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HPE、富士通、レノボの最新サーバー戦略に迫る

HPE、富士通、レノボの最新サーバー戦略に迫る

2019年05月10日更新

Chapter.2-2: HPE, FUJITSU, Lenovo

ハードウェアセキュリティの強み

HPE

サプライチェーンリスクが深刻化

 Windows Server 2019の強化ポイントの一つにセキュリティがあるように、昨今、セキュリティ対策への関心は日増しに高まっている。標的型攻撃やランサムウェアなどによってグローバルで甚大な被害が発生したこともあり、国を挙げた対応も急務となっている。

 例えば、2015年12月には経済産業省とIPAが「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を策定して、経営者が認識すべき原則などを示した。同ガイドラインには、製品やサービスを構成する部品、ソフトウェア、運用・保守、廃棄までのITにおけるサプライチェーン全体にわたったセキュリティ対策の必要性が明記されている。

 こうしたリスクへの対応強化のために政府は昨年12月、関係省庁に対して「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」を決定し、今年4月1日から適用を開始した。これは、各省庁がITを調達する際の基準を明確化したものだ。対象となるITには、サーバーをはじめ、ネットワーク、PC、プリンター、テレビ会議システム、OS、アプリケーション、キーボードやマウス、外付けHDD、そしてシステム開発や運用・保守といった役務までが含まれる。

 日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部の阿部敬則氏は、次のように解説する。「政府のIT調達に関する申し合わせは、サプライチェーンリスクを念頭に、脆弱性が存在したり信頼性に乏しかったりする製品などは使ってはいけないという内容です。政府の動きもあり、大企業だけでなく中小企業も含めてより一層、セキュリティに対する意識が高まっているのです」

HPE 阿部敬則 氏
HPE 林 亜樹子 氏
「iLO 5を搭載したHPE ProLiant Gen10 サーバーはセキュリティ強化と運用効率化を両立できます」

稼働中にファームウェア改ざんを検知・復旧

 こうした背景下において、HPEがアピールするのは、同社の「HPE ProLiant Gen10 サーバー」に搭載されている自社開発の管理用チップ「iLO 5」の存在だ。iLO 5は、HPE ProLiant Gen10 サーバーの導入から監視、最適化、サポート、そしてセキュリティまでのライフサイクル全体をカバーする運用管理の要だ。iLO 5が搭載されていることで、HPE ProLiant Gen10 サーバーは、ハードウェア自体のセキュリティ性能を大きく高めているのだ。「自社開発のチップの採用が特長です。追加コストなしにハードウェアのセキュリティ対策を実現するのです」(日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 林 亜樹子氏)

 例えば、昨今はファームウェア改ざんのリスクへの意識が強くなっているが、iLO 5にはファームウェアの正常性確認ロジックが組み込まれており、サーバー起動時にファームウェアに改ざんがないことを確認してから起動が実行される。そのため、ファームウェアの改ざんによるセキュリティ脅威を排除できるのだ。

「起動時だけでなく、サーバーの稼働中にもファームウェアをスキャンする機能を備えています。改ざんが検知された場合は、あらかじめ保存されているリカバリーセットに復旧するのです。その際、サーバーの再起動は不要です」(林氏)

 iLO 5は今年2月にv1.40が公開された。新機能としてiLOのセキュリティ設定状況を一目で確認できる「セキュリティダッシュボード」も搭載された。

 iLOのライセンスには、標準機能として利用できる「iLO Standard」、追加のライセンス費用が必要な「iLO Advanced」、より費用が高い「iLO Advanced Premium Security Edition」が存在していた。これまで、OS稼働中のファームウェア改ざん自動検知・復旧機能などを利用するためには、iLO Advanced Premium Security Editionのライセンス契約が必要だったが、2月からiLO AdvancedのライセンスにiLO Advanced Premium Security Editionの機能が統合され、iLO Advancedのライセンスで全ての機能が利用できるようになっている。

運用の効率化も実現

 iLO 5を搭載したHPE ProLiant Gen10 サーバーは、運用管理の負荷を軽減する“自働サーバー”としても有用だという。セットアップ、運用・監視、メンテナンスに至る各工数を大幅に削減する機能が搭載されているのだ。ハードウェアに障害が発生した場合は、HPEのサポートセンターに自動で通報し、HPEの側から対応の連絡をする「Insight Remote Support(IRS)」や、各サーバー構成や状態、過去の障害履歴、保守情報などを一元的に確認できる「HPE Insight Online」なども利用可能だ。HPE Insight Onlineは、顧客のシステムステータスの確認のために販売パートナーが活用することもできる。

