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シード・プランニングが語るビデオコミュニケーション市場の動向

シード・プランニングが語るビデオコミュニケーション市場の動向

2019年02月26日更新

伸張するクラウド型Web会議ツール市場
キーポイントは”働き方改革”にあり

働き方改革を実現するために、真っ先に見直されるのが会議の在り方だ。交通費や移動時間などのムダをなくし、より効率的な働き方にシフトしやすいからだ。今回は働き方改革に寄与できるビデオコミュニケーション市場について、シード・プランニングに聞いた。

Lesson1 市場が拡大するSaaS型Web会議ツール

 働き方改革へ取り組む企業が増加する中、比例して拡大しているのがビデオ会議やWeb会議、音声会議などのビデオコミュニケーション市場だ。15年にわたりビデオコミュニケーション市場の調査に取り組んでいるシード・プランニングが2018年3月に発表した調査によると、2018年の国内ビデオコミュニケーション市場は506億円になる予測で、2017年比102%増の見込み。ビデオ会議とWeb会議で50%以上のシェアを占めているという。

 また、2017年の国内ビデオ会議市場は推計149億円、メーカー別シェアは台数・金額ともにシスコシステムズがトップで、ポリコムがそれに次ぐ。同年のWeb会議システムを見ると、SIタイプが30億円、ASP(SaaS)タイプが108億円の合計138億円。メーカー別のシェアはSIタイプの1位がOKI、2位がジャパンメディアシステム、3位がブイキューブ、ASPタイプでは1位がブイキューブ、2位がシスコシステムズ、3位がNTTテクノクロスとなった。SIタイプとASPタイプの合計でみると、ブイキューブが引き続き首位となり、シスコシステムズ、ジャパンメディアシステムがそれに続く。

 調査を担当したシード・プランニング リサーチ・コンサルティング部 エレクトロニクス・ITチーム 2Gリーダ 主任研究員 原 健二氏は「以前はオンプレミスのビデオ会議システムを提供するメーカーがトップシェアでしたが、昨今はWeb会議ツールを提供するメーカーのシェアが大きく伸張しています。特にシスコシステムズはWebコラボレーションサービスを提供していたWebExを買収するなど、Web会議をはじめとしたチームコラボレーションツールの拡販に力を入れており、確実にシェアを伸ばしています」と指摘する。

Lesson2 複数のツールを連携させてチームコラボレーションを活性化

 ビデオコミュニケーション市場の調査をスタートした15年前と比較して「市場は大きく変化している」と原氏は指摘する。例えば昨今は、グループウェアの1機能としてビデオ会議機能が提供されているケースが多い。従来のビデオ会議専用端末やWeb会議ツール、音声会議接続サービスなどといった単体機能の会議ツールではなく、チームコラボレーションツールの1機能として、ビデオ会議機能が提供されているのだ。「今年発表するビデオコミュニケーション市場調査レポートでは、グループウェアなどに搭載されているビデオ会議機能についても市場に含めていく方針で、それらを含めるとさらに市場規模が拡大すると予測しています」と原氏は語る。

 ビデオ会議機能が含まれるチームコラボレーションツールとして、Chatworkが提供しているビジネスチャットツール「Chatwork」や、日本マイクロソフトが提供しているクラウドサービス「Office 365」などが挙げられた。「日本マイクロソフトは『Skype for Business』や『Microsoft Teams』など、チームで作業をするためのクラウドサービスをOffice 365の中で提供しています。このようなチームコラボレーションツールでは、サービスの中でスケジュールを設定できたり会議室予約システムと連携していたりするため、よりスムーズな会議を実現できるようになっています」と原氏。複数のツールと連携することで、よりビジネスを加速させる効果を生むのが、グループウェアに搭載されたWeb会議ツールの特長と言える。

Lesson3 ハドルルームに適したWeb会議用一体型端末

 昨今の傾向として、クラウド型Web会議サービスと50インチ以上の大型モニター端末を組み合わせたインタラクティブホワイトボードも市場に登場している。代表的なのがシスコシステムズの「Cisco Webex Board」、マイクロソフトの「Microsoft Surface Hub」、Googleの「Jamboard」だ。それぞれ自社が提供しているクラウドサービスを利用して、Web会議を行うと同時に、モニターをホワイトボードのように使い、双方向に書き込んだり、資料を共有したりできるようになっているハードウェアだ。

 また、インタラクティブホワイトボードよりも小型な一体型端末も登場している。「最近ハドルルームという少人数向けの会議室が注目されています。従来は大規模な会議を行える会議室に設備が集中しがちでしたが、小規模な会議室をもっと活用することで、企業の生産性をさらに向上できるのです」と原氏は語る。そうしたハドルルームに適した小型のWeb会議用一体型端末の価格がこなれてきており、中小企業でも導入しやすくなっているのだ。ビデオ会議やWeb会議といった遠隔で会議を実現できるツールは、働き方改革に大きく寄与するが、オンプレミス型のビデオ会議システムが主流だった頃は、導入コストが大きく管理負担もかかるため、大企業が導入の中心だった。しかし、クラウド型のWeb会議ツールが増加したことで、中小企業にも導入が広がりつつある。前述したようなハドルルームに対しても、価格を抑えた一体型端末を提案することで、より一層の生産性向上が見込めるだろう。

Lesson4 業種や利用スタイルに応じたコンサルティング提案

 企業における働き方改革を実現するために、今注目を集めているのがオンライン商談システムだ。例えば遠方にいる見込み顧客に対して、直接訪問するのではなくオンライン商談システムを利用すれば、移動時間や交通費を削減しつつ、営業利益を上げられる。原氏は「これもビデオ会議機能を活用したシステムですが、安価に導入できる点や中小企業でも簡単に利用できる利便性の高さから、導入が進んでいます」と語る。また、リアルタイムコミュニケーションができるツールとして重視されてきたビデオコミュニケーションツールだが、会議の記録を映像として共有できる利点の高さから、ビデオ会議の記録を活用して従業員の教育に役立てている例もあるという。

 オフィス内にとどまらないビデオ会議システムの活用も進んでいる。ブイキューブが提供をスタートしたコミュニケーションブース「テレキューブ」は、あらゆる場所に設置できる防音型のスマート電話ボックスで、テーブルと椅子、Web会議が利用できるPCが内部に設置されている。働き方改革推進の一環として、鉄道会社による実証実験もスタートしており、在宅勤務者やモバイルワーカーからの利用が増加しそうだ。

「今後ロボットを受付端末代わりに利用したり、ヘッドマウントディスプレイを活用してリアルな遠隔コミュニケーションを実現したりと、ビデオコミュニケーション市場は今後大きく広がっていくでしょう。また、すでにオフィスの中では1対1のコミュニケーションではチャットツール、1対NのコミュニケーションではWeb会議ツールといったように、用途に応じて遠隔コミュニケーションツールを使い分けています。企業内のコミュニケーションニーズはもちろん、業種ごとに遠隔コミュニケーションのニーズは変化してくるため、コンサルティングを含めたビデオ会議、Web会議ツールの提案が求められていきそうですね」と原氏は販売店のビジネスチャンスを語った。

本日の講師
シード・プランニング リサーチ・コンサルティング部 エレクトロニクス・ITチーム 2Gリーダ 主任研究員 原 健二 氏

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