ホーム > PC-Webzineアーカイブ > OKIのManufacturing DXでスマート工場を実現する

OKIのManufacturing DXでスマート工場を実現する

OKIのManufacturing DXでスマート工場を実現する

2019年01月28日更新

三つの変革が実現するスマート工場

IoTを活用して機器やデータが連携するスマート工場。人手不足が進む中、日本の製造業においても工場のスマート化が求められるが、多くの製造現場では「見える化」への取り組みにとどまっているのが現状だ。そうしたスマート工場への取り組みを、OKIは長年自社の工場で実践してきており、そのノウハウをIoT活用工場ソリューション「Manufacturing DX」として提供している。スマート工場実現には何が求められるのか、話を聞いた。

スマート工場の実現を阻む課題

 高度なファクトリーオートメーションによって、工場内の機器や設備を相互に接続し、さまざまな情報を見える化することで、生産性の革新を行うスマート工場。特に日本の製造業の強みである現場力の維持や強化を進めていくためには、デジタル化による製造現場のデータ化やノウハウの見える化、それらデータを活用した生産プロセスの改革など、デジタル変革によるスマート工場の実現が急務だ。しかし、多くの製造現場において、スマート工場に対する取り組みは入り口である「見える化」にとどまっているのが現状だ。

 OKIでは、自社の技術やノウハウを生かし、自社工場のスマート化を進めている。製造現場が抱えるスマート工場に対する課題について、同社の金融・法人ソリューション事業部 製造システム部 部長の増渕孝一氏は「多くの製造現場のシステムは個別最適化されており、データ連携の仕組みができていません。スマート工場のメリットはデータを含めて機器がつながって見える化を実現することで、生産性を改革する点にあります。ただし、そもそも現場のデジタル化が進んでいないケースもあり、どこから着手すればいいのか分からないという企業も少なくありません」と指摘する。

求められる三つの変革

 OKIでは、そうしたスマート工場の実現に向けたIoT活用工場ソリューション「Manufacturing DX」の提供をスタートしている。Manufacturing DXでは、現場の見える化を軸に、三つの変革を推進していく。一つ目は製造現場の見える化を実現する「現場変革」。生産性を向上させるため、最適な段取りを見つけ、設備の稼働率を向上する取り組みだ。そのためには、設備の稼働率状況を把握し、ログデータを吸い上げて可視化するなどして、無駄な動きがないかチェック(=現場の設備の見える化)する必要がある。

「職人の技術の継承にもデジタル化が不可欠です。例えば作業者の動きをカメラなどで撮影して、作業実績の履歴データを積み上げていくと、熟練者と非熟練者の動作の違いが分かります。その違いを可視化すれば、非熟練者への指導に役立てられ、改善につなげられるのです」(増渕氏)

 二つ目が現場と経営を高度、かつ双方向に連携する「IT・オペレーション変革」の実現だ。生産現場と現場稼働状況の一元化や高度なファクトリーオートメーションを実現するには、IT層とOT(Operational Technology)層の相互運用が不可欠だ。OKIは、同社が得意としているセンサーネットワークや産業用イーサネットなどの各種ネットワークソリューションを提供すると同時に、収集したデータを意味のある情報に変換し、迅速な経営判断に生かすためのエッジ領域と経営層を連携するソリューションを提供する。

 三つ目は、さまざまな経営判断を支援する「マネジメント変革」だ。マネジメント変革に取り組もうとする企業は多いが、製造業におけるマネジメント変革は、現場の生産状況や外部環境、ステークホルダーの要望など、さまざまな状況や情報から、最適、かつリアルタイムな経営判断を行うことが求められている。そのため、マネジメント層が参照するデータと現場のデータが常に連携している必要がある。OKIでは、「ERP・生産管理システム」「統合保守管理システム」「製品含有化学物質管理」など従来のソリューションをさらに高度に活用して、現場や外部のあらゆる情報を効率的かつ統合的に管理・連携し、高度な経営判断を支援していく。

「このマネジメント変革を実現するためには、生産現場と現場稼働状況の一元化などのIT・オペレーション変革が必要であり、IT・オペレーション変革を実現するためには、設備稼働率の向上や最適な段取りの可視化といった現場変革が求められます。それぞれ三つの変革が密に連携してスパイラルアップしていくことが、スマート工場実現には不可欠です」(増渕氏)

 これら三つの変革を、OKIでは「センシング」「データ収集・管理」「AI・高度活用」「自律制御」の四つの技術基盤を用いてサポートしていく。例えばセンシングでは、同社が情報通信分野において長年蓄積した実績とノウハウをもとに、センシング技術や通信技術、データ処理技術を融合し、製造現場の人やモノの状態・動作の見える化(デジタル化)に取り組む。

 同社の金融・法人ソリューション事業部 イノベーション推進部 スペシャリスト 加部隆久氏は「現場変革において、光ファイバーセンサーによる現場温度の歪分布の可視化や、プロジェクションマッピングや画像処理における作業状況のデジタル化など、当社の工場における導入効果に基づくソリューションや、ほかのユーザー企業との共創により実現した技術群で、製造現場の変革を支援していきます」と話す。

カメラで作業進捗を把握

 すでにManufacturing DXを用いて、生産現場の変革を進めている事例がある。大宝工業では、Manufacturing DXで提供しているソリューション「プロジェクションアッセンブリーシステム」を導入し、生産現場の作業ミスゼロ化に取り組んでいる。プロジェクションアッセンブリーシステムはOKIの富岡工場で、実際に作業ミスゼロの取り組みとして活用されており、その実績に注目した大宝工業が導入を決めた。

 大宝工業では、家電や医療分野向けの各種プラスチック成型加工を多数手がけているが、製品の特性上、手作業による組立工程に多くのバリエーションが存在し、かつ頻繁な工程変更も発生することから、自社および委託先における作業の早期習熟や品質確保が課題となっていた。そこで、OKIのプロジェクションアッセンブリーシステムを使い、組立作業の評価検証を行ったところ、組立ミスゼロ化に成功し、作業習熟に向けたトレーニング時間の短縮も実現できたのだという。

 プロジェクションアッセンブリーシステムではプロジェクターによる的確な作業指示と、作業実績のデジタル化を行う。例えば取り出すべき部品をプロジェクターで指示したり、指示書を表示したりといった作業誘導で、作業の早期習熟と組立ミスゼロ化につなげた。大宝工業では、棚の両端にカメラを取り付け、どの部品を棚から取り出すかといった指示をプロジェクターで行い、作業の進捗や在庫管理を実現した。

「スマート工場を実現するソリューションは、各社からリリースされていますが、当社の優位性は実際に自社工場で実践した実績をベースにソリューションとして提案している点です。マネジメント変革などはさまざまなベンダーが提唱していますが、マネジメント層と現場をつなぐ通信の部分の技術や、三つの変革を連携させて改革を実践させていく仕組みは、他社にはない当社の強みだと自負しています」と加部氏。

 今後はプロジェクションアッセンブリーシステムのようなソリューション群を増やしていき、製造業の生産性向上につなげていきたいと増渕氏は話す。「当社でずっと物作りを実践してきたことで、ノウハウは蓄積されています。それを他社に提案するにあたって、どうソリューションとして構築できるかが重要になると考えています」と増渕氏は語った。

キーワードから記事を探す