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クラウド利用でAIサービスを短期開発―日立ソリューションズ

クラウド利用でAIサービスを短期開発―日立ソリューションズ

2019年06月26日更新

クラウドプラットフォームのAIサービスで
わずか1カ月で画像解析サービスを開発

AIを活用した業務改善のニーズが増加している。しかし、ユーザー企業のビジネスに適したAIを開発するためには、ビッグデータによる機械学習が必要となり、導入のハードルが高いのが現状だ。そうしたAI導入のハードルを下げてくれるのが、クラウドサービスだ。

Lesson1 コト売りへのビジネスシフトにクラウド利用が有効

 多くの企業で「モノ売り」から「コト売り」へのビジネスシフトが進んでいる。大手システムインテグレーターの日立ソリューションズもその一つだ。また、同社がシステム開発を手がけるユーザー企業もこれらのビジネスシフトに取り組んでおり、販売パートナーはユーザー企業のニーズに合わせたクラウドの提案が求められている。

 例えば製造業だ。多くの製造業においてはアフターサービスを充実させることで収益の獲得を目指している。しかし、少子高齢化による労働人口の減少により、実際に運用保守にかけられる業務負担が減少しつつある。特に従来のアフターサービスは、「不具合が発生してから対処する」ことが一般的だったためだ。

 そうした製造業が抱える課題に対して、日立ソリューションズが提供しているのが「Microsoft Dynamics 365 フィールドサービス」だ。本サービスは、現場で保守業務を行うサービスエンジニアの業務全般を効率化するソリューションだ。サービスの受付からエンジニアの派遣、作業指示や業務報告までの一連のフィールドサポート業務の迅速化と効率化を実現できる。また、Azure IoT Suiteを活用して機器からセンサーデータを取得し、事前の故障検知を行うことも可能だ。

Lesson2 グローバルで活用できるMSプラットフォーム

 日立ソリューションズ 営業統括本部 デジタルイノベーション営業本部 Modernization営業部の中村奈々氏はMicrosoft Dynamics 365 フィールドサービスにおいてマイクロソフトのクラウドプラットフォームを採用した理由を次のように話す。「最大の理由はグローバルで使える点です。製造業はグローバルで拠点を持っているケースが多いですが、マイクロソフトプラットフォームであれば国を選ばず活用できます。またAzure IoT Suiteのように、マイクロソフトプラットフォーム上で多様なサービスがそろっているため、単一プラットフォームでサービス構築が完了する点も魅力です」

 このようなマイクロソフトプラットフォームを活用した「コト売り」にまつわるサービス開発を進めていた日立ソリューションズは、さらにAIやIoTといった先端技術とクラウドを組み合わせ、より身近に活用してもらえるよう取り組みを進めている。その一つとして、ゴディバ ジャパン協力の下実施された実証実験がある。

 実証実験で開発されたのは、AI画像認識による商品情報紹介システムだ。 Microsoft Azure(以下、Azure)のAIサービス「Cognitive Services」の画像認識機能と、Dynamics 365を活用したサービスで、計画策定から機械学習、アプリケーションを含むシステム構築、レポート作成まで約1カ月間で完了した。

Lesson3 10枚程度の画像で機械学習を実現

 AI画像認識による商品情報紹介システムの活用方法は以下の通り。まずチョコレートブランドショップであるゴディバ ジャパンが提供しているチョコレートパッケージを、Dynamics 365のスマートフォン用アプリケーションで撮影すると、AIがその画像情報から商品を認識して、Dynamics 365のデータベース上の商品詳細情報をスマートフォン上に表示する。本システムを活用すれば、過去に発売していた商品のパッケージを店頭に持ってきた顧客がいた場合でも、スマートフォンをかざせばその商品情報を簡単に検索できるのだ。また、商品に含まれる材料などからアレルギーに関わる情報を確認したり、類似商品を薦めたりといった対応が可能になる。

 日立ソリューションズ 産業イノベーション事業部 グローバルERPソリューション第1本部 カスタマーエンゲージメントソリューション部 第2グループ 横田実希氏は「AIを開発する際のハードルとして、開発に時間を要する点や機械学習を実施するためのビッグデータが不足している点があります。しかし今回の実証実験では、1商品につき10枚程度のパッケージ画像で機械学習でき、最小限の開発でCognitive Services と Dynamics 365のスムーズな連携を実現できました」とメリットを語る。実際に利用した店舗スタッフへのヒアリング結果からは、サービス向上に役立てられるという意見もあり、低コスト、短期間のAI開発で、顧客満足度向上を実現できることが分かった。

Lesson4 既存のサービスにプラスアルファの付加価値を

 中村氏は「開発期間の短さはクラウドサービスプラットフォームを利用する大きなメリットです。特にインフラの運用保守が不要なので、開発に挑戦するハードルが低い点もポイントです。またマイクロソフトでは業務で活用できるさまざまなAIサービスを学習済みモデルとしてCognitive Servicesで提供しているため、例えば機器の摩耗具合を認識する画像認識サービスなど、多様なAIを手軽に開発できるでしょう」と語る。昨今では画像認識のほか、翻訳機能の精度も向上しており、店舗における訪日外国人対応にも生かせそうだ。

「AIサービスというのはユーザー企業から大きな注目を集めていますが、実際にAIを活用するとなると具体的な用途が分からないというケースも少なくありません。例えば既存のSFAやフィールドサービスなど、既存のサービスに対して“ちょい足し”する機能としてAIサービスを組み込んでいくといいかもしれません」と横田氏。

 日立ソリューションズではマイクロソフトのクラウドプラットフォームのほかにも、AWSなどさまざまなベンダーのクラウドサービスを取り扱っている。顧客のニーズに応じてクラウドを組み合わせ、これからデジタルトランスフォーメーション時代への対応強化を進めていく。

本日の講師
(左)日立ソリューションズ 産業イノベーション事業部 グローバルERPソリューション第1本部
   カスタマーエンゲージメントソリューション部 第2グループ 横田実希 氏
(右)日立ソリューションズ 営業統括本部 デジタルイノベーション営業本部 Modernization営業部 中村奈々 氏

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