ホーム > PC-Webzineアーカイブ > EDIX出展の注目製品から見る未来の学び

EDIX出展の注目製品から見る未来の学び

EDIX出展の注目製品から見る未来の学び

2019年08月22日更新

EDIX出展の注目製品から見る未来の学び

ICT環境整備を推進するためのデバイス要件

 EDIXでレノボ・ジャパンが提案していたのが文部科学省の推進方策として示された、1台5万円以内で導入できるPC端末だ。文部科学省では「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」の中間まとめを3月29日に発表している。その中で学校現場のICT環境整備が遅れている背景として「必要な機器の整備コストが高い」点を指摘している。その課題を解消するため「安価な環境整備に向けた具体策の検討・提示」としてICT環境整備のモデル例を挙げる。その中に、1台5万円弱程度で導入できるPC端末の記述がある。

 レノボ・ジャパンのコンバーチブルPC「Lenovo IdeaPad D330」はその基準に則ったデバイスだ。優れたパフォーマンスと携帯性を両立させており、価格帯と性能のバランスに優れた教育端末として紹介されていた。また複数の学習教材へのシングルサインオン機能やストレージ機能などの基本機能を無償提供しているNTTコミュニケーションズの教育クラウドプラットフォーム「まなびポケット」も併せて展示しており、整備コストを抑えつつ新時代の学びを実現する方法を提案していた。

 コストを抑えた教育用コンピューター端末として選択肢に上がるのがChromebookだ。EDIXでもグーグルブースにおいて、同社のChrome OSを採用したChromebookが多数展示されていた。日本エイサー、ASUS JAPAN、デル、レノボ・ジャパンが提供するChromebook、Chromeダブレットが並ぶほか、Google for Educationパートナープログラム・技術パートナー認定資格を取得しているチエルが、1クリックでGoogle Classroomと連携できるクラウド型授業システム「InterCLASS Cloud」を展示していた。

 Chromebookは導入コストが抑えられる点に加え、グループウェア「G Suite for Education」が教育機関に無償提供されているため、運用コストも低い。しかしながら、授業支援ソフトウェアはWindows端末のほうが充実しており、そこが導入の妨げとなるポイントでもあった。チエルのInterCLASS Cloudであれば教員の画面モニタリングや発表支援、操作ロックなど基本機能がそろっており、授業での活用がよりしやすくなるだろう。

中高生向けプログラミング教材の準備を

授業支援システムの中には、一般的な授業支援機能以外に、学校経営に役立つ機能を搭載したツールも登場していた。コードタクトの授業支援システム「schoolTakt」は、生徒同士のやりとりが可視化でき、学級の心理状況を解析可能なツールだ。ICTを活用した授業のメリットとして、生徒同士での意見交換や学び合いの姿勢が活発に行えるアクティブラーニングを実現できる点があるが、schoolTaktによる分析を活用すると、生徒同士の回答や、いいね、コメントを用いたやりとりが可視化される。授業支援にとどまらない機能で教員の学校経営、学級運営をサポートする。

コードタクトの授業支援システム「schoolTakt」は、生徒同士のコメントをもとにマッピングし、学級運営をサポートする機能を搭載する。

 EDIXでは、プログラミングやロボットを活用した最先端の学びを紹介するゾーンとして「学びNEXT」が展開されていた。目を引いたのは、2020年度からプログラミング教育が必修化される小学校をターゲットとしたプログラミング教材のみならず、中学校、高等学校をターゲットとした教材が増加している点だ。中学校は2021年度から、高等学校は2022年度からこれまでよりもプログラミングを深く学ぶ新しい学習指導要領がスタートするため、より発展的なプログラミング教育を実現できるツールを各社提案していた。例えばアシアルのブースでは中高生向けのプログラミング教材としてスマートフォンアプリを簡単に作れる開発ツール「Monaca」を提案していた。農業高校生がIoT温度湿度監視システムを開発した事例を紹介しており、学校段階に応じたツール提供の必要性を感じさせた。

 シャープとDynabookの共同出展ブースでは、アンプラグドツール、ビジュアルプログラミング言語、ロボットプログラミングツールの三種類を紹介し、それぞれ低学年、中学年、高学年と小学校の学年に応じたプログラミング教材提案を行っていた。特に中学年向けのビジュアル言語のプログラミング教材「micro:bit」「MakeCode」の組み合わせは、国内の販売代理店であるスイッチエデュケーションのブースをはじめ、日本マイクロソフト、グーグルなどさまざまな企業で紹介されていた。micro:bitは安価なマイコンボードで、教育現場への展開がしやすいためだ。ビジュアルプログラミング言語のMakeCodeも無償で提供されており、導入コストを抑えてプログラミング教育が実現できる。

STEM教育用に設計されたロボットアーム「DOBOT Magician」。TechShareが国内代理店として販売する。小学校はもちろん、特に大学や高専などの高等教育で活用されている教材だ。

学びに生かせるVR端末とコンテンツ

 先進的な教育ICTツールとして注目を集めていたのは、やはりVRだ。特に学校現場で活用する上では1人がヘッドマウントディスプレイを装着してコンテンツを体験するだけでは不十分となるため、複数名でVR教材を体験できるソリューション提案や、ヘッドマウントディスプレイを装着せずにVRを体験できるICTツールが注目を集めていた。例えば堺ディスプレイプロダクトが開発した、モニターから立体映像を浮き立たせるような空中ディスプレイシステム「AERIAL Magic」(東通産業・ヴォルフビジョンブース)、zSpaceが開発した、眼鏡のようなグラスをかけるだけでVRを体験できるVRディスプレイ「zSpace」(加藤文明社ブース)などだ。教育ICTはデジタルコンテンツを活用した学び合いから、さらに一歩進んだ体験型教育へと踏み出している。

 また、電子ペーパーを採用した端末も複数社出展していた。中でもGVIDO TOKYOが展示していた2画面電子ペーパー端末「GVIDO」はタブレットよりも軽く、見やすい譜面のようなユーザビリティの端末で高い注目度があった。「音楽教育の未来を開こう」をキャッチフレーズに、保育士や教諭の養成機関や音楽大学の授業、中高の部活動などへの活用を提案していた。またPDFデータであれば端末に取り込める特性と、ノートのように手書きしたり消したりできる機能を生かして、音楽以外の科目での活用も提案していた。今後は出版社と連携して多彩な教育コンテンツを提供していくなど、音楽教育にとどまらない活用が期待できそうだ。タブレット、ノートPCに並ぶ新たな教育用デバイスとして、電子ペーパー端末の普及が進んでいくかもしれない。

GVIDO TOKYOの2画面電子ペーパー端末GVIDOは、見開きノートや教科書のように扱えるため教育現場での潜在需要が高そうだ。

キーワードから記事を探す