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文部科学省が取り組むIE-School・ICT-School事業

文部科学省が取り組むIE-School・ICT-School事業

2019年05月13日更新

Special Feature 2
2018年度、教育ICT事業の成果
次世代の学びの環境をどう作る?

学校現場のICT環境整備が進む中、平行してICTを学びに取り入れていくための検証も実施されている。また、学校のシステム基盤にも、学びに合わせた変化が生まれ始めている。今回は2018年度文部科学省、総務省の教育の情報化(教育ICT)にまつわる事業の成果発表会の内容をレポートする。


次世代の教育情報化推進事業成果報告会リポート
次世代の教育情報化推進に求められる
カリキュラムデザインと各教科指導の二本柱

2020年から順次スタートする新学習指導要領。その中で言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」に位置づけられたのが情報活用能力だ。情報活用能力を伸ばしていくため、また新学習指導要領に則った学びを実現するため、文部科学省では「次世代の教育情報化推進事業」において、実践的な研究を進めている。

教科横断的な指導方法の創出が急務に

 2019年2月27日に「平成30年度IE-School+ICT-School成果報告会」が開催された。IE-School(情報教育推進校)とICT-School(ICT活用事業推進校)はともに文部科学省の「次世代の教育情報化推進事業」(情報教育の推進等に関する調査研究)で指定された推進校だ。

 次世代の教育情報化推進事業の実施が求められる背景について、文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 情報教育振興室 室長 折笠史典氏は次のように語る。

「IoT、AI、ビッグデータ活用など社会の情報化がますます進展する中、情報技術をより適切かつ効果的に設定して活用する能力――情報活用能力が求められており、今後の学校教育においてそれらの育成は不可欠です。また主体的な学びを実現するための授業改善としてICT環境整備が求められており、新学習指導要領においても情報活用能力は全ての学びの基盤になると位置付けられました。そのため、学校現場ではICT環境を整えて適切に活用する準備や、確実な実施を図るための教科横断的な指導方法の創出が求められています」

昨年度の成果をもとにした自校の取り組み評価

 それでは、次世代の教育情報化推進事業で実施されるIE-School事業とICT-School事業はそれぞれどのように異なるのだろうか。IE-School事業の主査を務める宮城教育大学 准教授の安藤明伸氏は次のように説明する。

「IE-Schoolでは教科横断的な情報活用能力の育成のためのカリキュラムデザインの在り方の実践的な研究を実施しました。具体的には昨年度(2017年度)の成果としてカリキュラムマネジメントの体系表を作成しています。教科横断的な視点による教育内容の組織的な配列を行い、情報活用能力育成のための単元や授業設計に生かせるようにしました。昨年度はステップ4まで作成しており、今年度(2018年度)の事業成果をもとにステップ5を追加する予定です」

 また、実証校ではPDCAサイクルの確立にも取り組んだ。昨年度の成果である「情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントモデル」をもとに自校の取り組みの点検、評価を実施した。

 情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントモデルは、横軸に新学習指導要領解説総則論で示されたカリキュラム・マネジメントの三つの側面をキーワードで示し、縦軸を「準備期」「実践期」「改善期」という時間の経過で表現している。

 この縦軸は、長期的な視点でカリキュラム・マネジメントを捉えることができるようにしたものだ。基本的には各期を年度単位として想定しているが、実践期が複数年度続く場合もあれば、改善期に相当する年度が現在進行形で継続し続ける場合もあるなど、学校によってさまざまだ。これらにどのようなパーツを載せていくかが事業の要になっている。

授業デザインにICTを有効に組み込んで学ぶ

 次に、ICT-School事業の主査を務める東京学芸大学 准教授の高橋 純氏が、ICT-School事業の取り組みを説明した。「ICT-SchoolではICTを活用した『主体的・対話的で深い学び』の視点から、授業改善や個に応じた指導など、各教科におけるICTを活用した指導法の開発に関する実践的な研究に取り組みました」

 具体的には学習課題(問い)、学習活動のための教材などの工夫や、ICTの特長を踏まえて、どのような意図でICTを活用するのかを想定し、単元や授業をデザインしている。例えば調べ学習時の「情報収集」にインターネットを利用し、「考察・構想」時に情報をデジタルデータとして整理したり、発表資料作成にPCを活用したり、といった、課題把握から追求、解決に至るまでの一連の流れの中でどのようにICTを活用するかといった計画だ。

 加えて、ICT活用によって得られた学習記録データの評価への活用にも取り組んだ。学習履歴や学習成果物などの授業・学習の記録を収集・分析し、児童生徒の学習過程の評価に関する具体例を収集している。具体的にはデジタルポートフォリオの活用などが例として挙げられ、それらをどう授業に組み込んでいくかに焦点が当てられた。

文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 情報教育振興室 室長 折笠史典 氏
宮崎教育大学 准教授 安藤明伸 氏
東京学芸大学 准教授 高橋 純 氏

■IE-Schoolの取り組み
①情報活用能力育成のためのカリキュラムデザイン
②PDCAサイクルの確立

[委託先/実践校]
・国立大学法人福岡教育大学
 福岡教育大学附属久留米小学校

・長野教育委員会
 栄村立栄小学校/木曽町立三岳小学校/飯田市立上村小学校

・国立大学法人北海道教育大学
 北海道教育大学附属釧路中学校

・国立大学法人横浜国立大学
 横浜国立大学附属横浜中学校

・奈良県教育委員会
 奈良県立香芝高等学校

・神奈川県教育委員会
 神奈川県立住吉高等学校

・三重県教育委員会
 三重県立名張青峰高等学校

■ICT-Schoolの取り組み
①ICTを活用した「主体的・対話的で深い学び」の視点からの単元・授業デザイン
②ICT活用によって得られた学習記録データの評価への活用

[委託先/実践校]
・国立大学法人京都教育大学
 京都教育大学附属桃山小学校

・八峰町教育委員会
 八峰町立峰浜小学校/八峰町立八森小学校

・武雄市教育委員会
 武雄市立橘小学校

・山江村教育委員会
 山江村立山田小学校

・国立大学法人大阪教育大学
 大阪教育大学附属池田小学校

・喬木村教育委員会
 喬木村立喬木中学校

・北海道教育委員会
 北海道富川高等学校/他協力校3校

・千葉県教育委員会
 千葉県立袖ヶ浦高等学校

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