
eスポーツの商機をインテルや教育現場の取り組みから探る
eスポーツはビッグビジネスに
#インテル #eスポーツ #Core i9
インテルが10数年前から取り組んできたeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)への注目が国内でも高まり始めた。
ビッグビジネスに育てられるかー。
世界のゲームユーザーは23億人
今年、茨城県で開催する国体(国民体育大会)の文化プログラムの一環で「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が開催される。4月から8月までに各都道府県で代表決定戦が行われ、10月4日から6日に茨城県で決勝大会が実施される。実施競技は「グランツーリスモSPORT」「ウイニングイレブン 2019」「ぷよぷよeスポーツ」の3タイトルだ。国内においても、1961年から開催されてきた国体というビッグイベントで、eスポーツが開催されるようになったのだ。
そもそもeスポーツは、「電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」と日本eスポーツ連合は定義している。国体で開催されるとはいえ、国内ではまだまだ認知度が低い一方で、海外では多くの競技者やeスポーツファンが存在している。
「世界のゲームユーザーは23億人ほどと推計されており、eスポーツの土壌は非常に広大です。2018年の世界のeスポーツ市場は、トータルの視聴者(ファン)数が3億8,500万人、市場規模(収益ベース)は9億600万ドル(1ドル110円換算で約1,000億円)にも上ります。ビジネス規模が非常に大きい一大産業に成長しているのです。このようなeスポーツ市場に対して、インテルは10数年前から積極的に取り組んできました。例えば、『Intel Extreme Masters』のような世界最大規模のeスポーツイベントを開催しています」(インテル 執行役員 第二営業本部 本部長 藤木貴子氏)
アジアでは、オーストラリアや中国、韓国でeスポーツ熱が非常に高まっているが、日本はこれからだ。実際、国内の2018年のeスポーツ市場規模は48.3億円(前年比13倍)、視聴者(ファン)数は383万人(前年比66%増)だった。しかし、いずれも2022年には、市場規模が99.4億円に、視聴者(ファン)数は786万人にまで拡大すると予測されている(出所:Gzブレイン)。「PCメーカーやゲームメーカーなどのパートナーとともにエコシステムを形成していくことで、国内でもeスポーツ市場をさらに盛況にさせられるはずです」(藤木氏)
ゲーマー向け第9世代インテル Core i9
eスポーツのプラットフォームはPCだ。搭載されるCPUやGPUによって環境に差が出てくる。より高性能なPCを利用すれば、ストレスのないeスポーツ環境が構築できる。そのため、PCベンダーはゲーミング用PCのラインアップを強化している。インテルでは、PCのコアとなるCPUにおいて、ゲームプレイヤー向けに設計されたデスクトップ向けの第9世代 インテル Coreプロセッサーファミリーの提供を開始している。
「第9世代インテル Core i9プロセッサーは、8コア16スレッドのマルチタスクを実現しています。ゲームユーザーは、ゲームをプレイしながらそのライブ動画をストリーミングで配信し、ファンがYouTubeなどでその様子を視聴したりするケースが多いですが、そうしたプレイ環境にも第9世代インテル Core i9プロセッサーは最適です。インテル Optane SSDなどと組み合わせることで、ロード時間の短縮も可能です。実際にCPUの売上も非常に好調です」(インテル 第二営業本部 営業部長 栗原和久氏)
もちろんPCだけでなく、キーボードやマウスといった周辺機器に加えて、専用のイスなどの需要もある。
「若い世代では、自作でPCを構築してゲームに利用するケースも少なくないようです。自作PCは思い通りのプレイ環境にできるのが魅力だからです。店頭などで自作PCのイベントを行うと、家族連れで楽しまれているケースも多いです。このあたりにも、eスポーツの裾野の広さと可能性を感じます」(栗原氏)
「インテルとしては、パートナーと協力してテクノロジーや製品の開発を進め、eスポーツ環境の整備に努めていきます。5Gなども今後はキーとなるでしょう。そして、国内のeスポーツ市場の拡大に貢献していきます」(藤木氏)
(左)インテル 藤木貴子 氏
(右)インテル 栗原和久 氏
教育としてのeスポーツ
#ルネサンス大阪高等学校 #eスポーツコース
国内で初めてeスポーツコースを開講したルネサンス大阪高等学校。
eスポーツを通じた教育に大きな手応えを感じている。
生徒の将来につながる教育をeスポーツで実践
ルネサンス高等学校は全国から入学できる通信制の高校だ。その大阪キャンパスであるルネサンス大阪高等学校は昨年4月、日本の高等学校として初めてeスポーツコースを開講した。「eスポーツが世界で文化として認められていく中で、日本においてもeスポーツを学科として用意し、ボトムアップを図ってもいいのではないかと考えたのが始まりです」(ルネサンス・アカデミー ルネサンス大阪高等学校 法人営業部 部長 福田和彦氏)
2017年の夏ごろからeスポーツコースの設立に向けて走り出し、2018年4月に実際に開講した。「単にeスポーツで勝てるようにする学科では意味がありません。生徒の将来につながる教育の実践が根底の目標にあります。そのため、カリキュラムには、『世界で活躍するための語学授業』『メンタル&コミュニケーション授業』『高卒資格・ソーシャルライフ講義』などが組み込まれており、計画力や論理的思考力、問題解決力、文章力、映像制作・配信・実況、英会話などの知識が習得できるコースになっています」(福田氏)
開講1年目の昨年は18人の生徒が集まった。4月の開講で事前の生徒募集ができなかったため、転入生の受け入れが基本となった。それから1年、今年はすでに専願入学の希望者を合わせて55名の生徒が集まっているという(2019年2月8日時点)。「反響の大きさに驚いています。不登校や引きこもりだった生徒がeスポーツコースを通して通学できるようになるなどの成果もあり、保護者からの興味も強いですね」(福田氏)
ルネサンス大阪高等学校は通信制ではあるが、eスポーツコースは現在週2回の通学制となっている。今年4月からはほぼ毎日の通学制にするという。
ルネサンス・アカデミー
ルネサンス大阪高等学校 福田和彦 氏
2年目でPC100台規模の新しい教室に拡大
eスポーツコースの設備はどうなっているのだろうか。開講時は従来自習室だった場所をeスポーツコースの教室として利用し、PCは20台をそろえた。サードウェーブが提供する「GALLERIA XF」モデルをベースにオリジナルで構成したPCで、グラフィクスカードにはNVIDIA GeForce GTX 1070を採用、CPUは第7世代のインテル Core i 5プロセッサー、メモリーは8GBだった。
今年の春からはeスポーツコースの教室を刷新し、100名の生徒を受け入れられるようにする。それに合わせてPCも新しく入れ替えて100台規模に拡大する。新たな環境では、グラフィクスカードにはNVIDIA GeForce RTX 2070を採用、CPUは第9世代のインテル Core i 5プロセッサー、メモリーは16GBを搭載する。「eスポーツを行う上で遅延は致命的です。そのため、可能な限り処理遅延が発生しない環境を提供していきます」(福田氏)
4月からは新しい環境でスタートを切るルネサンス大阪高等学校のeスポーツコース。「高校の授業とeスポーツを融合させることで、社会的に意義のある学科にしていきます」と福田氏は抱負を力強く語った。
ルネサンス大阪高等学校のeスポーツコースの様子。近畿大学のeスポーツサークルに所属する学生をコーチに招いている。
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