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360度カメラを活用した画像解析システム「RICOH360-Analysis」

360度カメラを活用した画像解析システム「RICOH360-Analysis」

2019年04月24日更新

360度画像から行動を分析する
RICOH360-Analysis

展示会やショールームにおいて、より効果的なディスプレイや導線を作ることは非常に重要だ。しかし、それらが本当に効果的であるのか可視化できるツールは少ない。リコーが提供している360度カメラを利用した「RICOH360 - Analysis」は、簡単かつ効果的に、行動分析を実現できるツールだ。

360度カメラの法人ニーズが拡大

 撮影者の周囲の空間を全天球イメージとして撮影できる「RICOH THETA」。リコーが提供している360度カメラで、ユーザーの写真体験を変えるデバイスとして、コンシューマー市場に提供され始めた製品だ。しかし、「360度の画像を取得できる」という本製品の特性に注目が集まり、法人市場でも利用が拡大している。

 RICOH THETAについて、リコー Smart Vision事業本部 DS事業センター 事業開発部 2グループ リーダーの望主雅子氏は「RICOH THETAは幅45.2×奥行き22.9×高さ130.6mm(RICOH THETA SCの場合)と非常にコンパクトな360度カメラです。リコーイメージングが持つペンタックスブランドの技術力を生かし、従来一眼レフを複数台設置しなければ撮影できなかった360度画像を、二つのカメラレンズで取得できるように開発しました」と語る。上記の製品特長に加えて、撮影したデータが簡単にSNSで共有できる点や、撮影者の全方位の環境が撮影できる点などから、コンシューマー市場で高い注目を集めていた。

 また、全方位を記録できる本製品の特性を生かして、ビジネスシーンでも活用が進んでいる。例えば不動産業では、Webサイトに取り扱い物件の見取り図や物件の写真などを公開しているが、実際に入居を希望する顧客はそれらの情報だけではその物件の様子がつかみにくい。そこでRICOH THETAで撮影した360度画像をWebサイト上に公開して、より物件の中の様子を顧客が理解しやすいようにしているケースが増加している。また、ワンショットで360度画像が取得できるメリットを生かし、保守点検業務や工事の施工チェックに活用されているケースもある。

 そうしたビジネスシーンでの活用事例の増加から、リコーでは360度画像をさらにビジネスに有効に活用できるサービスとして、360度行動分析が可能な「RICOH360 - Analysis」(以下、Analysis)の提供を2018年12月から開始した。

RICOH360-Analysisで提供されるハードウェアセット。手前がSIMが挿入されたルーター、奥のボックスがコントロールボックスだ。RICOH THETAには設置しやすいようあらかじめ台座がセットされている。
RICOH THETAで取得した360度画像の一部
その画像を解析してヒートマップを作成したデータだ。人が滞留した箇所は赤に、人が移動した動線は黄色に色づいている

画像解析技術で行動分析を実現

 リコー Smart Vision事業本部 DS事業センター 事業開発部 スペシャリスト 新元隆史氏は、サービスの概要を次のように語る。「Analysisは、ディープラーニングよる画像解析技術を用いて、RICOH THETAで撮影したデータから滞留情報を測定してヒートマップを作成します。例えば展示会などでは、自社のブースにどれだけの人が立ち寄ったのか、どのような展示製品に人が集まったのかという可視化に活用できます」

 Analysisは、RICOH THETAとLTE回線を用いた計測機器(コントロールボックス)をリコー側から貸し出し、それをユーザー側で計測したい箇所に設置する。RICOH THETAは従来モバイル向けに開発されているため、長時間の使用には向かないが、AnalysisではAC電源で稼働できるようカスタマイズされており、終日利用が可能だ。

「非常にシンプルな構成なので設置も簡単です。使用する際もAC電源を差してコントロールボックスのスイッチを入れるだけでよいため、手間がかかりません」と望主氏。

 撮影データは毎分1分静止画で取得されており、それをコントロールボックスからリコーのクラウドサービスに自動的にアップロードして分析する。広範囲を撮影するため、人の顔が写ることもあるが、クラウド側で人の顔の位置を認識して、自動的に顔をぼかす処理なども行っている。「顔を認識するアルゴリズムは当社が独自に開発したものです。また全天球の画像を1枚の画像データに変換すると世界地図を広げたように上下がゆがんでしまいますが、ゆがんだ箇所も含めて認識できるように特殊な仕組みを採用しています」と新元氏は語る。

Analysisで測定したデータをもとにリコーが作成した成果物(Excelデータ)。ピボットで必要なデータのみに絞り込めるようになっており、特定の日の特定のエリアがどうだったのか、といった確認や、エリアごとの行動分析比較などが行いやすくなっている。これらの測定データを活用して、ユーザー側は他店舗への横展開や、次回展示会出展時のレイアウト改善に生かせる。

サイネージのサービス可視化に活用

 Analysisで解析されたヒートマップはクラウド上で閲覧できるため、ほぼリアルタイムに展示会などの導線の様子を確認できる。また測定後はリコー側で測定期間のデータをExcelのグラフに編集し、何日のどのエリアに何人いたか、などをユーザー側が可視化できるようにしている。測定するエリアは、測定時の様子を見て人が往来する場所を設定できるため、あらかじめ測定に設定した場所が、実際には人がいない場所だった、という事態も防げる。

 上記のような利用方法から、主に前述したような展示会やショールーム、店舗の導線分析などに役立てられる。またサイネージを店舗内に設置して、その集客効果を可視化する用途としても有効なため、サイネージのコンテンツ提供企業が自社のサービス可視化のため、パッケージング提案している事例もあるという。

 望主氏は「特に店舗の場合は旗艦店があるため、数店舗で解析を実施して傾向が分かったらほかの店舗に横展開という活用が可能です。行動分析はあくまで実施した後の振り返りや効果測定が重要で、将来的な改善や、改善を実施する際の根拠に活用するとよいでしょう」と語る。

 リコーでは、RICOH THETAをさらにビジネスで活用できるようにするべく、360度の画像・影像活用サービスを統合したポータルサイト「RICOH360」を2019年2月から公開している。Analysisをはじめ、360度動かせるWebバナー広告を作れる「RICOH360 - Ad」や、VRゴーグルプレゼンテーションツール「RICOH360 -VR Presenter」などが提供されている。RICOH THETAを活用したビジネス活用はますます拡大していきそうだ。

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