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NEC、シスコ、Dell EMCの最新サーバー戦略とは

NEC、シスコ、Dell EMCの最新サーバー戦略とは

2019年05月09日更新

Chapter.2-1: NEC, Cisco, Dell EMC
最新サーバーを組み合わせる
運用管理の効率化やセキュリティ強化がキーワードに

ハイブリッド提案の軸となるのはオンプレミスで活躍するサーバーでもある。最新サーバーとWindows Server 2019の組み合わせやハイブリッドクラウドは、顧客環境をどのように変化させるのか。


“サーバー診断”で安心稼働

NEC

運用管理を省力化

「Windows Server 2019は、OSの起動からリソースの確認、PowerShellの実行など従来バラバラのツールで行っていたものがWindows Admin Centerで統合的に管理できるようになりました。システム運用の効率化の点で非常に魅力的ですね」--。こう語るのは、NEC クラウドプラットフォーム事業部 第二ソリューション基盤統括部の島田寛史氏だ。「当社サーバーであるExpress5800シリーズの一部のモデルについても、CPU、メモリー、電源、バッテリーなどの詳細情報やシステムの状態がWindows Admin Centerで確認できるようになっています。また、Windows Admin Centerによって、ハイブリッドクラウド環境における管理もしやすくなっています」と続ける。

 スリムサイズのタワー型サーバーなどの提供で中小企業からの支持も高いNECでは、労働人口の減少による人手不足で生じる課題をいかに解決できるかが、これからのサーバー提案の鍵になると話す。

「人材の確保が厳しくなる中、限られた人的リソースで情報システムの運用管理を行っていかなければなりません。また、IT投資そのものも、これからはデータの利活用へと重点が移行し、機器の管理に対する投資は減少が見込まれます。そのため、当社では運用管理を省力化できる製品の提供に注力しているのです。Windows Server 2008/R2 EOSのタイミングでの移行先としては、まだまだオンプレミスの選択肢も多いので、オンプレミスでの省力化を実現する製品開発やサービス提供を行っています」(NEC プラットフォームソリューション事業部 實方健人氏)

NEC 實方健人 氏
NEC 島田寛史 氏
「運用管理を省力化できる製品の提供に注力しています」

UPS内蔵サーバーと診断カルテ

 運用管理の省力化を実現するサーバーとしてNECが提案しているのは、1Wayタワーサーバーの「Express5800/T110j-S UPS内蔵モデル」だ。バッテリーモジュールの内蔵でUPS機能を搭載した幅約98mmのスリム型サーバーとなる。「外付型のUPSの利用時とは異なり、管理ソフトのインストールや初期設定作業が不要です。サーバーの電源ケーブルをコンセントに差し込むだけで、瞬電・停電対策が実現します」と實方氏は説明する。

 内蔵バッテリーモジュールには、30℃の環境で5年の寿命をもつニッケル水素電池を採用。外付型のUPSで必要とされた設置スペースを削減でき、サーバー単体として机上や足元に設置可能だ。サーバーに標準で搭載されたマネジメントチップによって、OS環境に依存せずにバッテリーの状態確認や設定変更が行える。

 NECでは、サーバーの運用管理を省力化できるサービスも提供している。それが、サーバーの「診断カルテ」だ。これは、「自律運用支援サービス」として同社が展開していくサービスの一部となる。自律運用支援サービスは、サーバーやストレージなどの稼働情報を収集・分析して、IT機器の運用管理負荷の軽減を支援するサービスだ。

 自律運用支援サービスの一部である診断カルテは、サーバーの稼働情報をユーザーに提供するサービスとなる。サーバーにエージェントをインストールすることで、ログなどの情報をNEC側で収集・解析でき、サーバーの使用率やリソース情報から、障害の発生予測などのリポートを月に1度提供する。診断カルテは専用ポータルサイトで確認可能だ。「障害発生の予兆分析まで行えるので、事前対策や計画的な保守対応が可能になるのです。これらの製品・サービスの提供で、情報システム部門のシステム運用負担の軽減を実現していきます」(實方氏)

移行を機にファイルサーバーを整理

 ハイブリッドクラウドという視点では、ファイルサーバーのクラウドへの移行や、オンプレミスとクラウドを併用したファイルサーバーの構築提案などが、システムのハイブリッド化の入り口になりやすい。その際には、ファイルサーバーの統合管理ソフトウェア「NIAS」の提案が有効だという。

