーションを手軽にカスタマイズできるカスタムアプリサービスの売上が伸びているようだ。それらのサービスは販売パートナーにとっては、サブスクリプション販売やSI案件の拡大にも寄与する。プラグインの開発や関連サービスの増加など、エコシステムの広がりもみせるカスタムアプリサービスの最新動向を追った。

業務のデジタル化やクラウド化といったキーワードが叫ばれて久しい中、クラウドサービスとしての提供が基本となるカスタムアプリサービスの導入は、古い業務システムからの脱却の良い契機になる。例えば、従来Excelなどで管理していたさまざまな業務をカスタムアプリで実現すれば、情報の閲覧・編集・共有が場所や時間を問わずいつでも行えるようになる。実際、既存の業務の大半をカスタムアプリサービスを使ってクラウド化したことで、会社に戻らずにいつでも仕事ができる状況を構築でき、残業時間の大幅な削減を実現した例もある。クラウドサービスで小さく始められるカスタムアプリサービスは、導入がしやすく効果は大きい。販売パートナー自らも試してみて、カスタムアプリ作成の成功体験を得られれば、販売パートナーがアプリをカスタムするサービス提供にもつなげられる。顧客への提案をより加速させられるはずだ。

kintone

サイボウズ

エコシステムが戦略の柱

2011年から「kintone」の提供でカスタムアプリ市場をけん引してきたサイボウズ。現在の販売戦略の柱は、エコシステムの拡大だ。

働き方改革で注目度がさらにアップ

「ユーザー自身がアプリをカスタマイズできるkintoneは、業務を本気で変革しようとしているお客さまから大きな支持を得ています」

 このように話すサイボウズ 執行役員 ビジネスマーケティング本部長の林田 保氏は、ここ1年の働き方改革関連の流れにおいても、kintoneへの注目度がさらに高まっていると加える。

「労働力の減少に合わせて取り組みが本格化している働き方改革においては、現状のメンバーでどのように仕事を変えていけるかが、大きな課題になります。その際、仕事を行うチーム全体で改善していくべきだという認識が強くなっており、そうした認識の向上と比例して、kintoneの市場も拡大しているのです」

 市場環境そのものもkintoneのようなカスタムアプリサービスの導入を後押しする状況になってきているようだ。それでは改めて、kintoneがどのようなサービスなのか、簡単に振り返ってみよう。kintoneは、サイボウズが提供するクラウドサービス「cybozu.com」の中の一つのサービスだ。cybozu.comでは、グループウェアの「サイボウズ Office」や「サイボウズ Garoon」、メール共有ツール「メールワイズ」などがラインアップされており、それぞれライセンスを購入することで利用できる。

 その中でkintoneは、データベース型のアプリサービスとなり、データベース機能とコミュニケーション機能を備えたさまざまなアプリを作成して利用できるようにする。すでに国内導入数は1万3,000社を超えた。

 作成できるアプリは、案件管理や顧客管理、交通費精算、セミナー管理など幅広く、従来、Excelで管理していた業務をkintoneでアプリ化すると、クラウドサービス上での一元管理やリアルタイムの情報共有など、Excelにはないメリットが多く得られるようになる。kintoneは、利用していたExcelのファイルを読み込むことで手軽にアプリ化が可能な点も魅力だ。サンプルとして用意されたアプリを選択して使うこともできる。

 アプリはクラウドサービス上に構築されるため、Webブラウザーから利用する仕組みになる。インターネットに接続できる環境であれば、いつでもどこでもアプリを使って業務が行える。

同一画面でコミュニケーションも可能

 働き方改革の流れを受けて、現在、多くの企業が業務の改善に取り組んでいる。その際、チームでの仕事の効率化をサポートするのがkintoneだ。「作成したアプリはチームで共有して利用できるだけでなく、アプリ上でコメントのやりとりも可能です。例えば、案件管理や問い合わせ管理などの状況について、チームで情報を共有しながら会話のようなやりとりも同じ画面で行えるのです。チームで進める仕事の効率が上がると好評です」と、サイボウズ 営業本部 パートナー第2営業部 部長の清田和敏氏はアピールする。

 チームの仕事の効率化を実現するkintoneは、最初は部門単位で導入されるパターンが多い。以下は、kintoneで得られる成果の例だ。

■営業・セールスチーム
脱属人化で生産性が2倍に
活発なコミュニケーションでムダな会議がゼロに
案件の見える化で機会損失を低減

■総務・人事
脱Excelの採用業務で月30時間削減
アナログな書類管理からの脱却
採用媒体の効果分析で年200万円のコストダウン

■顧客・サポート
サービスの質と顧客満足度が向上
コールセンターで約5.2人月の業務削減効果
迷子発見から案内までのタイムロスを削減

■情報システム
システムリプレースのコミュニケーションコストが1/3に
ナレッジの一元管理でガバナンスを強化
情シス部門から事業部全体への業務改善の展開を実現
※kintone公式ページより(https://kintone.cybozu.co.jp/

■kintoneのポータル画面。

kintoneでアプリを作る

ライセンス販売とSI案件のバランスがいい

 販売パートナーはどのようにkintoneを提案していけばいいのか。林田氏は、「ライセンスだけの販売とアプリを構築するSIまでと、両方のビジネスがバランス良く展開されています。コンサルタント事業者がkintoneを利用した業務改善の提案をしたり、地方銀行が顧客企業に対してkintoneの活用を促したりするケースもあるようです。さまざまなプレイヤーがkintoneを利用したビジネスを創出しています」

 kintoneは導入企業が自社でアプリをカスタマイズできるサービスだ。販売パートナーとしては、手離れの観点からもライセンスの販売だけをメインにすることも可能だ。 実際に販売パートナー自らもkintoneを使ったアプリを作成してみると、より訴求力の高い提案が可能になるだろう。

 ライセンス販売やSIのビジネスも含めて、サイボウズではkintoneを活用したビジネスをさらに加速させるため、販売パートナーやプラグインメーカーなどで構成されるエコシステムの拡大を推進している。「kintoneでは、機能を補完するツールがプラグインとして提供されています。そのプラグインを開発する企業と販売パートナーのマッチングを後押しして、kintoneのビジネスをさらに推進しやすくしているのです」(清田氏)

 プラグインはすでに100種類以上が提供されており、kintoneのWebサイトからも検索できる。例えば、kintoneにカレンダーを追加したり、ユーザーインターフェースの使い勝手を良くしたりするものや、kintoneのデータを使った帳票のレイアウトを作成できるようにするものなど、さまざまなプラグインが用意されている。「Office 365やG Suiteといった外部サービスとのAPI連携も実現しています。kintoneのエコシステムの活用によって、ユーザー企業の要望に幅広く応えられる提案が可能になるのです」(林田氏)

 働き方改革など企業環境の変化もあり、kintoneのビジネスは非常に好調のようだ。「お客さまのkintoneへの期待の高まりに伴い、SIベンダーへのカスタマイズ対応のニーズも増加傾向にあります。プラグインなども開発すればするほど、ユーザーから要望が出てきています」と清田氏は明かす。

 拡大するkintoneへのニーズやユーザーの期待に応えていくためにも、販売パートナー、プラグイン開発ベンダー、コンサルタントなどを含むエコシステムの強化が重要になるとサイボウズは考えている。

「これからは、エコシステムをkintoneの販売戦略の柱として、事業を推進していきます」と林田氏と清田氏は展望を語る。

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