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エッジとクラウドをつなぐ「EDWプラットフォーム」

エッジとクラウドをつなぐ「EDWプラットフォーム」

2019年08月30日更新

エッジとクラウドをつなげるプラットフォームが
企業の課題に即したクラウド提案を実現する

ハードウェア(エッジデバイス)とクラウドをつなげることで、効率化できる業務は数多い。しかし、それを実現するためにはプログラミングに対する知識が必要であったり、APIが公開されているツールでないと接続できなかったりと課題も多い。しかし、リコージャパンが提供をスタートした「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACESプラットフォーム」を活用すれば、前述の課題は解消できそうだ。その概要と取り組みの背景を同社に聞いた。

Lesson1 複合機とクラウドの組み合わせが生産性を高める

 複合機はスマートデバイスである――。そう新しい定義を掲げてリコージャパンが発売した新世代複合機が「RICOH IM Cシリーズ」だ。RICOH IM Cシリーズは、クラウドプラットフォーム「RICOH Smart Integration」を介して提供する各種クラウドサービスを組み合わせることで、業務プロセスをデジタル化し、中小企業の生産性革新を実現する。これらの複合機とクラウドサービスの組み合わせによるソリューションを「RICOH Intelligent WorkCore」として1月23日から提供している。

 提供の背景について、リコージャパンの川島 圭氏は「オフィスワークはデジタル化が進んでいますが、企業間をまたぐ業務はいまだアナログデータ、つまり紙が使われています。具体的には受発注業務や請求書の発行・受取業務などは発注書や請求書などの紙ドキュメントでやりとりしているでしょう。ペーパーレス化が進んでいるとは言われていますが、80万事業所の複合機を対象に調査した2007年と2018年の入出力数では、101.3%とわずかながら伸びています。依然として紙ドキュメントのビジネスに占める割合は大きく、そこを効率化すれば大きな生産性革新が生まれると考えました」と語る。

Lesson2 業務プロセスをデジタル化するソリューション

 そこで提供をスタートしたのがRICOH Intelligent WorkCoreだ。RICOH Intelligent WorkCoreは、AIを活用したOCR機能などをRICOH Smart Integrationアプリケーションとして提供する。それによって、複合機が紙ドキュメントの情報をデジタルデータ化するためのゲートウェイとなる。具体的には、会計・販売サービス、ストレージサービス、顧客管理CRM、製造・生産管理サービスなどのパートナーシステムと複合機をアプリケーションがつなぐことで、紙ドキュメントとクラウドサービスがシームレスに連携した効率的なワークフローを実現できるようになる。紙ドキュメントによる業務プロセスのデジタル化で、中小企業のみならず、大企業も含めたオフィス業務の生産性の向上を図る。

 リコージャパンの岡田 泰氏は「当社は現在、『EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES』(エンパワーリングデジタルワークプレーシーズ)をビジョンとして掲げています。端的に言えば、当社のソリューションによって働く場所と社会の変革を進めていくものです。そのためには、紙ドキュメントによる業務プロセスのデジタル化のような、時間と場所の制約を生む環境を変革していく必要があります」と語る。

 その取り組みの一つとして、同社では中小企業の業種別に業務全体のフローを捉えた製品・サービス・サポートを組み合わせたソリューション「スクラムパッケージ」を2017年10月から提供している。すでに7業種3業務で104パックが提案可能になっており、中小企業の業務課題や業務フローに対する提案ノウハウが蓄積されていた。またスクラムパッケージの販売パートナーも485社存在し、RICOH Intelligent WorkCoreについても同様にパートナーとの協業を強化し、業種・業務ごとの提案を進めていくことが求められていた。

Lesson3 エッジとクラウドをつなぐAPIとSDKを提供

 そこで6月18日に同社がスタートさせた新たなパートナープログラムが「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES パートナープログラム」(EDWパートナープログラム)だ。同日、新たに「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACESパートナー会」(EDWパートナー会)も発足させ、ICT機器メーカーやアプリケーションベンダーなどのビジネスパートナーとの連携を強化していく。

 本パートナープログラムでは、同社が提供するBtoB向けのオープンなプラットフォーム「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACESプラットフォーム」(EDWプラットフォーム)上で、RICOH IM Cシリーズや、電子黒板「RICOH Interactive Whiteboard」、全天球カメラ「RICOH THETA」などのリコー製デバイスや、プログラムに参加するパートナー企業の各種デバイス、さらにリコーおよびパートナーが提供するさまざまなアプリケーションを連携させるためのAPIやSDKを公開する。これにより、リコーがパートナーと連携して、ユーザーの業種業務に合わせた課題解決を実現するソリューションをスピーディに開発・提供できるようになる。

 川島氏は「ポイントとして、当社以外のエッジデバイスも利用できることがあります。パートナープログラムを発表した会見ではPFUのドキュメントスキャナーと、BoxのクラウドストレージをEDWプラットフォームで連携させ、スキャンデータをBoxのストレージに保存する活用例を紹介しました。エッジとクラウドを接続するアプリケーションは、高度なプログラミング技術がなくても簡単に作れるよう、コンポーネントと開発キットが用意されており、エッジデバイスとクラウドの連携ソリューションが容易に提案できます」と語る。

Lesson4 わずか4時間でアプリケーション開発

 コンポーネントを活用した開発は非常に簡単で、実行したい作業のアイコンを矢印でつなげていくだけでよい。ビジュアルプログラミング言語のような分かりやすい画面で開発が行えるため、SIerでなくてもエッジとクラウドをつなぐアプリケーション開発が実現できる。

「コンポーネント開発ツールも提供します。実際PFUのスキャナーとBoxのクラウドストレージを接続するアプリケーションは、プラットフォーム上で1からPFUに開発してもらいました。コンポーネントの開発には7人日、アプリケーション開発は約4時間で対応できたそうです」と岡田氏は開発のしやすさを語る。コンポーネントは開発元の企業が許可を出せば、パートナープログラムに参画した企業も利用可能だ。開発したアプリケーションはダウンロードして利用できるようWebサイトが用意されている※。

 EDWのパートナー会への参加は無料、パートナープログラムへの加入は年会費10万円が必要になる。パートナー会では個々あるいは共同開発のための情報交換やパートナー間での情報共有、リコージャパンへの支援相談が可能で、パートナー同士の新たなビジネスチャンスの創出を目指す。パートナープログラムでは、上記サポートに加え、コンポーネント開発用のSDK提供やワークフロー作成ツール、開発検証環境などの提供を実施する。業種や業務に応じたアプリケーション開発を柔軟に実施したい企業は、パートナープログラムへの加入がおすすめだ。プラットフォームを有効に活用することで、ユーザー企業に対するクラウド提案を、さらにきめ細やかなものにできるだろう。
※複合機のみ。それ以外のデバイスは準備中

本日の講師
(左)リコージャパン ICT事業本部 RICOH Intelligent WorkCore事業センター ドキュメントソリューション企画室 室長 岡田 泰 氏
(右)リコージャパン ICT事業本部 RICOH Intelligent WorkCore事業センター ドキュメントソリューション企画室 RSI-DS企画グループ リーダー 川島 圭 氏

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