「セキュリティの強化と運用の効率化はトレードオフの関係になりがちですが、iLO 5を搭載したHPE ProLiant Gen10 サーバーは、双方を両立しており、働き方改革にも貢献します」(林氏)

 これらの機能の概要や詳細な説明について、HPEはオンラインセミナー「HPE ONLINE」でも発信している。オンデマンドでいつでも視聴でき、参照資料のダウンロードも可能だ。「こうした情報提供の仕組みも積極的に活用していただきたいですね」と阿部氏は力を込める。

ユーザーとともに最適解を探る

FUJITSU

新モデル6機種を発表

「2018年はWindows 7 EOSにおけるWindows 10への移行に合わせたサーバーの売り上げが好調でした」と手応えを語るのは、富士通 システムプラットフォーム技術本部 プラットフォーム商談統括部 PRIMERGYビジネス部 マネージャーの田井之子氏だ。特にWindows 10のアップデートを管理できるWSUSの導入をきっかけとしたサーバー販売が増加したという。

 Windows Server 2008/R2 EOSでのサーバー移行について、富士通のサポート契約をしているユーザーの中では約3割が移行を完了しており、5割程度のユーザーに対して現在提案中だ。ハイブリッドクラウドなどの選択肢も増えている中、「お客さまと一緒に最適解を探っているため、商談自体も長くなっています」と田井氏は状況を話す。ハイブリッドクラウド化という視点では、「Office 365の利用などが増加しており、認証におけるクラウド連携などについて検討が徐々に増えてきている」段階だという。

 こうした中で、富士通は4月3日に「FUJITSU Server PRIMERGY」シリーズの新モデル6機種を発表した。ラック型サーバーの「PRIMERGY RX2530 M5」と「PRIMERGY RX2540 M5」は最大7.6TBまで、「PRIMERGY RX4770 M5」は最大15.3TBまでサーバー1台あたりのメモリー容量を拡張できるので、大容量メモリーが求められる仮想化システムやインメモリデータベースにおけるデータ処理時間の短縮が可能だ。マルチノードサーバーの「PRIMERGY CX2550 M5」「PRIMERGY CX2560 M5」「PRIMERGY CX2570 M5」は、高集積密度による省スペース化や、水冷技術への対応で、ハイパフォーマンスコンピューティングに最適な構成が可能になっている。

 新機種はいずれも、第2世代 インテル Xeon スケーラブル・プロセッサーを搭載でき、前世代のインテル Xeon スケーラブル・プロセッサーを搭載した製品と比較して約15%の性能向上を実現している。併せて、不揮発性メモリーの「インテル Optane DC パーシステント・メモリー」の採用によって、実効メモリー容量の拡大と処理の高速化を果たしている。

右から、富士通 田井之子氏、桜井洋一氏、渡邊亮介氏、谷口逸人氏
「ハイブリッドクラウドなどの選択肢も増える中、お客さまと一緒に最適解を探っています」

運用改善キャンペーンを実施

 Windows Server 2019を搭載したサーバーの訴求ポイントについて、富士通 システムプラットフォーム技術本部 プラットフォーム商談統括部 PRIMERGYビジネス部の桜井洋一氏はこう話す。「タワー型については、DISセレクトモデルの用意や、ファイルサーバー、WSUS、VDIなど、“クライアント環境 運用改善キャンペーン”と称して提案を進めています。ラック型は、新製品の発売によってメモリーやストレージの大容量化を果たしているので、仮想化基盤の強化ニーズに対して提案していきます」

 HCIの「PRIMEFLEX for Microsoft Storage Spaces Direct」も用意している。「設計済み」「検証済み」「セットアップ済み」で提供され、2ノードから対応しているため、小規模な移行や段階的な移行などに最適だ。仮想マシンの統合管理にもお薦めだという。「リソースが不足した場合には、既存ノードへのメモリーやディスク単位での追加や、異なるスペックのノードの追加なども可能です。HCI管理ツールの『ISM for PRIMEFLEX』によって、PRIMEFLEX以外のシステムのハードウェアの管理も実現します。PRIMEFLEXの導入で、システム全体の管理も行えるようになるのです」(富士通 システムプラットフォーム技術本部 プラットフォーム商談統括部 PRIMERGYビジネス部 谷口逸人氏)

 すでにAzureを活用しているユーザーに対しては、オンプレミス版のAzure「Azure Stack」も提供していくと富士通 システムプラットフォーム技術本部 プラットフォーム商談統括部 PRIMERGYビジネス部 渡邊亮介氏は話す。「システム基盤をクラウドに移行させる前のステップや、AzureとAzure Stackによるハイブリッドクラウド提案などが有効です」

