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働き方改革に効くITを日本テレワーク協会 鈴木達郎氏が解説

働き方改革に効くITを日本テレワーク協会 鈴木達郎氏が解説

2019年07月04日更新

もう言い訳は通らない!
働き方改革関連法を遵守するための
働き方と休み方の改善ソリューション

一億総活躍社会の実現に向けて、いわゆる「働き方改革関連法」が今年の4月から施行されている。違反時の罰則を伴う働き方改革関連法の存在は、企業の働き方改革への着手をさらに促す契機となるだろう。関連法を遵守し、“オン”と“オフ”のメリハリある労働環境を実現するためのポイントと、基本的なソリューションについて解説していく。

働き方改革関連法とIT

00 INTRODUCTION

適正な労働時間で高い成果を上げるためには、従来以上にITの活用が重要になる。

労働時間を把握し働き過ぎを防ぐ

 2019年4月1日から施行が開始された「働き方改革関連法」(正式名称:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)は、労働基準法や労働安全衛生法など、八つの労働法の改正を行うための法律だ。実際の改正のポイントとしては、例えば「労働時間法制の見直し」(労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法の改正)がある。これは、働き過ぎを防ぎ、健康で多彩なワークライフバランスの実現を目指すためのもの。

 労働時間法制の見直し内容はいくつかあるが、最も注目を集めているのは、「時間外労働の上限規制」だろう(中小企業への適用は2020年4月1日から)。今回の法改正によって時間外労働の上限が次のように定められた。「月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要がある」

 従来までは、残業時間の上限が法律上は存在しなかったが、この改正によって、残業時間の上限が決められたことになる。

 もう一つ、労働時間法制の見直しでピックアップされているのは、「年次有給休暇の時季指定」だ。これは、10日以上の年次有給休暇が付与されている労働者に対して、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える義務を企業に課したものだ。従来は労働者自らが申請しなければ有給休暇が取得できなかったが、これからは、使用者が労働者の希望を聞き、時季を指定して5日は有給休暇を取得させる義務が生じるようになった。

 このほか、勤務終了後から翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する「勤務間インターバル」制度の導入促進や、「労働時間の客観的な把握」が義務付けられる。労働時間の客観的な把握では、健康管理の観点から裁量労働制が適用される労働者や管理監督者も含めて、全ての労働者の労働時間の状況を客観的に把握できるようにしなければならない。

 このような働き方改革関連法を遵守し、オンとオフのメリハリあるワークライフバランスを従業員に提供するためには、ITを活用した環境整備が必須だ。

改めて、テレワーク

 残業時間の上限規制や年次有給休暇の取得義務の実現は、仕事が所定の時間内に終了することが前提となる。働き方改革関連法が施行されたからといって、仕事の量が減るわけではなく、従来までの仕事をいかに手際よく短時間で終わらせられるようにできるかが課題になるだろう。ITはそうした課題を解決するためにこそ存在すると言っても過言ではない。

 働き方改革を進める上で一つの鍵となるのはテレワークだ。会社という場所に依存せずに、いつでもどこでも仕事が可能な環境が整備できれば、出社や移動などに費やされてきた多くの時間や労力を削減できるからだ。浮いた時間を仕事に充てられるようなり、これまでよりも短時間で仕事が終わらせられるようになる。多くの会社人を悩ませている通勤ラッシュ時の移動からの解放は、ストレスの低減にもつながる。時間の有効活用だけに限らない効果が得られるのだ。育児や介護時の在宅勤務といった多彩な働き方の実現においても、テレワーク環境は必須となる。

 このテレワークについて、日本テレワーク協会 客員研究員の鈴木達郎氏は、次のように状況を説明する。「総務省の調べによると、2017年時点における企業のテレワーク導入率は13.9%でした。従業員数が1,000人以上の大企業では30%を超えていますが、100人から999人までの中堅・中小企業では10%から20%程度と、まだまだ導入率が低いのが実情です。ただ、裏を返せば大きな伸びしろが存在すると言えるでしょう」

 テレワークには、自宅で仕事をする「在宅勤務」、移動中やカフェなどで仕事をする「モバイルワーク」、勤務先以外の事業所にあるオフィスや遠隔勤務用の施設(サテライトオフィスなど)で仕事をする「サテライトオフィス勤務」が含まれる。「テレワークの導入は、従業員のモチベーションや作業効率の向上による生産性の拡大にもつながります」と鈴木氏は指摘する。

日本テレワーク協会 鈴木達郎氏

管理、セキュリティ、意思疎通

 モバイルPCやタブレットなどのスマートデバイス、そしてモバイル通信サービスや無料Wi-Fiスポットの充実によって、テレワークを実施しやすい環境が整ってきている。とはいえ、手軽にテレワークが導入できるかといえばそうではないだろう。システム面で立ちはだかる課題について鈴木氏は、「管理監督」「セキュリティ」「コミュニケーション」を挙げる。

「テレワークの実施時には、社外での労働状況を適切に把握できる管理体制が必要です。もちろん、カフェなどの社外環境での仕事時に予測し得る情報漏えいなどを防止するための適切なセキュリティも採用しなければなりません。また、テレワークをする従業員とオフィスにいる従業員との間でスムーズな意思疎通を実現するコミュニケーションツールも用意すべきです」

 日本テレワーク協会では、テレワーク環境の構築のために必要なツールを以下の図のようにまとめている。例えば、テレワーク時の管理監督を実現させるツールとしては、勤怠管理、在籍管理、業務管理ツールがある。セキュリティの確保には、テレワークを実現するシステム方式として、リモートデスクトップや仮想デスクトップといった方式が挙げられており、コミュニケーションツールには、メールをはじめ、チャット(ビジネスチャット)やWeb会議ツールなどがある。

 これらの三つのポイントは、そのまま、エンドユーザーへのソリューション提案時のポイントになるだろう。管理ツールなどは、働き方改革関連法で見直された「労働時間の客観的な把握の義務付け」に呼応するソリューションとしても推奨できるはずだ。

「課題は中小企業におけるテレワーク導入の促進です。日本テレワーク協会では、『中堅・中小企業におすすめのテレワーク製品一覧』の提供や、中小企業向けのテレワークスタートアップパッケージの紹介などで、中小企業におけるテレワーク導入も後押ししています」

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