
スマホで商品を撮影する基本テクを戸田覚が伝授
スマホでもいい写真が撮れる
テーマ:プロに頼まないで商品撮影するコツ
プレゼンのスライドや自分の部署が発信するブログなどに商品写真を使いたいことがある。もちろん、すでに用意されていれば良いのだが、なければ自分で撮るしかない。また、いつも同じ写真を使うのも芸がない。今回はお手軽にスマホで商品写真を撮る方法を紹介しよう。
まずは環境を整えよう
昔は、会社にデジカメが常備されていることも少なくなかったが、最近はスマホで十分になってしまった。いわゆるスナップ写真なら、わざわざデジカメを持ち出す必要はない。僕も単行本の取材では、スマホで撮影しているのだが、クオリティ的には何の問題もない。ということで今回は、商品撮影をスマホでうまくこなす方法を紹介していこう。
重要なのは、100点の写真を望まないことだ。カタログに掲載されている写真はプロのカメラマンが撮影している。同じクオリティの写真を自分が撮れるはずがないと認識することから始めよう。とはいえ、70~80点の写真をコストと時間を掛けずに自分で撮れたなら、まあ納得できるはずだ。もちろん、一眼レフではなくスマホで撮影してでの話だ。
環境が整えば、スマホでも結構いい写真は撮れる。スマホは最近の中級以上のモデルならほぼどれでも問題ない。今回は、iPhone XS Maxで撮影しているが、他のモデルでも大丈夫だ。
できれば、背景がシンプルで光の当たり方が均一な撮影ボックスのような環境があればうれしい。インターネットでも簡単に購入できる。まずは、そんな環境で撮影する際の全体的なコツを紹介しよう。
スマホでの撮影でも、できれば三脚があった方が望ましい。スマホを三脚に固定するアイテムは1,000円程度で手に入る。スマホ向けの三脚も販売されているので、それらを手に入れてもいいだろう。
もう一つ用意しておくと良いのがライトだ。写真は最終的には切り抜くのだが、明るさなどの調整はなるべくしない方がうまくいく。最初から暗い写真を調整して明るくするのではなく、明るく撮影した方が結果として時間もかからないのだ。こちらもネットで各種販売されている撮影用のライトがあると、補助光として暗い部分を照らせる。
スマホのカメラは、ワイドレンズが多い。普通に撮ると被写体が小さすぎて、どうしても近づきたくなる。ところが、あまり近づいて撮ると形がゆがんでしまう。そこでおすすめなのが、2倍ズームでの撮影だ。特に光学ズームタイプのダブルカメラの機種にはおすすめだ。ズームで少し離れて撮るとゆがみが少なく、きっちり撮れる。
頻繁に撮影する機会があるなら、撮影しやすい環境を会社として用意しておくべきだ。誰でも自由に使えるようにすることで、さまざまな資料の完成度が向上する。
環境がなければ外で撮ろう
撮影ボックスや簡易スタジオ的な環境がなく、また用意もできないなら、屋外で撮るのが手っ取り早い。ただし、晴れの日はNG。曇りの日の日中であまり影ができない環境で撮影するのがおすすめだ。「そううまくいくか」と思うかもしれないが、色々な場所で試してみると、案外うまく撮れるスポットがあるはずだ。明るい曇りの日はやや影になっているところが狙い目。逆に暗い曇りの日は影を気にしなくてもいいだろう。
今回の例も、暗い曇りの日に撮影した。後で切り抜いて使うので、画用紙などを敷いてバックをシンプルにしておくと楽だ。画用紙はネット通販や文具店で数百円で購入できる。色々なカラーがセットになったものを手に入れておくと、使い勝手が良い。余分なものが写り込んでもトリミングすればいいので気にしないことだ。
もし、光が背景から当たって手前が暗くなるようでも、屋外では補助光はあまり役に立たない。そんな面倒なことをせずに、太陽の位置を考えて自分が逆を向けばいいのだ。
撮影が終わったら、いよいよ写真を切り抜いていこう。プレゼンのスライドやブログなどに使う商品写真は、できるだけ切り抜いて使いたいものだ。その方が全体のレイアウトが楽だし、見た目もスッキリと仕上がる。例えば、人が使っている様子など、シーンを想起させる写真は周囲も入れて撮るが、商品単体の説明写真はほとんど切り抜かれているものだ。
切り抜き作業は、Microsoft Officeの機能でもできる。写真を選択して、「図ツール」の「調整」-「背景の削除」を利用すれば良いのだ。ただし、実際に使ってみるときれいに仕上げるのは非常に大変だ。マウスやタッチパッドを使って、細かな範囲指定をするのが非常に面倒なのだ。
そこでおすすめなのが、スマホ上で背景を削除する方法だ。スマホ向けには背景を透明化するアプリが多数リリースされている。今回は、「背景透過」というiPhone向けの無料アプリを利用したが、他のタイトルでも構わない。もちろん、Androidスマートフォン向けにも同様のアプリがリリースされている。
スマホなら、背景を消す部分や残す部分の範囲指定がPCよりも楽だ。画面を拡大しながら、消す部分をなぞっていく方式のアプリが多い。それでも少々面倒に感じるかもしれないが、PCでの作業よりはずいぶん指定しやすい。細かな作業ではとにかく拡大することがコツだ。また、アプリによって使い勝手も異なるので、自分に合うものを見つけておくと楽だ。
PowerPointの機能も活用
写真の切り抜きが完成したら、普通に撮影した写真同様にPCに転送して使っていけばいい。PowerPointに貼り付けると、透過されて、背景に浮かび上がるように表示できるはずだ。もし、消し忘れのゴミなどが残っていたら、PowerPointの背景削除機能で消せば良い。ちょっとした作業なら問題なくこなせるはずだ。
また、Office 365版の新機能である「デザイン アイデア」も切り抜き写真にはとても有効で、見栄えのよいレイアウトが一発でできあがるだろう。
今回は、iPhoneを使って、屋外に敷いた画用紙の上で撮影した写真を切り抜きで利用したが、おそらくほとんどの用途には十分だと感じるはずだ。時短で作業するためには、撮影する際の下準備をきっちりしておくことだ。背景も1色でかつ、商品の色と違うものを用意すれば、切り抜き作業もしやすい。
一度手慣れてしまえば、自前の切り抜き写真の準備も案外簡単にできるはずだ。カタログにはない商品の裏なども、好きなように撮影できるからぜひ試して欲しい。また、スタッフ紹介などをする際にも、人物の切り抜きがおすすめだ。こちらは、背景が1色の白い壁などをうまく利用して撮影したい。やはり、曇りの日に屋外で撮ると、失敗が少なくホドホドに仕上がるだろう。
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