認証環境を強化

 こうした提案に加えて、ファイルサーバーの移行や認証強化といったシナリオも用意している。「Windows 10のWindows Helloを利用した認証基盤をWindows Server 2019で構築することで、利便性とセキュリティレベルを向上させられます。クラウドベースの認証基盤であるAzure ADとのID連携によってOffice 365などへのシングルサインオン環境も実現します。働き方改革によって、クライアントPCの持ち出し増加が予測されますが、認証環境を整備することで安全な業務環境を構築できるようになるのです。管理者とユーザー双方にメリットがあるシナリオです」(桜井氏)

 Windows Server 2008/R2 EOSにおいては、Windows Server 2016への移行も選択肢となり得るが、「今後を見据えて、Windows Server 2016とWindows Server 2019の双方をお客さまのニーズに合わせて提案していきます」と田井氏は語る。

PRIMERGY RX2530 M5

信頼性を武器にHCI提案を進める

Lenovo

モダナイゼーションとHCI

 HCIの機能強化が図られたWindows Server 2019は、HCIの導入による情報システムのモダナイゼーションを後押しすると、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 技術営業本部 本部長の廣川直哉氏は捉えている。「サーバー、ストレージ、ネットワークで構成する3層型の従来システムと比較してシンプルに構成できるHCIは、拡張性や運用管理面においても優位性があり、これからのITシステムに求められる要素を包含しています。Windows Server 2019は、このHCIの導入をさらに加速させる存在と言えるでしょう」

 Windows Server 2019でHCIを構築できれば、従来必要とされていたHCIソフトウェアライセンス分の費用を削減できる。また、使い慣れたWindowsで統一できる利点も大きい。その上で、Windows Server 2019では重複除去機能が搭載されていたり、Windows Admin Centerでの一元的な管理が可能になっていたりする強化点が、Windows Server 2019を利用したHCIの構築を後押しするというのだ。Windows Admin Centerの存在によって、AzureとHCIのハイブリッド環境の構築も容易になっている。

「HCIは当初は新しいITの導入に積極的なアーリーアダプターが採用していましたが、現在は、ITの運用管理者が少ない企業での導入が広がっています。外部ストレージを用いる従来型の3層システムは、運用負担が重く、問題が発生した際の切り分けが大変ですが、HCIならば効率的な管理が実現でき、負担の軽減が可能なのです」(廣川氏)

 HCIのシステム構成は、構築に要する期間にも好影響を与えるという。「従来の3層構成の場合、検討から導入まで2~3カ月かかることは珍しくありません。しかし、HCIなら導入までの期間を大幅に短縮できます。これからWindows Server 2008/R2のEOSが山場を迎えますが、短期間での移行の実現という側面でもHCIの提案は有効なのです」(廣川氏)

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 廣川直哉 氏
「シンプルに構成できるHCIは、これからのITシステムに求められる要素を包含しています」

XClarityとWindows Admin Centerが連携

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズがWindows Serverで実現するHCI製品として提供しているのは、事前検証済みハードウェアとファームウェアで構成された「ThinkAgile MX 認定ノード」(Azure Stack HCIソリューション)だ。同社のThinkSystemサーバーがベースになっているが、「System x時代から続いている信頼性の追求によって、計画外の停止といった障害発生率が最も低いという調査結果(x86サーバーにおいて)が外部調査機関のITICから発表されています」と廣川氏はサーバー自体の強みを誇る。

 信頼性の確立には、「プロアクティブ・プラットフォーム・アラート」という仕組みが貢献している。プロセッサー、メモリー、ディスクなどの障害の予兆をユーザーやサポートに通知するのだ。管理ツールの「Lenovo XClarity Integrator」と連携させれば、障害の発生を事前に検知した際に、仮想マシンを安全なサーバーに自動的に退避させることも可能だ。「Lenovo XClarityはWindows Admin Centerとも連携でき、Windows Admin Center上で当社のサーバーを管理できるようにもなっています」(廣川氏)

 サーバーの停止時間を最小化できる「ライト・パス(Light Path)診断テクノロジー」も採用されている。これは、LEDの点灯によってメモリーやファンなどの障害部位を容易に特定でき、障害発生時の保守作業の時間を大幅に削減する。

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズでは、このようなハードウェア面における強みを背景に、Windows Server 2019で構成するHCI提案に注力していくという。

ThinkAgile MXシリーズ

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