「不要ファイルの見える化、アクセス権の確認・設定、マイナンバーなどの個人情報の検出・整理などが行え、データのスリム化とセキュリティ強化を図った上でファイルサーバーの移行を実現します。クラウドを併用したファイルサーバーのハイブリッド化も実現するソフトウェアであり、ワンステップ上のファイルサーバー環境を構築できるのです」と島田氏は薦める。

Express5800/T110j-S UPS内蔵モデル

オンプレからクラウドまで一括管理

Cisco

サーバーのリフレッシュタイミング

 現在は、サーバーのハードウェア自体のリフレッシュタイミングでもあると捉えているのはシスコシステムズだ。「インテル Xeon スケーラブル・プロセッサーより前のCPUを搭載したサーバーの更新時期を迎えています」と同社 APJ データセンター・バーチャライゼーション HyperFlex/UCS ビジネスマネージャの中村 智氏は話す。

 それではサーバーの更新時に考慮すべきポイントは何か。シスコシステムズは、企業システムを取り巻く三つのトレンドとして「アプリケーションの進化」「マルチクラウド」「ワークロードの分散」を挙げる。アプリケーションの進化に合わせた最新アーキテクチャの必要性やマルチクラウドが体現するシステムの柔軟性、そして、エッジからクラウドまで分散するワークロードの状況を交え、システムの在り方をサーバー更新時に検討すべきだと言うのだ。

 その上で、「サーバー更新の具体的な道としては、従来環境と同等のシステムでのWindows Serverのアップグレード、サーバーに加えてストレージも見直すHCIの活用、ハイブリッドクラウドの三つの選択肢があります」と中村氏は続ける。「例えば、システム構成はそのままでWindows Serverのアップグレードをしていくのであれば『Cisco UCS』シリーズ、ストレージも含めた運用管理の効率化などを目的とするHCIの導入には『Cisco HyperFlex』シリーズの提案がお薦めです」

シスコシステムズ 中村 智 氏
「企業の競争力を高めるためには、従来のシステムでは難しいでしょう」

HCIは純粋に2台で構成できる

 Cisco UCSシリーズは、ユーザーのインフラに最適化できる「Cisco UCS C4200 シリーズ ラック サーバ シャーシ」などが用意された。密度の最大化が必要なサービスプロバイダーや、新しいデザインをモデル化する製造業、消費者動向を分析する小売業などのニーズに応える。「Cisco UCSシリーズには基本的にGPUも搭載できます。中でも『Cisco UCS C480 ML M5 ラックサーバ』は、NVIDIAが提供するサーバー『DGX-1』に相当する性能で、AI/ML用途にも最適です」(中村氏)

 Cisco HyperFlexシリーズは、小規模な構成が可能な点が売りだという。「通常、2ノード構成のHCIは、管理用のサーバー(Witnessサーバー)が1台必要になりますが、小規模向けのHyperFlex Edgeでは、クラウドベースの管理ツール『Cisco Intersight』で行えるため、ユーザーは純粋にサーバー2台からHCIを構成できるのです」(中村氏)

 Cisco UCSシリーズとCisco HyperFlexシリーズは、Cisco Intersightによって複数拠点の製品をまとめて管理できる。「各製品の稼働状況の俯瞰的な把握、ドリルダウン管理、設定、既知重大障害の該当通知などをサービスとして提供します。障害情報の自動取得と一次分析を経ての連絡など、プロアクティブなサポートも実現するのです」(中村氏)

 こうした製品に加えて、ハイブリッドクラウド環境、さらにはマルチクラウド環境を構築する上で、シスコシステムズの強みとなるのはSDNソリューションである「Cisco ACI(Application Centric Infrastructure)」の存在だ。

「当社のスイッチ製品である『Cisco Nexus』シリーズなどをベースに、オンプレミスからクラウドまでのネットワーク、セキュリティ、アナリティクス、マネジメントを一気通貫で実現します。これを『ACI Anywhere』と呼びます。オンプレミスとクラウド、UCSシリーズ、HyperFlexシリーズ、Nexusシリーズなどが連動して動くのです。このような統合的な管理の実現が、当社製品の特長なのです」(中村氏)

