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OKIワークウェルのWWCクラウドで特別支援の学びを深める

OKIワークウェルのWWCクラウドで特別支援の学びを深める

2019年05月24日更新

肢体不自由特別支援学校で開催されたプレゼンカップ
遠隔授業ソリューションで双方向の学びを実現

学校現場でICT活用が進んでいる。特別支援学校もその例外ではない。特に肢体不自由の特別支援学校に通う児童生徒は、ICTを活用することでその活躍の場を大きく広げることが可能だ。今回はOKIワークウェルが提供するテレワーク向けバーチャルオフィスシステム「ワークウェルコミュニケータ クラウド」を活用したプレゼンカップ全国大会の取り組みをもとに、ICTの持つ学びの可能性を解説する。

生涯にわたって学び続ける力を身に付ける

 OKIの特例子会社であるOKIワークウェルは「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき経営されている、障害者の雇用に特別の配慮をした子会社だ。高度なITスキルを持つ重度障害者が、在宅勤務でホームページの作成やイラスト・デザイン制作などの業務を行っており、その在宅勤務の要として運用しているのがワークウェルコミュニケータ(以下、WWC)だ。2019年1月9日よりクラウド版のワークウェルコミュニケータ クラウド(以下、WWCクラウド)の提供を新たにスタートした。WWCクラウドは企業の在宅勤務だけでなく、遠隔でICT教育を行う障害者支援団体などにも提供している。また、OKIワークウェル自身が特別支援学校の学びに対してWWCを提供しており、WWCを遠隔授業ソリューションとして活用した合同遠隔社会見学を実施している。本取り組みによって、子供たちの勤労観や職業観を育成するキャリア教育を進めている。

 そのOKIワークウェルがWWCクラウドで支援したのが、肢体不自由特別支援学校での初のプレゼンカップ全国大会だ。「ミラコン2018~未来を見通すコンテスト~第1回プレゼンカップ全国大会」(以下、ミラコン2018)と題されたプレゼンカップは、全国の肢体不自由特別支援学校に通う生徒の言語能力を向上させるとともに、一人ひとりが生涯にわたって学び続ける力を育成し、社会的自立に向けた健やかな成長を続けること、またICTを活用した全国大会を開くことで社会経験を広げる機運を全国の肢体不自由特別支援学校に醸成することを目的に実施された。

全国大会会場となった志村学園では、iPadで会場の様子をリアルタイムで撮影し、出場した7校に中継した。審査委員の顔を見ながら質疑応答に対応できるため、コミュニケーションもとりやすい。

8校の特別支援学校を双方向につなぐ

 全国大会は東京都立志村学園にて、2月5日に開催された。ミラコン2018の大会テーマは「私の描く未来マップ」。ファイナリストとして選出された7名の高等部生は、自身の経験から得た視点をもとに「自分の描く未来」にとって必要な社会や地域へ提案するプレゼンテーションを行った。その様子は7名の高等部生が所属する学校に、それぞれリアルタイムで中継され、審査員と双方向に意見を交わした。一部音声トラブルなども発生したものの、7校の特別支援学校と志村学園をWWCクラウドでシームレスにつなぎ、インタラクティブな学びを実現していた。

 実際にWWCクラウドを活用して全国大会の様子を中継された出場校側の状況はどうだったのだろうか。東京ブロック代表として生徒が出場した東京都立八王子東特別支援学校の教諭を務める神山賢一氏に話を聞いた。

 神山氏は「非常に面白い取り組みだと感じました。肢体不自由の児童生徒はなかなか本会場に行けませんから、WWCクラウドで学校同士をつなぐことでリアルタイムにやりとりができる点は魅力的です」と語る。半面、課題もあった。

「WWCクラウドがうまく動作しなかったり、映像がスムーズに届かなかったりするトラブルが生じていました。OKIワークウェルに相談したところ、東京都教育委員会のネットワーク回線のセキュリティによって制限がかかり、正常に動作できないのではないかという回答がありました」と神山氏。そのため、全国大会当日はOKIワークウェルが用意した回線を利用して、会場である志村学園と接続した。このような通信トラブルが発生した影響か、当初は志村学園側からも出場校の映像を見られるようにするなど、より双方向のコミュニケーションができるようにする予定だったが、当日は志村学園側の映像を出場校に配信するのみにとどまった。

特別講演として、ミラコン2018を後援するミライロ 代表取締役社長 垣内俊哉氏から、「バリアバリュー~障害を価値に変える~」と題して児童生徒たちにメッセージが贈られた。

映像中継はネットワーク回線に課題あり

 八王子東特別支援学校では全国大会当日、体育館に全校生徒が集まって志村学園の様子や、各学校のプレゼンテーションを見ていたという。映像に遅延が発生したり、音声が途切れたりするといったトラブルが発生していたものの、出場した生徒に対して学部を問わず質問を投げかけるなど、学校内での交流が活発に行えたという。

「本校では普通校の生徒と定期的に交流会を開催しているのですが、そうした交流をWWCクラウドで遠隔の学校とも行えたら面白いと思います。しかしやはり回線が抱える課題は大きく、現在のところ日常的に活用するには至っていません」と神山氏。もし回線の問題が解決した場合の活用について聞くと「校外学習をWWCクラウドで行ったら効果的だと考えています。買い物学習などで校外に出て学ぶ機会もありますが、全ての店舗を見られるわけではありません。また、そうした活用をする際にiPadなどのタブレット端末があると便利だと感じています」と語る。

 同校のICT環境として、デスクトップPCやノートPCなどは整備されているが、iPadなどタブレット端末の数は少ないのだという。「肢体不自由の子供たちでもiPadであれば操作できるという児童生徒は少なくありません。積極的に学ぶ姿勢を見せるツールでもあるので、もっと手軽に使える環境があるといいですね」(神山氏)

 ICTの活用は学びを深めるだけでなく、これまでできなかった学びも実現できる。その効果が特に大きいのが特別支援学校であり、WWCクラウドをはじめとしたICT教育支援ツールの提案機会は今後ますます広がっていくだろう。課題となりやすいネットワーク回線周りの解決策も併せて、学校の学びのニーズに応じた提案を進めていきたい。

審査結果発表では観客賞、熱意賞、表現力賞、説得力賞、独創性賞、奨励賞、優秀賞、最優秀賞がそれぞれの生徒に贈られた。最優秀賞は石川県立いしかわ特別支援学校の生徒が受賞した。

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