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ギットハブ・ジャパン 公家尊裕氏が説明する「GitHub」の企業利用のメリット

ギットハブ・ジャパン 公家尊裕氏が説明する「GitHub」の企業利用のメリット

2019年02月08日更新

OSS開発向けの共同プラットフォームがIT人材不足の解決と企業の競争力向上に寄与する

Microsoftが買収したGitHubは、ソースコードをホスティングできるサービスを提供している。世界で3,100万人の開発者が利用し、IBMやGoogle、Facebookをはじめとする210万以上の組織が採用する一大プラットフォームだ。このGitHubを企業が利用するメリットはどこにあるのか。また、Microsoftによる買収でGitHubのサービスはどのように変わるのか。ギットハブ・ジャパン カントリーマネージャの公家尊裕氏に聞いた。

ギットハブ・ジャパン カントリーマネージャ 公家尊裕氏 Takahiro Koke
「ソフトウェア開発者がよりクリエイティブに仕事ができて、より革新的なソフトウェアを生み出していく。それによって国内企業が元気になる未来を当社は目指しています」

OSS開発における“コラボレーションの場”

―世界で3,100万人に利用されているGitHubの概要について教えてください。

 GitHubはOSS開発向けの共同プラットフォームとして2008年にサービスを開始しました。個人向けの無料リポジトリ(ソースコードを保存/シェアする場所)の提供から始まり、現在ではチームや企業でも利用できるようにサービスを拡大させています。GitHubを導入すれば、ソフトウェア開発における変更、修正などが時間と場所を超えたかたちで共有できます。OSS開発における“コラボレーションの場”を個人から企業にまで提供しているのです。

 ビジネスにおけるGitHubの利用は、Web上でサービスを展開しているネット系、いわゆるクラウドネイティブ企業の採用から進みました。それが、徐々に製造業などネット系ではない企業に拡大しているのがここ3年間の大きなトレンドです。世界的に厳しい競争にさらされている製造業などでは、開発環境そのものを従来のウォーターフォール型の環境からOSSをベースにした環境に変えていかなければ、業界のスピードについていけないのです。そうした流れの中で、GitHubは製造業をはじめとする業種や国内のローカル企業にも広がりつつあるのです。

―企業がOSSなどの開発プラットフォームとしてGitHubを選択する利点はどこにあるのでしょうか。

 最も分かりやすいポイントは、デファクトスタンダードになっていることです。ソフトウェア開発のプラットフォームとして採用する以上、企業としてはこれまでの実績を重視します。GitHubはすでに3,100万人の開発者に利用されていて、IBMやGoogle、Facebookをはじめとする210万以上の組織にも採用されているのが大きな優位点です。海外企業ではGitHubでの開発実績(OSSコミュニティへの貢献度など)から開発者を採用するケースもあります。GitHubを社内で導入していれば、開発者の採用もしやすくなるのです。GitHubという最もモダンな開発プラットフォームの導入は、社内の開発者に対する環境整備の側面でも大きなアピールになるでしょう。

 また、プラットフォームとしてのユーザー数やコミュニティの多さは、OSS開発においてそのまま有効に機能します。プラットフォーム上に存在するOSS関連の膨大な資産を活用できるからです。

MSによる買収の好影響が新プランの提供に

―今年の1月8日には、新しいプラン「GitHub Enterprise」の提供開始が発表されました。その意図を教えてください。

 そもそもGitHubは、個人からチーム、そして企業での利用においてそれぞれプランが存在し(個人利用は無料版もある)、利用できる機能も異なります。企業向けにはこれまで利用環境に応じて二つのプランを提供していました。それが、クラウド用の「(旧)GitHub Business Cloud」とオンプレミス用の「(旧)GitHub Enterprise」です。

 国内企業においては、ソースコードをクラウドに保存することへの懸念から、オンプレミスでの運用がほとんどでした。しかし、時代の変化の中で外部の開発者とのコラボレーションの必要性が生じるようになり、クラウド版の利用を検討されるケースも増えてきました。ただし、これまではクラウド版とオンプレミス版でライセンスが分かれていたので、別々に購入していただく必要がありました。

 新たなプランであるGitHub Enterpriseでは、クラウド用の「Enterprise Cloud」(旧GitHub Business Cloud)とオンプレミス用の「Enterprise Server」(旧GitHub Enterprise)の二つの製品を一つの製品にまとめました。これによって、一つのライセンスでクラウドとオンプレミスの両方のGitHubを利用できるようになったのです。既存機能である「GitHub Connect」を使えば両製品を連携させられるので、ハイブリッド環境下でのシームレスな開発作業が実現します。

 この新たなプランは、販売パートナーにとっても魅力となるでしょう。OSS開発のプラットフォームとしてデファクトスタンダードになっているGitHubの新たな提案が行えるようになるからです。

 このような変化は、Microsoftによる買収の好影響と言えます。サティア・ナデラがMicrosoftのCEOに就任してから、MicrosoftはOSSへの取り組みを非常に強化しています。現在は世界で最もOSS開発への貢献度が高い企業になっているのです。そのため、MicrosoftがGitHubを買収したのは自然の流れです。GitHubのサービスをさらに充実させることで、OSSの世界にこれまで以上に貢献しようとしているのです。GitHubとしては、従来どおり、オープンで中立的な立場を維持していきます。

GitHubが企業の競争力を高める

―今後、GitHubは企業においてどのような存在になっていくのでしょうか。

 GitHubは、開発者が最も働きやすい環境の構築を支援していきます。GitHubがもたらすメリットは、開発者だけでなく企業に対しても有効です。というのも、今は世界的にソフトウェア開発の人材が不足しています。特に国内では、2016年の時点でIT人材が10万人以上不足しているという統計が発表されていました。今後の少子化とIT人材ニーズの上昇を加味した場合、IT人材不足は2030年までに80万人にまで膨れ上がると予測されているのです。

 人材が不足した場合、これまでは労働時間を延長して穴埋めするような対応が行われてきましたが、働き方改革が進む中では、そうしたやり方は通用しません。

 それではどうしたらいいのか。より効率的なツールを使用しつつ、世界のIT人材、開発者を活用できる体制を整えるべきなのです。こうした環境の実現には、コラボレーションが可能な統合開発プラットフォームが自ずと必要になります。時差があっても、地理的に離れていても共同で開発できるプラットフォームです。これを実現するのがGitHubなのです。

 GitHubを開発プラットフォームとして委託先にも提供すれば、ソフトウェア開発の資産が企業の手元に残ります。これは、競争力を高める重要なポイントになります。社外の開発者の活用比率が高い国内企業において、ソフトウェア開発の過程やノウハウを社内に残せる環境を構築することは、ソフトウェアの価値がさらに増加するこれからにおいて必須となるからです。

 このように、GitHubを利用していただける環境の拡大は、開発者だけでなく国内企業の競争力そのものの向上に寄与すると考えています。国内のソフトウェア開発者がよりクリエイティブに仕事ができて、より革新的なソフトウェアを生み出していくことで国内の企業が元気になっていく。当社はこうした未来を目指して、GitHubの普及促進に力を注いでいるのです。

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