Cisco HyperFlex HX220c M4

Azure Stack HCI推し

Dell EMC

ハイブリッドファイルサーバーとWSUS

 今年2月にWindows Server 2019のセミナーを日本マイクロソフトと共催したDell EMCは、Windows Server 2019への注目度が非常に高いと感じた。「何ができるのかを知りたいというユーザーが多かったですね」とDell EMC インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部 岡野家和氏は振り返る。

 こうした中、同社はこれからサーバーの移行に着手すると目される中小企業へのリプレース提案において、ファイルサーバーとWindows PCのUpdateという二つのキーワードを軸に提案を進めている。「Windows Server 2008サーバーの約25%はファイルサーバーとして稼働しているという調査があります。Windows Server 2019では、ファイルサーバーのハイブリッド化がしやすくなっているので、オンプレミスとクラウドのいいとこ取りによるファイル管理の実現として、ハイブリッドのファイルサーバー環境を提案しています」(岡野氏)

 Windows Server 2019では、Windows Admin Centerの活用で、Azure上のファイル共有サービスである「Azure Files」と接続する「Azure File Sync」を手軽に利用できる。これによって、オンプレミスのWindows Server 2019サーバーとAzureを併用したファイルサーバー環境の構築が可能になる。利用頻度の低いデータはAzureに配置するなどして、オンプレミスサーバーのデータ領域を節約するといった使い方も可能だ。ファイルサーバーのハイブリッド化は、システムのハイブリッド化への一歩として提案しやすいシナリオと言えよう。

 Windows PCのUpdate用途では、Windows Server 2019の標準機能であるWSUS(Windows Server Update Services)の利用を推進している。WSUSを利用すると、クライアントPCへのWindows 10の更新プログラムの適用をコントロールできるようになるのだ。実際には、Windows 10の更新プログラムはWSUSがダウンロードし、各クライアントPCへの柔軟な配信を可能にする。「Windows 7 EOSにおけるWindows 10 PCの提案時に一緒に導入を促せます。これは、サーバーの新規導入提案としても推進していけるでしょう」(岡野氏)

Dell EMC 岡野家和 氏
Dell EMC 馬場健太郎 氏
「Windows Server 2019で構成するHCIの選択肢は、より重要になります」

Ready Solutions for Azure Stack HCI

 Windows Server 2019ではHCIの機能も強化された。例えば、Windows Admin Centerによる管理性の向上や、2ノード構成の提供、データの重複除去機能などが活用できるようになっている。

「Windows Admin CenterはHCIの管理も容易にします。当社では、Dell EMC PowerEdgeサーバーの管理を実現する『OpenManage Enterprise』というソリューションを提供していますが、近々、Windows Admin Centerへのプラグインを提供する予定です。これによって、Windows Admin Center上でDell EMC PowerEdgeサーバーのハードウェア面の管理も実現します。また、Windows Server 2019で構成するHCIの選択肢は、WindowsのライセンスでHCIを構築できるため、コストの面からもより重要になるでしょう」とDell EMC インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 パートナー営業本部 本部長 馬場健太郎氏は期待する。

 今年3月には、マイクロソフトが「Azure Stack HCI ソリューション」を発表した。Windows Serverで構築するHCIのリファレンスアーキテクチャであり、Azureとのハイブリッドクラウドも手軽に行えるソリューションだ。マイクロソフトはAzure Stack HCI ソリューションについて、次のように説明している。

――IT管理者は、Windows Admin Centerを使用してAzureハイブリッドサービスを簡単に統合し、Azureとシームレスに接続して以下を実現できる。

・Azure Site Recovery:高可用性およびサービスとしてのディザスタリカバリー。
・Azure Monitor:AIによる高度な分析を使用して、アプリケーション、ネットワーク、インフラストラクチャ全体で発生していることを追跡するための集中ハブ。
・Azure Backup:オフサイトデータ保護およびランサムウェアに対する保護を提供。
・Azure Update Management:Azureおよびオンプレミスで実行されているWindows VM に対する更新プログラムの評価とデプロイ。

 そこでDell EMCは、従来から提供していたWindows Server HCIの検証済み構成「Dell EMC S2D Ready Node」を「Dell EMC Ready Solutions for Azure Stack HCI」として提供開始した。「検証済みだけでなく、HCIに最適化したPowerEdgeサーバーを使用するなどBIOSレベルでチューニングも行っています。保守もHCI製品と認識した上での対応となるため、提案後も安心です」と馬場氏はアピールする。

PowerEdge R740xd2

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